F1のスポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、彼が「あまり芳しくないレーシングカー」と考えている現行スペックのマシンが、来年にはまったく新しいデザインに変わることを楽しみにしている。
2022年のレギュレーションのプラットフォームは、F1、FIAおよびチームの間で何カ月もの議論と協議が行われた末にまとめられた。レギュレーションは、より優れたレースとさらなるオーバーテイクのチャンスを生み出すために、マシン同士が接近戦で追いかけあう能力を向上させる目的のもと考案されたため、F1ファンのためのショーがレベルアップすることになる。
現行のF1マシンが“究極のF1マシン”とみなされることになるかどうかと尋ねられたブラウンは、今日の現行スペックのマシンに関して複雑な見解を明かした。
「究極のF1マシンの定義がなんであるかということによると思う」とブラウンはアブダビで『F1 TV』の番組Tech Talkに語った。
「もし最速ということであれば、おそらくそうだ。もし最高のレーシングカーかということであれば、ノーだ」
「これらのマシンは互いに接近している時、あまりにも危ういと思う。縁石に接触した場合はあまりにも危険だ。パーツが飛び散って機能しなくなる。信じられないような装置だ。驚くほどの複雑さだという意味においてはね」
またブラウンは、現行スペックのデザインの背後にある、エンジニアリング面における素晴らしい性能を強調する一方で、それらは純粋なレーシングマシンとしてコース上で見せ場を改善する助けにはなっていないことを明らかにした。
「それは反復処理を行うソフトウェアで得た方法論だ。ソフトウェアはマシンの特定領域の理想的なデザインにたどり着くまで何度も何度もチェックし続ける。そしてすべてのパーツが他のパーツにとって重要となるので、ひとつのパーツが飛ばされると、結局はレーシングカーなので、正常に機能しなくなる」
「それが新しいマシンにおけるひとつの焦点だ。もう少し堅牢でシンプルにし、重大なことが起きないようにしようとしている。間違いなくチームはコンセプトを複雑にするだろうが、我々はまたそれを引き戻すことができると考えている」
「つまり、それら(2021年モデルの)マシンは魅力的で素晴らしく印象的なデザインだが、実際にはあまり良いレーシングカーではないということだ」