バイコレス・レーシングは2022年のWEC世界耐久選手権に向けたタイトなテストプログラムに備え、来週にも開発中のル・マン・ハイパーカー(LMH)規定車を始動させることを計画している。
ドイツのグレーディングに拠点を置くバイコレス。このオーストリア国籍のコンストラクターは今秋に予定されていたノンハイブリッド・ハイパーカーのロールアウトをまだ実施していない。
チームを率いるコリン・コレス博士は、テストカーの内部コンポーネントパーツが最終的に組み上がるのとロールアウトが関連づいているとし、新車の展開が「間近に迫っている」ことを示唆した。
コレスはSportscar365に対し、イギリスのXトラック社から新しいギアボックスの供給を受ける際に発生した“ブレグジット関連”の税関の遅れが、当初予定していた最初のテストをわずかに遅らせたと語った。
新しいギアボックスがクルマに取り付けられれば、バイコレスは初めてLMHマシンに火を入れ、ホモロゲーション前のテストプログラムに取り掛かることができるようになる。
今週火曜日にはバイコレスの開発ドライバーのひとりであるトム・ディルマンが、自身のSNSでシート合わせの様子を公開。ワークショップに置かれたPMCプロジェクトの新型マシンの貴重な写真を提供している。
「ギアボックスは準備ができているが税関で何らかの管理上の問題があった。ギアボックスを取り戻し、新しいものを持ってくる」とコレスは言った。
「これはおそらく今週中には実現し、そのあと火入れを行う予定だ。火入れは来週になるだろう。これが我々の計画だ」
「エンジンに問題はない。ギブソンはレース仕様のエンジン(を完成させること)に取り組んでいる。完全なレーススペックエンジンは来年2月か3月にできあがるだろう。テスト用のエンジンはすでに搭載されている」
「ロールアウトは(地元の)空港で行う予定だったが、いまは地獄のように雪が降っている。完全に吹雪だ」
コレスは、WECのハイパーカークラスに別の名前で参加する可能性があるレースチームは、2022年のフルシーズンエントリー申請書を提出する予定だが、必要な書類をまだ提出していないことを明かした。
同氏は、ハイパーカークラスで要求されるように、彼のチームがフルシーズン参加できることを望んでいる。しかし、一方でそれまでにホモロゲーションの準備が整わない場合は3月の開幕戦セブリング1000マイルを欠場することもオプションとして考えている。
■条件付きで99%エントリー申請を行う
バイコレスのハイパーカーがセブリングに間に合うか、との質問に対しコレスは、「これは主催者によって明らかにされるべき問題だ」と答えた。
「というのも、我々の力ではどうにもならない遅延があるためだ。問題はホモロゲーションを行う必要があることで、これらはすべてが正しくなければならない。これを明確にする必要があるんだ」
「現段階では我々はエントリーを行う予定でいる。メーカーとしてはフルシーズンエントリーする以外に方法はない」
コレスはSportscar365が9月に行ったインタビューで、適切な財政条件が得られれば、チームは2台のハイパーカーでの参戦を検討していることを示唆していた。改めて2台のクルマを走らせる可能性についての最新情報を求められた彼は、次のように答えた。
「私には分からない。いま分かっているのは、この10日間で火入れを行い、セブリングに関するいくつかの点が明確になるのを条件に99%の確率で1月15日までにエントリー申請を行うということだけだ」
「現在はふたつのモノコックがあり、2月までに3つめのモノコックを用意する計画だ」
コレスは、ル・マン24時間を含む2022年のWECシーズンに向けて「何人かのドライバーと話をしている」と付け加えた。
バイコレスではディルマンとエステバン・グエリエリが開発ドライバーとして契約しているが、グレーディングでシート合わせをしたのはディルマンだけだった。
コレスは「クルマに乗るチャンスのあるドライバーはすでにそのことを知っている」と語った。