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予約の取れない家政婦・seaさんの納得お片づけメソッド 第1回 片づけをはじめる前に知っておくべき、頭の整理ポイント5つ

2021年12月17日 10:11  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
例年、年末の家事代行サービスは片づけのご依頼件数がぐっと増えます。「年内に終わらせたい! 」という具体的な期限が設定できるのが年末に大きなメリット。使いやすくて見た目もすっきりした部屋で気持ちよく新年を迎えませんか? このコラムではおうちの中の各エリアの片づけのヒントを解説していきます。


初回は、手を動かし始める前に知っておいてほしい「片づけの進め方」のこと。

間違えがちな片づけの「はじめ方」と「終わり方」



わたしは、整理収納のサポートを仕事にしています。これまでたくさんの家庭で、収納のあり方の問題点を見抜き、そのおうちにあったしくみに改善するお手伝いをしてきました。その中で知ったのは、多くの方が、片づけの「始め方」と「終わり方」を間違えがちだということなんです。



「いい加減、やらなきゃ……」と思いながらも、手をつけるのが億劫過ぎて、先送りを繰り返してみたり。かと思えば逆に、「さあやるぞー! 」と勢いよく始めたものの、途中で途方に暮れて失速、不完全燃焼で終わってしまったり……。これって、多くの人が経験されていることでは?



こういう経験を繰り返せば繰り返すほど、「片づけは厄介な作業だ」とか「わたしは片づけられない人間だ」というネガティブなイメージが深く刷り込まれてしまいます。決してそうではないのに。



その悪循環は今ここで断ち切りましょう。



必要なのは頭の整理です。片づけをスムーズに始めて、迷走させずに終えられるかどうかは、「やること」と「やらないこと」の線引きにかかっています。



【メソッド1:はじめる前に「やること」と「やらないこと」を明確に】



それでは、片づけで陥りがちな問題のタイプ別に、その解決法を紹介していきましょう。

作業が膨大になり過ぎる人



片づけとは、収まっているモノを整理して、使いやすくしまい直す作業。掃除とは、溜まった汚れを洗剤や道具で落としてきれいにする作業。ごちゃ混ぜに語られることも多いのですが、それぞれまったく別の作業です。今日は片づけがメインなのか、それとも掃除か。作業前にはっきりさせておきましょう。



■掃除メインで、ついでに片づけ

少しずつ出す→洗剤を使う、水洗いするなどしっかりめに掃除→捨てるモノをざっと避ける→残りのモノはざっと揃える程度に整えて元の場所に戻す



■片づけメインで、ついでに掃除

全部出す→ホコリを取る程度に拭き掃除→使用頻度などでしっかり分け直す→出し入れしやすいしくみを作って戻す



クローゼットや玄関収納のように、ホコリ汚れだけなら楽ですが、水まわりの片づけとなるとそうはいきません。キッチンなら、引き出しや棚が油でベトついていたり、洗面台なら、歯ブラシ立てにヌメリが出ていたりしますよね。



そういうときに、なし崩し的に掃除作業に流れてしまわないこと。「今日は掃除じゃなくて片づけがメインだから」と、さっと拭いて落とせる範囲の汚れ取りで終わらせる割り切りが大事です。



【メソッド2:作業が膨大になり過ぎる人は「片づけ」と「掃除」と分けて考える】

片づけの先延ばしを繰り返す人



「さあやるぞー! 」と右足でアクセルを踏み込みながら、同時に「やりたくない……!! 」と左足でブレーキを踏み込んでいるような人、片づけサポートの場面では本当によくお見かけします。あなたはどうでしょうか?



ブレーキは2種類あるようなので、自分がどちらのタイプか理解しておくとよいでしょう。



■ブレーキ1:なんとなく億劫な気持ち

「自分はスイッチが入れば動けるタイプだけど、そのスイッチがなかなか入らない」と自覚している人。あなたを無駄な葛藤から引き上げるのは単純に「場のチカラ」です。



SNSを利用して「“これからキッチンを片づけます”と宣言して経過を見届けてもらう」「オンラインの片づけルームに参加して、イベント的に作業する」といった方法が効果的。人の目が、自分に強制的にスイッチを入れてくれる「場のチカラ」になります。

■ブレーキ2:「捨てる」に感じる痛み

「モノを捨てる判断がつらい、苦手なタイプ」と自覚している人。あなたに必要なのは「捨てるか捨てないか」からいったん離れることです。「今度こそ捨てられる自分になる! 」と悲痛な決意をしても、心の底で「でも捨てたくない……」と叫んでいるもうひとりの自分がいては、仕分けも進みません。



「捨てる」じゃなく、「使うか、使わないか」で「分ける」。このイメージを持ちましょう。「捨てて、モノが減った状態」を目指すのをやめて「使うモノがスムーズに出し入れできる状態」を目指す片づけに変えるのです。



