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安東弘樹のクルマ向上委員会! 第51回 「ランクル」に乗った安東弘樹、愛車「ジムニー」に思いをはせる

2021年12月09日 11:02  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
今から注文しても、届くまでに2年以上(噂ではもっと長い)はかかるというトヨタの「ランドクルーザー」(通称、ランクル)。三菱自動車「パジェロ」やフォード「エクスプローラー」などに乗っていたこともあるクルママニアの安東弘樹さんは、新型ランクルをどう感じたのでしょうか。試乗に同行しました。



※文と写真はマイナビニュース編集部の藤田が担当しました。


○正常進化に納得



ランドクルーザーはトヨタの本格的クロスカントリー4輪駆動車(4WD)。堂々たるその姿は本当に路上でよく見かける。今年は14年ぶりにフルモデルチェンジを実施した新型が発売となった。安東さんは「2021-2022 日本カー・オブ・ザ・イヤー」(COTY、結果発表は12月10日)の最終選考会で新型ランクルに試乗。千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイの周辺で一般道を走った。


安東さん(以下、安):(乗り込んで第一声が)原始的なシフトレバーですねー! メーターもコンベンショナルですね。



マイナビニュース編集部(以下、編):新型ランクルの第一印象って、いかがでしたか?



安:うまいな、と思いました。



編:そのこころは?



安:ランクルが好きな人は、こういう押し出しの強さが好きだろうな、嗜好をうまく押さえているな、といった感じです。



編:下手にイメチェンをしなかった。



安:正常進化ですね。ただ、このクルマを誰が、どこで、何のために乗るのかは、ちょっとよくわかりませんね……。



編:私も2泊くらい借りて乗ったんですが、最初のころは、あまりに大きいので少し持て余しました。自宅付近のコインパーキングに止めたんですけど、ギチギチで。



安:ハハハハ!



編:ただ、最終的には、通り抜けられない場面が多かったりして、「急いでも仕方がないな」みたいな、ゆったりした気持ちになってきて、それからは楽しかったんですけどね。



安:なるほど。確かに、このくらい大きなクルマだと、すれ違うのがつらい場面とかありますよね。


安:このクルマ、マニュアルモードはあるんですけど、パドルシフトは付いていなんですね。ドイツ勢だったら、必ず付いていると思いますけど。(マニュアルモードを選択し、シフトレバーを上下させてギアを変えつつ走行しながら)まあ、ランクルに乗って、こういう運転をする人はいないのかなー。



編:マニュアルモードとかパドルシフトとかって、どのくらいの人が使っているんですかね? 私もめったに使わないのですが……。



安:さあ……1%くらい、ですかね。



マニュアル(マニュアルトランスミッション=MT)には、いろいろといいところがあるんですけどね。例えば、渋滞を減らすことにもつながるんじゃないかと思うんです。みんながブレーキに頼りすぎてしまうから渋滞が発生するというのは、渋滞学でわかっていることなんですよ。ATとかCVTのクルマは道が混んでくると、ガバッっとブレーキを踏んでは少し進んで、またブレーキを踏むじゃないですか。そうするとブレーキランプが頻繁についたり消えたりするわけですけど、それを見て後続車がブレーキをかけるとどんどん後ろに伝わっていって、渋滞が発生するんです。

編:減速にもっとエンジンブレーキを使えば、渋滞が軽くなる?



安:だと思いますね。それと、マニュアル車に乗っていると、渋滞が全く苦にならないんですよね。昨日も30kmの渋滞に遭遇したんですけど。



編:え!?



安:「ジムニー」(安東さんの愛車の1台、スズキの小さな本格SUV)で奈良井宿(長野県、中山道の宿場だったところ)まで往復して、渋滞にはまったんですけど、全然いやじゃありませんでした。進む道の先の方を見ながらMTで運転していると、かなりの部分、ブレーキを踏まないで進んでいけますし、下り坂ではニュートラルを選ぶとかいろいろと工夫ができて、燃費もすごくよくなるんです。昨日はジムニーを買ってから初めて、15km/lを超えました。


安:目線の高さが、ダンプと同じくらいに感じますね。私のジムニーもいじっているので、高さは同じくらいなんですけど。



ランクルの見切りは悪くないんですけど、やっぱり運転には気を使います。それにしても、ボンネットの真ん中がかなり凹んでますね! なんでこんな造形なんだろう。やっぱり、見やすさなのかなー。



ディーゼルエンジンのトルクでもやっぱり、重さは感じます。結構、ディーゼルらしい音もしますよね。乗り心地は少しドタバタする感じです。車線維持の制御は、かなり強めにかかりますね。洗練という意味では、「Gクラス」などドイツ勢とはまるで違うという印象です。



編:そこがランクルのよさでもある?



安:それはいえると思いますね。ランクルでさえあれば、どんなクルマでも好きというロイヤリティの高いファンが多そうですよね。


編:安東さんはこれまで、大きなクルマにもたくさん乗られてきたと思うんですけど、なぜランクルを買わなかったんですか?



安:やっぱり大きすぎるのと、これまでディーゼルエンジンの設定がなかった時期もあったので。昔はあったんですけど、当時のは好みのディーゼルではなかったんです。



編:新型はどうです?



安:私の好みとしては、選択肢に入らないと思います。4WDの機構とかはすごいと思うんですが……。


袖ヶ浦フォレストレースウェイの周辺は山というか森林というか、ちょっとしたオフロードのような場所が結構ある。そんな林道を関心ありげに横目に見つつ、ランクルを走らせる安東さん。



編:そういえば、ジムニーを購入した動機のひとつとして「林道熱が高まってきた」ことを上げていらっしゃいましたよね。ああいう山道にランクルで入ったら、楽しいでしょうね。



安:いや、ランクルだと、日本の林道はとてもじゃないですが、大きすぎて入れないと思いますよ。日本の林道を走るなら、ジムニーにかなうクルマはないでしょうね。実際、入り口に「軽自動車のみ」と書いてあるところもあるくらいですから。


編:さてランクルですが、乗ってみてどうでしたか?



安:こういうクルマにあえて乗る楽しみがあるということは、もちろんわかります。それに、日本車にロイヤリティを持っている人には、合っているのかなとも思います。日本車で最も大きくて、最も高級なクルマを選ぶとなれば、ランクルということになるでしょう。悪くいうと旧態依然としたクルマですが、よくいえば正統派。好みはわかれるでしょうね。



安東弘樹 あんどうひろき 1967年10月8日生まれ。神奈川県出身。2018年3月末にTBSを退社し、フリーアナウンサーとして活躍。これまでに40台以上を乗り継いだ“クルママニア”で、アナウンサーとして初めて日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。 この著者の記事一覧はこちら(安東弘樹)