トップへ

「長期インターンで専門性を身につけたい」? 学生が抱きがちな幻想

2021年12月13日 15:50  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

私の会社では常に学生インターンを募集しています。1カ月に10数件、多いときは数十件の面接があります。その面接で本当に数多く聞くのが、「専門的なビジネススキルを付けたい」という志望動機です。

「WEBマーケティングのスキルを付けたい」
「営業のスキルを付けたい」
「キャリアアドバイザーとしてスキルを付けたい」

こんな発言をする方には、「なぜ長期インターンをするのか?」と理由を聞いています。(文:キャリアコンサルタント 坂元 俊介)

学生の答えは…


ほとんどの学生の答えは「就職活動のため」、または「社会に出た時の備え」のどちらかです。

ただ、残念ながらインターンで身につけられるレベルの「専門性」は、就活ではほとんど役に立ちません。

経団連の新卒採用に関するアンケート調査によると、企業が重視するポイントはコミュニケーション力・主体性・チャレンジ精神などで、「専門性」は13位です。

別の調査でも、新卒採用で最も重要視する要素は「人柄」となっていました(出典:リクルートキャリア「就活白書」)。

つまり、企業は一般学生が身につけられるレベルの「専門性」を重視していないということです。社会人になったあとのアドバンテージも、そこまで大きくありません。インターンで身につけられる程度の「専門性」は、実務につけば自然と身につくので、せいぜい1~2カ月で周囲と大差なくなるでしょう。

むしろ、変な癖や型が入って邪魔だと考える企業すらあります。
だから、新卒採用で「専門性」は重要視されないのです。

新卒採用で重視されるのは?

長期インターンで学ぶべきポイントは「仕事への向き合い方」です。

・何かを聞かれたら、すばやく返事する
・任された仕事を、きちんとやり遂げる
・仕事の中で、スキルを身につけようとする
・周囲の信頼を勝ち取り、任せてもらえる仕事を増やしていく

新卒採用では、こうした仕事への姿勢、スタンスが重要視されています。社会人になってからの成長にも大きく影響するからです。

つまり、企業は就活時点での能力差が多少あっても、成長ポテンシャルの高そうな学生を採用する、ということです。

、長期インターンをすることは、一緒就活に働く人たちおいてや、社会人としてスタートダッシュを切ることに対して、無駄なから「仕事へのでしょうか?

決してそんなことはありません。

長期インターンをすることで、仕事のスタンスを身につけることこそ、非常に重要になります。
これこそが、私がスキルを重視する学生に必ず伝えていることです。

仕事のスタンス、とは仕事に対しての向き合い方」を学べるチャンスです。アルバイトのようにお金ではなく、成長を目的とする長期インターンだからこそ、社会人よりも、この仕事への向き合い方が身に付きやすいのです。付け焼き刃のスキルを身につけようとするのや姿勢です。

・連絡は24時間以内に必ず返す
・任された仕事は必ずやり遂げる
・自分が出せる価値を徹底的に追及する
・時間ではなく、長期的な目線で長期インターンを考えてもらいたい価値の対価として給料を貰っていると自覚する
・当事者意識を持って、主体的に仕事を勝ち取っていく

こういった、強いスタンスは、給料ではなく、成長を求めて行うインターンという場において、実は社会人よりも身につけやすくなります。

そして、この仕事に対してのスタンスこそ、上述のように新卒採用においても非常に重要視されており、社会人になってからの成長にも大きく影響します。

能力値が最初は高いが仕事へのスタンスが悪い新入社員と、能力値が最初は低いがスタンスが良い新入社員、1年後どちらが活躍しているかは、火を見るよりも明らかではないでしょうか。

だからこそ、これから長期インターンを探す学生には、目的をちゃんと考えた時、安易にWEBマーケティングの専門的なスキルが身につきそう!と、長期インターン先を選ぶのではなく、強い仕事へのスタンスが身につきそうなインターン先を探して欲しいと思います。

—–

著者近影

【坂元 俊介】株式会社STORY CAREER代表取締役/キャリアコンサルタント・採用人事コンサルタント
同志社大学経済学部卒。新卒でリクルートHRMK(現リクルートジョブズ)入社。中途・新卒領域における求人広告媒体の営業に従事、その後、営業として3つの新メディアの立ち上げを行う。リーダーや大手担当を経験。Webベンチャーでのオフィス長経験を経て、30歳になるタイミングで家業の和菓子屋を継ぐとともに、企業の採用コンサルティング会社を立ち上げ、採用人事支援なども行う。リクルートの同期が立ち上げた株式会社STORYの法人化の際に、取締役に就任。大学生・第二新卒層のキャリア支援をおこなうSTORY CAREER事業部の責任者を兼任。2020年4月、STORY CAREER事業部の拡大に、同事業部を分社化、株式会社STORY CAREERの代表取締役に就任。毎年数百名の大学生・社会人のキャリア支援を行っている。