大事なのは「これからも使いたいモノ」のはず。使わないモノに心を乱されて、エネルギーを消耗するのはもったいなさすぎます。



【メソッド3:作業が膨大になり過ぎる人は「片づけ」と「掃除」と分けて考える】


モノは少ないのにリバウンドが早い人



捨てることに抵抗はなく、モノがそれほど多いわけでもないのに、定位置を決めても守れない・戻せないモノが出しっぱなしになりがち、という人も意外に多い印象です。わたしに片づけをご相談くださる方の3~4割がこのタイプなのですが、不思議なことに、ほとんどの人が「もっと減らせないか、がんばってみます」みたいに仰るんですね。



自分がこのタイプだと感じたあなた、もうこれ以上減らすことを考えなくていいです。片づかない原因はモノの量じゃないと思いますよ。これからは、「戻しにくさ」にアンテナを立ててみてください。



<「戻しにくさ」の原因>

・使う場所と、しまう場所が離れていて戻しにくい

・しまう場所がバラバラすぎて戻しにくい

・しまうまでの工程が多かったり、複雑だったりして戻しにくい



カバンの定位置が、リビングから離れた自室の、しかもいちばん奥にあるラックだったり、毎日使う食器が食器棚のあちこちに分散していたり、使い終わったおもちゃをいちいち箱に入れてしまうルールだったり……。そういった「戻すめんどくささ」を解消することで、きっと劇的に片づくようになるはずです。



【メソッド4:モノは少ないのにリバウンドが早い人は「量を減らす」以外の「戻しやすさ」を考える】

片づけがいつも不完全燃焼で終わる人



片づけのゴールを「スッキリした●●」にするのは不完全燃焼の元です。イメージが漠然とし過ぎているため、どんなにがんばって片づけても、モデルハウスのような理想と現実を比べてしまって「思ったほど見た目が変わらなかった」「一部分しか手をつけられなかった」などと、「できなかったこと」ばかりに目が向くようになります。



これ、実はわたしたち片づけのプロも、経験が少ないうちは陥りがちな失敗だったりします。



片づけは「見た目をどうしたいか」じゃなく、「具体的な使い勝手をどうしたいか」を考えた方がうまくいきます。あなたは家の中で、どういう行動をスムーズにしたいですか? 朝食準備を時短したい、食材を見渡して夕食の献立をパッと決められるようにしたい、平日の通勤服のコーディネートをラクにしたい、ダイニングテーブルで、子どもの勉強時間と夕食時間がチャチャっと入れ替えられるようにしたい……今の暮らしの中で優先度の高いテーマがあるはずですよね。



「具体的に叶えたい使い勝手」がはっきりすると、「やること」と「やらなくていいこと」の線引きができるようになります。ここが大事。たとえば、「朝食準備をスムーズにしたい」なら、朝食に使う食器とカトラリーと食材、使用する家電のことだけ考えればOKですよね。時間に余裕があれば、昼夕食の食器、週末に使う食器の使い勝手まで手を広げても良いでしょう。



重要なのは「できなかった」ではなく、「やらなかった」と思える終わり方です。



【メソッド5:片づけがいつも不完全燃焼で終わる人は「見た目」より「使い勝手」をどうしたいか考えよう】


さて、今回は「片づけの始め方・終わり方」を解説しました。いかがでしたでしょうか? 片づけは、初めの1回を「やり切った感」の成功体験で終えるのが肝心。「できるじゃん! 」と思えれば、そこから先、別の場所の片付けは勝手に自走し始めますよ。がんばりどころです。



次回は、キッチンの食材管理についてのメソッドをお伝えします。


○新刊『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。いちばんシンプルな「片づけ」の方法』



(ダイヤモンド社刊/1,430円)散らかる原因の9割は、「めんどくさい」が放置された結果! 必要なのは、努力ではなくて「正しいしくみ」です。6000軒を片づけた“予約の取れない家政婦”が、「めんどくさい」の一番簡単ななくし方を教えます! いままで何度もリバウンドしていた人、ズボラな人にこそ向いている、一生、家事がラクになる本です。

家族の片づけコンサルタント : sea しー 大学卒業後に始めた家事代行サービスの仕事にどっぷりはまり、20年以上にわたって個人宅の片づけや掃除を行ってきた。いままでに片づけた家は6000軒以上。家事代行マッチングサービス「タスカジ」では「seaさんが片づけてくれると、なぜか家族の仲までよくなる」と口コミで評判になり、「予約の取れない家政婦」と呼ばれるようになった。メディア出演や執筆、片づけ講座の企画・開発など幅広く活動を行う。 この著者の記事一覧はこちら(sea)