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スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.19 山本尚貴さん

2021年12月22日 17:21  AUTOSPORT web

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2021年はSTANLEY NSX-GTをドライブした山本尚貴
2021年も、ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はModulo Nakajima Racingの伊沢拓也選手から、長年チームメイトだったスーパーGT二度の王者、スーパーフォーミュラ三度の王者である山本尚貴選手に繋がりました。

 しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークのようなものができないか……? という企画が編集部内で出てきたのが2月。第1回の石浦宏明さんから阪口晴南さん、新田守男さん、高木真一さん、さらに片岡龍也さん、柳田真孝さん、星野一樹さん、本山哲さん、吉田広樹さん、蒲生尚弥さん、大嶋和也さん、松田次生さん、織戸学さん、篠原拓朗さん、坪井翔さん、立川祐路さん、道上龍さん、伊沢拓也さんと繋がっています。

 長年チームメイトだった先輩の伊沢選手からの“お悩み相談”にどんな回答をしてくれるのか……? この取材は第7戦もてぎの際に行いましたが、そのあたりも踏まえてぜひご一読ください。また先にお断りさせていただきますが、ボリューム満点8000字超です。この企画の内容はあまり削ることはしないのですが、ここはウェブの強みを活かしてド~ンとぜんぶ載せてしまいます。ゆっくり読める際にどうぞ。

* * * * *

■まずは伊沢さんのひとつめのお悩みについて
──そんなこんなで、レースウイークのお忙しいなかお時間をいただきまして。どうもすいません。
山本尚貴さん(以下山本さん):とんでもございません。

──山本選手に取材するのはかなりひさしぶりな気がします(着席して取材するのはおそらく10年ぶりくらいでした)。
山本さん:そうですねぇ。ぜんぜん来てくれなかったですね。

──メインの取材カテゴリーが変わるとこうまで取材に来ないんだなと。というわけで、このコーナーは『笑っていいとも』風に、次のドライバーにどんどん繋いでいくというコーナーでございます。前回の伊沢さんから『次は山本さんで』ということで、お悩みを預かってきました。
山本さん:……ちょっといいですか?

──……どうぞ。
山本さん:このコーナーは、悩みがあればそれを解決してくれるような人につないでいくことになりますよね。年齢は関係ないんでしょうけど、フツー悩みというのは年齢が上の人だったり、先輩とかにするもんじゃないんでしょうかね?

──いい質問ですねぇ。
山本さん:僕のところに来るとしたら、若い子から来るのかなと思っていたんですけど。しかも伊沢さんから来ると聞いた瞬間『もうギャグじゃないのか』としか思えなかったです。『そっちですか? ウソでしょ』と。

──伊沢さんはけっこうこのコーナーを読んでいるらしいんですよ。
山本さん:読んでいるドライバーはやっぱり多いんじゃないですかね。だから僕は、逆に自分で決めていたんです。もし若手の子が相談しに来てくれたら、ちゃんと悩みを解決したうえで、自分の悩みは伊沢さんに聞いてもらおうと思っていたんですよ。そうしたら逆に言われちゃったので、次に相談する相手もいなくなっちゃいました。もう営業妨害ですよ(笑)。

──伊沢さんとしては『山本に振れるのはオレしかいない』という感じでした。
山本さん:それもあってよけい怖いんですよ(笑)。だって僕から伊沢さんに振ることができれば、僕は無傷で済むけれど、伊沢さんから来るということは伊沢さんが『ナタを振ってくる』可能性が大なので、ちょっと怖いなと思って。

──……とりあえず伊沢さんのお悩み、ぶつけてみてもいいですか?
山本さん:はい。いきなりもう来るんですか。

──伊沢さんからのお悩みが『この先の人生どうすればいいのか?』ということです。伊沢さんももう37歳で現役生活のカウントダウンがちょっと見えてきたと。漠然とこの先どうすればいいかなと思ってるらしいんですよ。
山本さん:どんな表情で言ったかがぜんっぜん想像できなくて辛いんですけど(笑)。たぶんちょっとギャグ的な感じで、冗談ではあるんでしょうけど。

