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上白石萌音が10年後に立った憧れの舞台 『カムカム』で少女から母親へ自然な変化

2021年12月14日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(写真提供=NHK)

「どげえに辛ろうても、苦しゅうても、顔を上げて、前を見て、ひなたの道を歩いて行く。その姿をるいにも見せる。そう決めたんです」


 そう言って千吉(段田安則)を見つめる安子(上白石萌音)の顔には、るいを育てていくという母としての決意がみなぎっていた。一方で、店を手伝うるいを褒めたり、自ら起こした事故で額に傷を負ってしまったるいを心配したりする顔は、娘を深い愛情で包む母親そのもの。『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)で初代ヒロイン・安子を演じる上白石は、もう稔(松村北斗)に恋い焦がれるピュアな少女ではなく、娘を守る強さと愛を合わせ持った母の姿になっている。


【写真】SNSに投稿された安子とるい


 上白石は、『恋はつづくよどこまでも』(2020年/TBS系)の佐倉七瀬役や『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(2021年/TBS系)の鈴木奈未役で、ヒロイン役を好演。いずれも周りに振り回されながらも仕事に奮闘し、好きな人には真っ直ぐ思いを伝えるという役だった。その点から見れば、稔のことを想う安子は、上白石の「得意な役」といえるのかもしれないが、これまでのキャリア上、上白石には“母親役”の経験はない。しかし不思議とその姿は、るいが大きくなるにつれてどんどん母親らしくなっていく。そこには上白石の気遣いと努力があるように感じる。


 ドラマでは、るいの成長に合わせて複数のるい役がいるよう。上白石は、その“るいたち”を安心させるために常に一緒にいるのだ。『カムカムエヴリバディ』の公式Instagramでは、2人の“るい”をおんぶに抱っこしながらも優しい表情を浮かべる上白石の姿や、“るい”と上白石が一緒に遊ぶオフショットが公開されている。


 また、安子の母、小しずを演じた西田尚美は、自身のTwitterで、“るい”と一緒にいる上白石の姿を公開。さらに撮影時、泣き出した、“るい”を上白石に預けるとピタリと泣き止んだというエピソードも明かしている。


 ここまでの『カムカムエヴリバディ』は戦中・戦後という背景上、辛い場面も多いが、るいはいつでも明るい声や笑顔、愛くるしい表情を見せてくれ、私たち視聴者を安心させてくれる。きっとこれは上白石が撮影以外でもるいとの関係性を大事にしてきたからこそ、見られるものなのだろう。そしてそのるいとふれあっている上白石も、るいに導かれるように母親として成長していったのではないだろうか。


 かつて、朝ドラ『おひさま』(2011年)を見てから井上真央に憧れていることを語っていた上白石(※参考)。 ちょうど10年後、彼女は今、憧れの人と同じ舞台に立っている。これから安子は一人の女性として、母親としてどう生きていくのだろうか。同時に上白石はどんな女優になっていくのだろうか。そんなふうに思いを馳せてしまう。


※1参考
『舞妓はレディ』の上白石萌音は胎教からずっと音楽漬け! 最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS(https://moviewalker.jp/news/article/50211/)


(久保田ひかる)