従来のシリーズプロモーターであるユーロスポーツ・イベントから運営業務を引き継いだWRCプロモーターは、12月15日にフランス・パリで開催されたFIA世界モータースポーツ評議会(FIAワールド・モータースポーツ・カウンシル/WMSC)を経て2022年のERCヨーロッパ・ラリー選手権暫定カレンダーを発表。グラベル4戦、ターマック3戦、そして未知なる最終戦を含む全8戦のスケジュールを公開し、WRC世界ラリー選手権に倣う形で各イベント最終SSに『パワーステージ』を導入することもアナウンスされた。
感染症に翻弄され幾度ものカレンダー改訂を経た2021年を踏まえ、来季2022年もERC開催実績のある人気イベントで構成され、3月の開幕戦ラリー・セーラ・デ・ファフェ・フェルゲイラスからアゾレス諸島へと、ポルトガルのダブルヘッダーでシーズンの幕が明ける。
5月にはラリー・イソラズ・カナリアスのスリッパリーなターマック戦を経て、その1カ月後にポーランド北部のハイスピード・グラベル戦で前半戦を折り返す。
ブレイクを経た7月にはラトビアのルーズグラベルでシーズンが再開し、ローマ、チェコとターマック連戦を実施。チャンピオンシップは、現状まだ確定されていないクロージングイベントでフィナーレを迎える。
これら名称が公表された7つのイベントは、すべて2021年シーズンにも組み込まれた実績あるラリーばかりであり、WRCプロモーターでマネジングディレクターを務めるヨナ・シーベルは、これまでハイレベルなシリーズを構築してきたユーロスポーツ・イベントと各開催地の契約を「尊重したい」と語っている。
「これはエントラントに人気があり、ファンのお気に入りでもあることが証明されているラリーばかりの、強力なカレンダー構成でもあるんだ」と続けたシーベル。
■ERCとWRCを「近づける機会が得られた」
「新しいラリーと長年の人気ラウンドを組み合わせた、多様なフィクスチャーリストが必要なことは周知の事実だが、現実的に我々が将来のカレンダーを検討するのには時間が必要だ」
そのシーベルは、ERCをWRCプロモーターのポートフォリオに追加することで、双方のシリーズを「近づける機会が得られた」とも述べている。
「それ自体が重要なチャンピオンシップであるだけでなく、ERCはWRCに向けたタレントファインダー(才能発掘の場)だと考えている。双方のシリーズがまるで手と手袋のようにフィットすることを望んでおり、コンペティターが一方から他方へと進むための道を簡素化したいと思っているんだ」
その一環として、ERCは2022年の各イベント最終ステージにWRCスタイルの“ライブTVパワーステージ”を設け、ボーナスポイントを付与するWRCを模倣したフォーマットを採用する。
最終スペシャルステージで最速を記録した5名のERC1カテゴリー登録ドライバーは、5-4-3-2-1スケールで追加ポイントを獲得することとなり、シーズンを通して最大40の追加ポイントを得ることが可能になる。そのため、ここで獲得した重要な10分の1秒は、ドライバーのタイトル争いを大幅に後押しする可能性が出てくる。
このパワーステージはWRC同様に『WRC+ All Live』(http://wrcplus.com/)のWRC+ストリーミングプラットフォームを通じて視聴可能となり、ファンはいつでも、どこでも、好きな方法で、ヨーロッパの主要シリーズの最先端のドラマも楽しむことが可能となった。
■ERCヨーロッパ・ラリー選手権 2022年暫定カレンダー
RoundDateEventRd.13月12~13日ラリー・セーラ・デ・ファフェ・フェルゲイラス(ポルトガル/グラベル)Rd.23月26~27日アゾレス・ラリー(ポルトガル/グラベル)Rd.35月13~14日ラリー・イソラズ・カナリアス(スペイン領カナリア諸島/ターマック)Rd.46月11~12日ラリー・ポーランド(ポーランド/グラベル)Rd.57月2~3日ラリー・ラトビア(ラトビア/グラベル)Rd.67月23日~24日ラリー・デ・ローマ・キャピタル(イタリア/ターマック)Rd.78月27~28日バウム・チェコ・ラリー・ズリン(チェコ共和国/ターマック)Rd.8TBCTBC