──いや、けっこう真剣な悩みでしたよ。
山本さん:よけいキツいですよ……。『伊沢さんからの悩みって何の悩みなんだ!?』って、ココ(ツインリンクもてぎ)に来るまでそれで頭いっぱいで金曜日を迎えたんですけど、そういう悩みですか? いや、それはでも伊沢さんだけじゃなく、将来に対する不安はどのドライバーもみんな考えてますよね。

──やはり30歳超えたら少しずつ考えるものではないかと思いますが。
山本さん:若いころから考えてなかったわけじゃないですけど、悩みの質はどんどん変わっていきますよね。将来どうしようというのは現実味を帯びてくるところもあるし、年齢を重ねたからこそ前向きにとらえ始めて、若いころには考えられなかったようなアイデアとかも出てくるから、また質が違う感じがします。

 けど、それを言い始めると、伊沢さんが悩んじゃったら、もう若い子たちは本当にそれこそどうすればいいんですか? という話ですよ。伊沢さんがそういった道しるべを先輩として後輩のためにちゃんと残していくべきですし、僕はその背中を見て進ませてもらってきたので、すべては伊沢さんに掛かっているなと思っています。

 ……とそう思ってもいますが、後輩の僕からすると、伊沢さんは伊沢さんのままでいてほしいなと思います。人それぞれ悩みはあると思うんですが、やっぱり伊沢さんがいて僕がここまで来られたと思っているので、いい意味で伊沢さんには変わらずに居続けてもらいたいなと思います。それは公私ともにです。

■人に負けたくない、プラス山本尚貴が「負けたくない」もの
──なるほど。え~、実は伊沢さんからはまだお悩み相談がありまして……。
山本さん:ん? 悩みってそんなに何個もあるものなんですか?

──悩みというと少し違うかもしれないんですが、山本尚貴さんはSFとGTで2回もダブルタイトルを獲り、SFで3回、GTで2回チャンピオンを獲ったわけじゃないですか。今シーズンもレースで強さをみせている。何かぜひ若手ドライバーたちに、その強さの秘訣のヒントはないかと。
山本さん:いいですね。やっぱり伊沢さんらしいです。このマジメかマジメじゃないかの境が微妙に分からない、この絶妙な感じ。これはたぶん、ふざけてはいないと思うんですけど。

──これもマジメな感じですよ。ちなみにワタクシの意見を挟ませていただくならば、たしかに山本選手はすごく“強くなった”と思うんですよ。なんだかんだ昔から見ているわけじゃないですか(初めて会話したのは2009年のF3参戦時でした)。なんだかオーラも出た気がします。
山本さん:うーん……。それはやっぱり、いくら自分に自信があって強いと思っても、やっぱり結果がすべての世界ですし、意気込んだところで結果が出なければ、それはやっぱり自分にとっても自信はもてないので、やっぱり努力したことが実を結んで結果に表れたときが人一倍強くなれるタイミングだと思うんです。

 いちばんはやっぱり『誰にも負けたくない』という、まず強い気持ちを持ち続けて、しっかりとそのなかで結果を出す。そうしたらまた次のステップに踏み込めると思うので、そういう風に自分を強くしてきたつもりでもあるし、まわりの皆さんの強い手助けもあって強くさせてもらってきたというのも感じます。

 でも『頑張ろう』とか『強くなろう』と思うのは、基本的に誰にでもできると思います。だけど、長年こうしてレースをやらせてもらうと、特に今年のスーパーフォーミュラなんかを見てもらうとやっぱりそうですが、僕もここ数年はずっと調子が良くて、ダブルタイトルも2回獲らせてもらったり、タイトルの数だけでも現役のなかでは多い方にはなってきましたけど、でもそれはここ3~4年の話で、じゃあ10年前とかはどうだったかというと、正直ぜんぜん強くなかったし、結果も残せてなかったし、だから頑張り続けることの方がものすごく大変だなと思います。

 単発で『頑張ろう』は誰でもできるけど、やっぱりうまくいかないときとか、失敗したときに堪えることができる強さの方がものすごく大事だなと思います。それを乗り越えて悩んでもがいて、その先に結果を残すことができたら、やっぱりそれは人よりも強くなれると思うし、その踏ん張る力というか、耐える力が将来的には強い結果を生み出して、まわりから『強くなったね』とか『強いね』と言われることになるのかなと思います。決して強くなろうと思ったわけじゃないですし、単純に負けたくないと思って頑張ってきた結果が評価されるようになったのかなと思います。

──あと、昔から猛烈に負けず嫌いじゃないですか。それも大きいかなと思います。
山本さん:はい。なので、みんなそれぞれモチベーションの持ち方が……。

 ……あれ? これちょっとマジメな話になっちゃいましたけど、こんな取材でしたか? コーナーの趣旨に反する感じになっていませんか(笑)?

