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BTS JIN、「SUPER TUNA」チャレンジも話題 両面的な魅力と絶妙なバランス感覚が光るメンバー

2021年12月12日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

BTS「Permission to Dance」

 12月4日に誕生日を迎え、29歳(韓国年齢30歳)となったBTSのJIN。この日、JINはYouTubeの公式チャンネル『BANGTANTV』にて新曲「SUPER TUNA」のパフォーマンス動画を公開した。


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 1分12秒というコンパクトな本作は、JINが大好きな釣りをしながらノリで作った曲だそうで、「참치!(チャムチ※日本語で「まぐろ」「ツナ」の意味)」と叫びながら魚が泳ぐようなダンスを披露。トロット(韓国演歌)を彷彿とさせるこぶしを効かせた歌い方も力強く、“グローバルスターのBTS”とはまた違った一面を見せてくれる作品となった。


 この一度聴いたら忘れられないキャッチーなサウンドとシンプルな振り付けに、SNSでは「SUPER TUNA」の振り付けを真似した踊った“チャレンジ動画”が続々と投稿され、パフォーマンスビデオもYouTubeの急上昇ランキング音楽部門で1位にランクイン。世界的に注目を集める事態に発展している。


 そんな盛り上がりにJINもさぞかし喜んでいるかと思いきや、公式コミュニティアプリWeverseでは「いや、みんな私が計画してなかったSUPER TUNAチャレンジしないで。いや、恥ずかしすぎる」「いや、他の歌たくさんあるのに、なんでSUPER TUNAチャレンジをするんですか? これが大きくなったら会社でパート2作ろうって言い出すかもしれないから、やめて~!」という内容のコメントを投稿しているから、また面白い。


 恥ずかしい、だけど、みんなには楽しんでほしい。そんな複雑な想いを胸にパフォーマンスビデオを投稿したJIN。この姿勢は先日行なわれたコンサート『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE – LA』でも見受けられた。JINは4日間の公演で、アンコールのタイミングに頭に何かしらのアレンジをして再登場するファンサービスをしていたのだが、最終日にはBTSメンバーがデザインしたLINE FRIENDSとのコラボキャラクター・BT21の1人で、JINがデザインを担当&「息子」と呼んでかわいがっている、RJを頭にくくりつけて登場したのだ。もちろんこれにはARMY(=ファン)も大喜び。だが一方で「30歳になってこういうのを頭につけるのは恥ずかしいです。でもみなさんが喜んでくれるからやったんです」と語っていたのも印象的だった。


 また、最終日はJINの誕生日を直前に控えていたこともあり、ARMYがJINのソロ曲「Moon」にちなんでアミボム(ペンライト)を月形に光らせるサプライズなどを用意して感動を呼ぶ場面も。その喜びも相まって「(サプライズ)イベントをしてもらったらどんな気持ちなのかわかったので、恥ずかしいけどこれからも研究していきます。いつも僕の自尊心を高めてくださってありがとうございます!」と挨拶を締めていたJIN。「SUPER TUNA」は事前に準備して作り上げていたものではあるものの、そんなARMYへの決意を実現する形になった。


 振り返ればJINという人は、いつも両面的な魅力を見せてくれる人だ。恥ずかしがり屋なのにサービス精神旺盛。マイペースなのに努力家。素っ気なさそうで面倒見がいい。「WWH(ワールドワイドハンサム)」を自負しながら、茶目っ気ある言動でムードメーカーにもなる。森の中でBTSのメンバーがリラックスした時間を過ごすリアルバラエティ番組『IN THE SOOP』シリーズを見ていてもそうだった。大好きな釣りに出かけ、プールに浮かんでリラックス。そんな自分だけの時間を重視するのかと思いきや、メンバーのために率先してご飯を作る姿が映し出される。


 また、バラエティ番組『Run BTS!』でテニスに取り組んだ際には、個人的に時間を作って練習に勤しむ姿もYouTubeで公開されていた。そのままメンバー対抗テニス大会ではJINが見事優勝し、メンバーから「努力は裏切らない」と絶賛……されたのも束の間、「こんな金メダルをもらっていいのか」と謙遜するとすぐにSUGAから「じゃあ返してください」とイジられ、挙げ句の果てにはVにこっそり奪取され、「え!?」と戸惑うリアクションで笑いを誘ったこともあった。


 努力に裏付けされた素晴らしいパフォーマンスと、気さくにイジられる隙と。JINが多くの人から愛される最大の魅力は、そうした両面を見せることで、どちらにも傾かないバランスの良さをキープしていることだ。ともすれば、その存在感はストイックに努力を重ねるメンバーに対してポジティブに息抜きをする風となり、グローバルスターとして大きくなるBTSを見守る多くのARMYに対して、いつでも身近でいてくれるのだという安心感になる。


 著名な音楽賞を次々と受賞し、まさにスーパースターとしての階段を駆け上がっているBTS。JINの活動を見ても11月にソロ曲「Yours」を発表し、その美声を存分に発揮している。「シルバーボイス」との呼び声も高い歌声は、繊細でありながらより奥行きを感じられる唯一無二の声色となっていることに気付かされる。


 そうして世界的アーティストとしての成長を感じるほどに、その存在が遠くなってしまうように感じる人もいるだろう。そこをグッと引き寄せて、ずっと一緒に楽しもうと笑いかける。「SUPER TUNA」は、そんなJINならではの粋な計らいとも思える作品なのではないだろうか。今後も、BTSはより大きく羽ばたいていくと同時にずっと親しみやすさをにじませてくれるに違いない。その躍進の中心には、きっとJINの絶妙なバランス感覚が光り続けることだろう。(佐藤結衣)