12月21日、WRC世界ラリー選手権に参戦しているMスポーツ・フォードWRTは、同シリーズ最多となる通算9回のチャンピオン獲得ドライバーであるセバスチャン・ローブが『フォード・プーマ・ラリー1』を駆り、来年1月20~23日に開催される2022年シーズン開幕戦モンテカルロに出場すると発表した。
かねてよりその可能性が囁かれていたキャンペーンが実現した。MスポーツがWRCの“新時代”に投入するハイブリッドマシンの開発段階において、前人未到のシリーズ9連覇を達成した“レジェンド”は複数回にわたってステアリングを握ってきた。その彼が伝統のラリー・モンテカルロで自身8回目の優勝を飾るべく、ふたたびWRCの舞台に戻ってくる。
ローブはWRCで数々の記録を塗り替えた後、シリーズへの出入りを何度か繰り返しながら他の分野のモータースポーツプログラムに着手し、そのほとんどで成功を収めている。
彼にとって最新のWRCアドベンチャーとなる今回のエントリーでは、長年ローブのグラベルクルーを務めたイザベル・ガルミッシュがコドライバーの役目を果たす予定だ。これまでローブの隣で9冠王者をサポートし、ともに大成功を収めたダニエル・エレナは先月末にWRCからの引退を発表している。
「Mスポーツと一緒に仕事をするのは素晴らしいことだ。彼らは非常にプロフェッショナルなチームであり、良いクルマを作る方法を知っている。マルコム(・ウィルソン)はチームに深く関わり、ラリーに情熱を注いでいる。彼とはいつも良い関係を築いてきた」と語ったローブ。
「モンテカルロは本当にエキサイティングで、今からワクワクしているんだ」
テストを通じて得たニューマシンの感触について、最速フランス人のひとりは次のように述べた。
「プーマ・ラリー1に搭載された新しいテクノロジーに触れられたのは喜ばしいことだ。それは2017年のマシンとよく似ているが、ハイブリッドシステムが追加されている分、扱いは難しくなっている」とローブ。
「とはいえ、クルマの中で新しいものをマネジメントできるのはエキサイティングだ。テストではクルマのバランスの良さと(最大100kWのブーストが得られる)ハイブリッドのパワフルさに感動した。本当に楽しんでドライブができたよ」
「僕はいつでもドライビングを楽しんでいるが、WRCイベントに参加するときは、それはもう素晴らしい気分になるんだ」
「僕自身はまだ競争力があると考えている。モンテカルロはいくつかのトリッキーな条件があるかもしれないので、チームと初めて一緒に仕事をするには最適なイベントではないかもしれない。しかし、このラリーにはたくさんの良い思い出があり、周りはいつも素晴らしい雰囲気に包まれているんだ」
ヒュンダイi20クーペWRCで出場した2020年のラリー・ターキー以来、2シーズンぶりにWRCに復帰するローブ。彼の起用を発表したMスポーツ・フォードWRTは“ナイン・タイムス・チャンピオン”の他に、クレイグ・ブリーン、ガス・グリーンスミス、21日に3人目のフル参戦ドライバーとして発表されたアドリアン・フルモーによる4台体制で伝統の一戦に挑み、WRC新時代における最初のウイナーとなることを目指す。