──ぜんっぜん大丈夫です。面白いので。
山本さん:マジメに言うと、モチベーションは人それぞれ持ち方が違うと思うんですよ。当然若いころは、やっぱり先輩とか速い人を倒して、自分が早く有名になりたいというのもひとつのモチベーションだと思います。僕も若い子たちとか、ほかの選手に負けないように……というが根本的にはあるので、そこがモチベーションにはなっています。

 あともうひとつは、人にも負けたくないけど、ライバルメーカーに負けたくない。それはタイヤメーカーもそうだし、エンジンサプライヤーもそうだし、スーパーGTに関してはタイヤとメーカーで、スーパーフォーミュラに関しては基本的にはワンメイクですが、エンジンが違うわけで、みんなつけているバッジが違うわけです。

 昨今、いろいろモータースポーツ業界を盛り上げるために、その垣根を超えて……と言われて来ていますが、若干それが間違った進み方と捉え方をし始めて、ある意味、ライバルメーカー同士の競争がなくなったときに、もしかしたらモチベーションが今より下がっちゃうのかな……? とちょっと思っています。手を取り合って業界を盛り上げることは大事だと思うけど、そのなかで忘れちゃいけない、なくしちゃいけないものは、やっぱりライバルがいて競争相手がいることだと思うので、僕はそこだけは絶対になくして欲しくないとも思っています。

 僕はやっぱりホンダのドライバーで、ホンダが好きでホンダのドライバーになって、こうしてホンダのドライバーとして第一線で活躍させてもらうチャンスをずっともらい続けていて、その裏には、このメーカーを背負ってるという自覚もあるし、プライドもあるし、その看板を背負ってるからこそ、ほかのライバルに対してもちろん敬意があるなかでですが『絶対に負けたくない』と思ってやってきました。

 なんというか……。人に負けたくないのと同時に、その思いもかなり強いので、もし全部が横一線になってライバルメーカーっていうものがなくなったときには、もしかしたらどうなんだろうなというのは、ここ最近ちょっと感じています。

──山本尚貴さんから初めて聞く内容かもしれないです。
山本さん:僕もあまり言わないですね。言う機会がなかったというだけですけど。人には当然負けたくないけど、ライバルメーカー間で『メーカーの威信をかけて』とよく言われているように、やっぱりホンダのなかで一緒にみんなで開発してきたもので、ライバルとぶつけ合って勝った、負けたということに対してけっこうモチベーションを維持してきた部分があるので、これからもそれだけはなくしてほしくないなと思っています。

……という、なんかマジメな感じになっちゃいましたね。


■現代のレーシングカーに合わせる、走りの変化のきっかけは
──その調子でいきましょう。あっ。伊沢さんからもうひとつあるのですが。
山本さん:まだあるぅ(笑)!?

──伊沢さんはSF(フォーミュラ・ニッポン)とGTで2008年デビューじゃないですか。でも今の走り方というのがぜんぜん違うそうで、けっこう意識を変えて乗っているらしいのですが、山本さんからそういったところで若手へのヒントとして、『これくらいは言ってもいいかな』というのはありますか?
山本さん:走り方が変わって、今はこういう走り方をしているという部分ですか? ありますね。

──伊沢さんは『昔はブレーキで頑張ればどうにかなった』と言っていましたが、今はだいぶ違います?
山本さん:違いますし、そうやって言っている本人(伊沢さん)から僕はヒントを得ています。たぶん、そのきっかけも伊沢さんなんですよね。何年とは言わないですが、走り方について『こうなのかな』と伊沢さんがけっこう取り組んでいた時期を知っていて、それを見て僕も、今までずっとやってきた走り方がやっぱり正しいわけではないし、ある種スタイルを変えてでも、現代のクルマに合わせることも必要なのかなとちょっと思い始めました。

