元F1ドライバーで現在F1解説者を務めるマーティン・ブランドルは、マックス・フェルスタッペンのドライビング能力を称賛、優れたドライバーであるだけにサウジアラビアGPでの走りは「悲しい」と述べている。
F1第21戦サウジアラビアGP決勝はアクシデントが連続し、赤旗で2回中断される展開になり、そのなかでフェルスタッペンは、コースからはみ出してポジションを守るという行為を繰り返し、タイトル争いのライバル、ルイス・ハミルトン(メルセデス)にポジションを譲る際に急ブレーキをかけて追突事故の原因を作った。フェルスタッペンは、リスタート時にグリッドを下げられたほか、コース外でアドバンテージを得たことで5秒ペナルティ、クラッシュの原因を作ったことで10秒ペナルティが科された。ハミルトンは優勝したことでフェルスタッペンと同点に追いつき、最終戦に勝負が持ち越されることになった。
サウジアラビアでのフェルスタッペンのドライビングに対して批判的な意見を述べる者のひとりが、ブランドルだ。「アグレッシブで、むきになった、攻撃的なレースが展開され、ああいうことが起きた。あれは行き過ぎだ」とブランドルは決勝直後に発言した。
後にブランドルは、『Sky Sports』のコラムにおいて改めて、フェルスタッペンの走りに関し、批判的な見解を示した。
「彼(フェルスタッペン)は、ポイント上、アドバンテージがあることを踏まえてゲームをしていた。ハミルトンの方はアクシデントを起こすことは許されない。そんなことになればポイント差を縮めるチャンスを失うからだ」
「1974年以来初めて、F1最終戦を同点でリーダーたちが迎える。それでも状況は変わらない。優勝回数でフェルスタッペンは9、ハミルトンは8なのだ」
「マックスはマシンをコントロールする能力が優れている。狡猾に振る舞うことで、時に大胆な動きを可能にし、それがハードなレーシングなのか、プロとしてレギュレーション外で反則を犯しているのか、疑いの余地を残すことがある」
「たとえば、悪評を受けた、ブラジルでのターン4のインシデントがその例のひとつだ。あの行為は混乱や論争、矛盾を生み出した」
フェルスタッペンは過度のアグレッシブさを抑えることができなければ、彼のF1におけるレガシーに傷がつく可能性があると、ブランドルは忠告している。
「フェルスタッペンのドライビングスキルとレースのセンスに畏敬の念を抱いている。トロロッソに所属していた2015年の中国GP以来、彼を支持してきた」とブランドルは記している。
「彼のドライビングの巧みさ、コントロールのうまさは注目すべきものだ。なのにあのような戦術に頼っていることを悲しく思う。彼はもっと良いドライバーなのだ」
「彼は表向きはリラックスしているように振る舞っているが、彼のレガシーに『フェアでないドライバー』というレッテルが貼られるのだとすれば、とても残念だ」
「アイルトン・セナもミハエル・シューマッハーも、それぞれに欠点があった。私自身、何度かその影響を受けたことがある。ああいったものは、彼らの巨大な名声に大きな傷をつけるものであり、決してポジティブなものではない」