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乗ってるクルマが進化する? トヨタとKINTOが始める新サービスとは

2021年12月22日 12:02  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
クルマの技術革新はめざましい。新車を手に入れた直後に、新機能を搭載した同じモデルのニューバージョンが発表になることも、そんなに珍しくはなくなっている。仕方のないことだが、当人にしてみればけっこう悲しい話だ。



そんな思いをするユーザーを減らすべく、トヨタ自動車とKINTOが新たなサービス「KINTO FACTORY」を立ち上げる。ユーザーがすでに購入したクルマを最新機能に「アップグレード」したり、経年劣化で古くなったアイテムを「リフォーム」したりすることで、クルマを「進化」させていくサービスだ。


○ソフト更新でクルマをアップデート?



「KINTO FACTORY」は、すでに販売したクルマにトヨタが開発した新機能を「進化」として提供していくサービスだ。将来的にはKINTOでサブスク契約したクルマでも使えるようになるとのことだが、まずは既販車(トヨタとレクサスのクルマの一部)が対象となる。



例えば、安全機能のひとつである「プリクラッシュセーフティ」(衝突被害軽減機能)は、もともと「クルマのみ」だった検知対象が「昼の歩行者」「夜間の歩行者」「自転車」といった具合に拡大してきているが、ユーザーが最新の機能を手にするには「クルマを買い替えるしかなかった」(KINTOの小寺信也社長)。また、クルマの保有期間が長期化していることで、最新技術がユーザーの手元に届きにくくなっていることも課題だった。KINTOでは「お乗りのクルマはそのままに、ソフトウェアを書き換えることで最新の技術を反映」(小寺社長)していきたいとする。

KINTO FACTORYではまず、ユーザーに2種類の「進化」を提供する。安全性能などクルマの基本性能を後付けする「アップグレード」と、経年劣化で傷んだ内外装をリフレッシュする「リフォーム」だ。将来的には、ユーザーの運転データをもとに個性や好みに合わせてクルマの設定を最適化する「パーソナライズ」にも取り組みたいとしている。



このうち「アップグレード」と「リフォーム」については、2022年1月から「KINTO FACTORY」としてサービスを開始する。「アップグレード」のメニューは「パーキングサポートブレーキ(静止物)インテリジェントクリアランスソナー」「ブラインドスポットモニター」「リアクロストラフィックアラート」の後付けなど安全機能の追加が中心。「リフォーム」はシート表皮およびクッション部分や、ステアリングホイールの本革への交換などとなる。



いずれも車種によって対応可能なメニューは異なる。KINTO FACTORYを利用できる車種は「アクア」「プリウス」「プリウスα」「アルファード」「ヴェルファイア」のトヨタ5車種と「UX」「NX」のレクサス2車種。対象となる年式は現時点で不明だ。車種は順次拡大していくとしている。首都圏の一部店舗でサービスをスタートさせるが、利用料はサービス開始時に発表するとのこと。支払いはゆくゆくサブスクとする計画だが、当面は1回ずつ購入する形を予定している。


ユーザーの関心がクルマの「所有」から「利活用」に移るなか、KINTOはサブスクサービスの提供だけでなく、新たなクルマの乗り方を提案してきた。2021年4月に開始したウェブサイト「モビリティマーケット」では約50社と提携し、「移動」を楽しくサポートするサービスや物販など約110のプログラムを提供。KINTOをユーザー同士でシェアしやすくするアプリや、1人1人の好みの乗り味にソフトウェアの設定を調整するサービスのトライアルも始めている。最近のトピックとしては、支払い方法に「解約金フリープラン」や「初期費用プラン」を導入し、料金体系を多様化した。



ちなみに、KINTOのサブスクは2019年3月に始まったサービスで、2021年11月末には契約件数が累計2万8,000件に達したとのこと。利用者の6割は「これまでクルマを保有していなかった人」と「他メーカーから乗り換えた人」だそうで、全体の4割が20~30代の若年層だという。こうしたデータから、KINTOがトヨタの新規ユーザー獲得に一役買っている現状が見えてくる。



松田慶子 まつだけいこ 自動車産業専門紙、満足度調査会社の自動車担当を経て、サステナビリティ専門誌で自動車産業のカーボンニュートラルなどを担当。子どもの送迎と夫の単身赴任が重なった4年間は年間1.2万キロ以上を運転。関心のある分野はサステナブルなクルマ社会、次世代の育成、環境問題など。運転は好きだけれど、適宜自動運転に切り替えてサボれるクルマの登場を心待ちにしている。 この著者の記事一覧はこちら(松田慶子)