 セオリーはやっぱり自分の走り方に合うクルマを作っていくことなんでしょうけど、今は使っているものも一緒だったり、作り込まれている現代のレーシングカーなので、必ずしも昔の、とにかく『ブレーキで奥まで行って、早く人よりもアクセルを踏んで』というものが必ずしも通用するような感じではないです。

 そのきっかけを与えてくれたのは伊沢さんで、やっぱり今のクルマは空力にかなり頼っているクルマなので、そういった激しい運転、空力やダウンフォースを失う走り方をしてしまうと、結局タイムが悪い方向に影響しちゃうこともあるので、頑張りどころは変えていますね。

──なるほど。これは『頑張りどころを変える』で若手ドライバーに伝わりますか?
山本さん:逆にみんな気がついてると思います。今の走り方というのは、FIA-F4とかスーパーフォーミュラ・ライツでも習得できて、それこそ現代のフォーミュラカーだしレーシングカーなので、若い子たちが上にポンと来ても普通に走れているというのは、やっぱりその下のカテゴリーから、タイヤも含め、そういったクルマになっているんじゃないのかな、と思っています。

 昔の方が大変だったかもしれないですね。上のカテゴリーと下のカテゴリーの差がすごく大きかったから、意外とみんな上にステップアップしていったときに、大きな差に感じて大変だったのかなというのは思います。だけど、今はステップが昔よりも縮まってるいので、ステップアップした先でのクルマの動かし方だったり、タイムの出し方にあまり苦労しなくても済むかもしれないですね。そう僕は思っています。

 なので、そういう子たちがどんどん上がってきて、そのステージですぐ活躍しちゃうわけだから、やっぱり僕たちベテランというのは、変えてはいけない、ブレてはいけないところはちゃんと持ちつつも、現代のレーシングカーに対して、今の若い子たちが習得して速さを出している走らせ方を柔軟に変えて捉えていかないといけないな、とはすごく思います。

 それを早い段階で伊沢さんは気がついていて、いろいろとなにかをやられていましたね。伊沢さんはそういった質問を僕にしてくれますけど、結局それって自分のため、僕のためじゃなくて、やっぱり若い子たちのためを考えてちゃんとそういう質問を振られてるところは、やっぱり伊沢さんらしいし、すごいなと思います。

──ちなみに、これは前回伊沢さんに取材したときに本人は否定されたのですが、伊沢さんの若手やタイヤなどを“育てる力”はすごいと思うんですが、山本さんはどう思いますか?
山本さん:『まあそうですね』とは伊沢さんは言わないでしょうね。そういう性格の人なので。自分がすごいとは決して外には言わないし、やっぱり背中で語るもんだと。ずっとトレーニングのときもそうですけど、『漢は黙って背中で語る』と昔から言っていたので、そのとおりです。あとは本人が言わなくても、やっぱり下の世代、僕も含めて、先輩がされてきたことをちゃんと見て、感じて、反応できるかが大事かなと思います。

 結局教えてから『こうしなさい』と言われてやるのでは、たぶんもう遅いと思うんですよ。もちろんそれで伸びる子もいっぱいいるだろうけど、そうではなく、やっぱり人がやっていたり先輩がやっているのを見て『この人すごいな』と思って、それを自分の肥やしにしていくという貪欲さがないと、それはいつの時代も変わらないのかなと思います。

──それはレースに限った話じゃないですね。
山本さん:そうですね。ふだんの生活もそうです。特に今は両方に家族がいるので、家族との関わり合いだったり、そういうことをやっぱり教えてもらったりだとか、まあ言わずとも、こういった感じで生活してるという基準みたいなものが僕のなかであったので、やっぱりずっと憧れみたいなのを持ち続けています。

 なので、僕が誰かに教えるのではなく、僕を見て学びたいと思ってくれる人がひとりでもふたりでもいてくれたら、それはそれでやっぱり素直にうれしいし、そういう子に対しては、ドアは常にオープンにしておきたいなと思いますね。

■次の人選びはまさかの難航のすえ……
<<ふだんこのコーナーの取材は20分前後で終わるのですが、ついウッカリ時間オーバー。マネージャーさんが様子見に来たので、ちょっとペース上げます>>

──ありがとうございます。だいぶ押してしまいましたが、山本さんお悩みはございますか?
山本さん:悩み! それについては、僕がここでずっとグズグズ考えて悩んでも仕方ないので、いちおう悩みを相談する相手と悩みはもう用意してきました。時間が押しちゃうだろうと思って。

──おお。素晴らしい。
山本さん:相手は高木さんに……。

──……え~と、高木さんというと、あの高木真一さんということ?
山本さん:はい。出てないですよね?

