トップへ

森田剛さん、妻・宮沢りえさんの「婿養子」「婿」と報道…弁護士は「単なる俗称」と指摘

2021年12月10日 10:21  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

日本では夫が妻の姓を名乗ったり、妻の親と同居したりする事例が少ないためなのか、そうした家庭では第三者が夫のことを「婿」や「婿養子」と呼び、当事者が困惑するケースも珍しくないという。


【関連記事:カーテンない家を「全裸」でうろつく女性、外から見えてしまっても「のぞき」になる?】



最近も「森田剛 宮沢りえの婿養子になっていた!新事務所設立で名字が“宮澤”姓に」。そんな記事が11月下旬「女性自身」に掲載され、SNSには「夫なのに、婿養子?」などと疑問の声が相次いで投稿された。なお、記事のタイトルはその後「婿になっていた!」に修正されている。



同誌によれば、森田剛さんと宮沢りえさん夫妻は11月、共同で新事務所を設立しているが、取締役として森田剛さんではなく、宮澤剛さんとして名を連ねているという。このことから、同誌は森田さんを「婿」(修正前は「婿養子」)と書いたようだ。



婿や婿養子は法的にはどのような位置付けになるのだろうか。新保英毅弁護士に聞いた。



●「婿養子」法律には規定がない

「婿養子」「婿」と報じた記事には、違和感があり、時代錯誤の印象を受けました。



法律上、夫婦は結婚のときに夫または妻の「姓」を選択して届け出ることになっています(民法750条)。夫、妻いずれの姓を選択するかは自由です。宮沢りえさんと森田剛さんの夫婦は、妻の姓を選択されたに過ぎません。



妻の姓を選択したからといって夫と妻の親との間に親子関係が発生するわけではありません。親子関係を発生させるためには別途養子縁組が必要です。



婿養子とは、男性が女性と結婚するのと同時に女性の親と養子縁組をすることです。これは家父長的家督相続を目的とするもので、明治民法には規定がありましたが、戦後の民法改正で削除され、現在の法律には規定はありません。



しかし、現在でも夫の姓を選択する夫婦の方が多い実情と、昔の家父長制的な発想の名残りから、妻の親と養子縁組することなく単に妻の姓を選択した夫を「婿養子」や「婿」と呼んでいる例もあるようですが、単なる俗称に過ぎません。



森田さんが宮沢さんの親と養子縁組したかどうかは分かりませんが、配偶者の親と養子縁組する場合、財産や事業の承継が関係していることがあります。養子縁組すると養子は実子と同じ相続権が発生しますので、養親の財産や事業を養子に承継させやすくなるというメリットがあるためです。




【取材協力弁護士】
新保 英毅(しんぼ・ひでたか)弁護士
2004年弁護士登録。相続・遺産分割事件、中小企業の法務の案件を多く取り扱っている。モットーは「依頼者ひとりひとりに適したオーダーメイドのサービス」。
事務所名:新保法律事務所
事務所URL:http://shinbo-law.com/