2021年12月11日 09:31 弁護士ドットコム
12月に入り、多くの人には、もうすぐ年末年始の休みがやってきます。ただ、「今年の年末年始は短すぎる」と東京都内の会社員マコトさんは憤っています。
【関連記事:花嫁に水ぶっかけ、「きれいじゃねえ」と暴言…結婚式ぶち壊しの招待客に慰謝料請求したい!】
確かに、カレンダーをみてみると、2022年1月1日が土曜日、2日が日曜日であるため、行政機関の休みにあわせて、今年の12月29日から冬休みになったとしても6連休です。
実は、昨年の年末年始も6連休だったのですが、12月28日(月)を休みにできれば、9連休になりました。一昨年の年末年始は、2019年12月28日、29日が土日で、2020年1月4、5日が土日だったため、何もしなくても9連休でした。
ちなみにそのさらに1年前は6連休でしたが、1月4日(金)を休みにすれば9連休になりました。そういった意味では、今年は12月27、28日の2日間休まないと休みがつながりません。
以上は、12月29日から休みの場合でしたが、30日から休みという職場の場合は、今年はもっとつなげにくくなります。
休みをつなげようとすると、有給休暇を取得するなどの工夫が必要ですが、忙しい年末年始に取得できるのでしょうか。今井俊裕弁護士に聞きました。
「来年の年始にかけて、世間の多くの会社で、所定休日と推定される日数が若干少ない様子ですね(笑)。
もちろん休日は就業規則や労働契約で決まるものであり、それに反していなければ、働く者としては法的には会社に文句は言えないこととなります。
しかし例年と違って短く、恒例の里帰りができない、あるいは、しにくいので諦める、といった悩みもあるかもしれません」
そういった場合に、年末年始に隣接した日程で有給休暇を申請すれば、認められるのでしょうか。
「有給休暇を請求すれば上手に休日を連結できるかもしれません。もちろん、働く者が一方的に請求しても、法律上、会社には時季変更権と呼ばれる権利があります。
これは、働く者から請求された日に有給を取得されると、事業の正常な運営に支障が生じる場合に、会社から有給を請求した従業員に対し、別に日に変更してくれ、と主張できる権利です。
仮に真実、事業運営に支障が生じるような状況であるならば、原則として会社の主張が通ります。働く者は別の日を再考しなければなりません。
もっとも、年末年始のような状況ならば、小売店、メーカー、サービス業その他業種や業態を問わず、それなりに事業運営について配慮して工夫していることも多くあるでしょう」
有給休暇の「5日間消化義務」というルールをよく聞きますが、このルールを前に出して交渉するのはアリでしょうか。
「この仕組みは、2019年4月以降に、年間有給休暇日数を10日以上付与された方で、まだ有給休暇の消化日数が5日に満たない場合は、付与日から1年以内に消化日数が5日に満つるまで、会社の方から積極的に従業員の意見を聴いた上で有給休暇を消化させる義務がある、というものですね。
ただし、あくまで付与された日から1年以内に最低でも5日間を消化しておれば基準は充たすことから、あわてて有給休暇を消化させなければならない事態は実際にはあまりないとは思います。もし、消化の期限がたまたま12月や来年1月になっている、などの事情があれば、交渉の余地が多少はあるかもしれません」
【取材協力弁護士】
今井 俊裕(いまい・としひろ)弁護士
1999年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における、開発審査会の委員、感染症診査協議会の委員を歴任。
事務所名:今井法律事務所
事務所URL:http://www.imai-lawoffice.jp/index.html