──これがですねぇ。出たんですよ。第4回目。
山本さん:えっ!? そこ見落としてた。じゃあコレちょっとカットしておいて下さい(笑)。(編注:カットするわけありません)

──高木さんで“2周目”でもいいですよ。
山本さん:“2周目”アリですか? そうなると伊沢さんになっちゃいますけど(笑)。

──どんだけ伊沢さんに悩みぶつけたいのよ(笑)。
山本さん:たしかに。公開で悩みを打ち明けられるような内容じゃないので、それは後でメッセージでやり取りしようかなと思います(笑)。というか高木さんの回読んだっけな……。2周目はやっぱり、このコーナー的につまらないかな。

──お気遣いありがとうございます。
山本さん:いろんなドライバーに行かないといけないですからね。高木さんは若い子たちと接する時間がすごく多い選手のひとりだと思うので、若い子たちとの接し方で気にされてることはあるのかな……ということを聞きたかったのですが。

……では、高木さんと長年コンビを組まれていて、師匠でもあるような先輩とずっと言われているのをコメントでも見たことがあるので、新田さんに。

──……え~と、新田さんというと、あの新田守男さんということ?
山本さん:はい。……えっ? もしかして新田さんも出てます?

──これが第3回目に……。
山本さん:もういないじゃないですか(笑)! でもそうなると、意外と自分の年齢が上なんだなということにも同時に気がつきました。全員上だと思っていたのに、もう意外と上から数えた方が早くなってきちゃってる(泣)。えぇ~。新田さんも高木さんも出ちゃったんですか?

──あえて言いますが、“2周目”でもいいですよ。
山本さん:いやいや。じゃあ、そういうお悩みは存在したということで、別いきましょう。どうしようかな……。ホンダで続いて来ているから、ホンダで攻めていった方がいいのかな。

──伊沢さんとしては、ずっと他メーカーで続いていたので、しばらくホンダで回したいと言ってましたねぇ。
山本さん:本当ですか? じゃあ先輩がそう言ってるなら。でも(牧野)任祐だとチームメイトだし……。でもあまりチームメイトはいないですよね?

──今までないですな。新しいパターン。
山本さん:じゃあチームメイトにしよう。任祐で!

──では何を相談します?
山本さん:……これから僕はどうしていったらいいかということを(笑)。いま、GT500で12年目なんですけど、もう少し一線で活躍していきたいと思うなかで、『若手から僕はどう見えてますか?』と聞いてみたいです。

──それって、本音かどうかは抜きにして賞賛の嵐で終わってしまうのでは……?。
山本さん:いや大丈夫です。あいつはたぶん本音で言ってくれると思う。『でもここは直した方がいいんですよね~』というのがたぶん出てくると思うんですよね。結局、キャリアを重ねて年齢を重ねると、やっぱりまわりでも『そうですよね』と言う人がどんどんと増えていっちゃうので、やっぱりダメなところとか直した方がいいことをちゃんと言ってくれる人がいてほしいなと。

 それを任祐に求めるのはちょっとどうかとも思うんですけど、たぶん今、伊沢さん以外でいちばん一緒にいる時間が長いのは任祐なので、任祐が昨年から一緒に見ていて、いいところと直してほしいところを必ず言ってほしい。あとは、若い世代から見て、今後先輩たちにどうしていってもらいたいか。

 僕は先輩を見て『こうしないといけないよな』とか『こうしたいな』と思ったり理想論があったけど、今の若い世代が、今の僕たちみたいな世代をどう見ていて、何を求めているのかというのを若い子からも聞いてみたいなと思います。

* * * * *

 そんなこんなで、ふだん雑誌のインタビューでも載らないような(?)ロングインタビューになってしまいましたが、いかがでしたか? あくまで出し手側からすると、このコーナーっぽくはありませんが、とても興味深い内容だったかなと。

 というわけで、次回は新たなパターンとして、チームメイト同士のリレーとなり牧野任祐選手が登場です。お楽しみに!