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ぜんぶ君のせいだ。甘福氐喑が魅せる、新たな一面 「情熱的な自分を出したがってるのかな」

2021年12月05日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

ぜん君。甘福氐喑が魅せる、新たな一面

 ぜんぶ君のせいだ。の甘福氐 喑(あまねち あん)が、初のPHOTO BOOK『Hyper ill Pop』を11月3日にリリースした。


 ぜんぶ君のせいだ。(以下、ぜん君。)は、病みかわいいをビジュアルコンセプトとした7人組ユニット。2021年に現体制をスタートさせ、7月7日には130ページにも及ぶ大ボリュームのオフィシャルBOOK『EsEgo』を発表し、メンバーの絆の強さと勢いを示したばかりだ。


 その盛り上がりも冷めやらぬうちに制作された、今回のソロPHOTO BOOK。“ぜん君。の甘福氐 喑“として見せてきた顔とはまた違った表情の連続にハッとさせられっぱなしの1冊に仕上がっている。甘福氐がこの作品に込めた想い、撮影を通じて感じた成長、そして見据えた新たな目標とは!?(佐藤結衣)


患いさんたちがまだ知らない甘福氐 喑を見せたくて

――早速、拝見させていただいたんですが、裏表紙の折りこまれた部分のセクシーな写真には「ワオ!」となりました。


甘福氐 喑(以下、甘福氐):ありがとうございます、私もびっくりしました。「ここに、この写真が?」って(笑)。ちょっと恥ずかしいですね。


――でも、「今作はいつもと違うぞ」という意気込みが一発で伝わってきました。どのような経緯でこちらの作品は制作させることになったんですか?


甘福氐:4カ月前くらいに、いきなり社長(コドモメンタルINC. 代表取締役 今村伸秀)から「本出そうか。決めた、この日に出す!」って言われたんですよ。本当に何気ないタイミングで。たしか、レコーディングしているときだったんですよね。すごく急な話でした。


――いきなりだったんですね。


甘福氐:もともとそういうスピード感で作品が作られるのがコドモメンタルINC.なんですけど、それでもびっくりしました(笑)。でも、今回のインタビューを受けるにあたって、社長がどうしてそう決意されたのか教えてもらったんです。グループで活動していると自然と役割みたいなものが決まっていくんですよね。例えば、リーダーの(如月)愛海ちゃんはまとめ役みたいな。私も、どちらかといえば「ちゃんとやろう!」っていうタイプなので、そういうポジションにいくことが多いんですけど。そうなると役割を果たす姿の先にある個人の魅力が、患いさん(ファン)たちに届きにくくなってるかもしれないねって。グループの活動と並行して、1人ひとりのそういう機会を作っていきたいと思ってくださったそうです。


――なるほど。では、この作品は甘福氐さん個人の魅力にフォーカスしたものなんですね。


甘福氐:はい。なので、すごく嬉しかったです。私もせっかく作るなら「私に合ったコンセプトで!」ってアイデアも出させてもらいました。もうタイトルの『Hyper ill Pop』 も私そのままって感じで! もともと患いさんたちから見た私って、きっと「笑顔」とか「明るい」ってイメージが多いと思うんですけど、実際はすごく陰キャなんですよ(笑)。だから、もうちょっと深堀りして素に近いほうの私も出していきたいなと思って作りました。


――陰のタイプだったんですか。


甘福氐:はい。ステージの上とか、配信のときはあんまりその部分が出ないんですけど、普段しゃべるときは「あ、あ……」って、めちゃくちゃどもっちゃうし、メンバーと街を歩いていても、人の顔を見ることができなくて。ずっと下を向いてるんです。だから、例えば有名人とすれ違っても全然気づけなくて。「今、見た?」って言われてもわからないんですよ。基本、靴しか見てないんで。


――靴(笑)。


甘福氐:もうずっと靴ばかり見て歩いてます。対人が苦手なんですよね、きっと。でも、そういう部分って患いさんも知らないところかなって。なので、今回の作品にはそういう自分も出していこうって思ったんです。


表情のバリエーションに感じる成長と、食べこぼす“素”の瞬間と

――でも、対人が苦手となると、カメラマンに撮られることそのものは緊張されませんか?


甘福氐:そうですね。自撮りに苦手意識はそこまでないんですけど、やっぱり撮られるって対人なんで緊張しちゃいますね。「今、自分どんな表情をしてるんだろう」って考えると、「ああ、できない……」ってなりがちで(笑)。でも今回は、以前もお仕事で会ったことがあって、年齢も近い女性カメラマンの“さなちゃん“さん(うつみさな)が撮ってくれたので、安心することができました。


――だから、いろんな表情の甘福氐さんが引き出されているんですね。


甘福氐:ポーズとかも一緒に考えながら撮影して楽しかったです。さなちゃんさんは、私の「横顔が好き」と言ってくれたので、横顔のショットが結構多いかもしれません。私個人としては左から見た顔のほうが好きなので、そっちを見せて……でもそうすると左横顔ばっかりになるから右も……みたいな感じで試行錯誤しながら、いい写真がたくさん撮れたと思います。


――私も甘福氐さんの横顔すごく好きです。鼻がシュッとしてシルエットが美しいなといつも目がいきます。


甘福氐:ありがとうございます。でも個人的には前まで鼻がコンプレックスだったんですよ。


――そうなんですか!?


甘福氐:好みの問題なんですけどね、私は鼻が低くて小さな顔が好きだったから。でも、最近はすごく褒めていただくことが多くなったので、ちょっと好きになってきました。


――当の本人が個性の魅力に気づいていないっていうのは、よくありますよね。


甘福氐:そうですね。写真を撮られることも、自分の鼻も、この作品でどんどん好きになっていったので、そういう意味でもすごくいい機会をもらえたなと。自分で見ても今回の作品で表情がすごく柔らかくなったなと感じていて。ちょっとは成長できたのかなって。実は前日家で鏡を見ながら「この顔をしたら、こう写るんだ」って、表情作りの練習とかしたんですよ(笑)。普段の写真だとちょっとおすまししてる表情とかなかなかないので、それが出せたのは嬉しかったです。レザーのライダースを羽織って撮ったカットは、全体的にカッコいい表情を意識しました。床に寝っ転がってからは、自分でも素が出てるなって表情が多いですね。


――たしかに、甘福氐さんが黒のレザーのライダースを着ているイメージないですね。


甘福氐:実際なかなか黒は着ないです。白い服が好きなので。だから、ラーメン屋さんに行くとこぼしちゃって大変なんですよ。この食べてるカットもリアルに食べこぼしていますし(笑)。撮影するとき、本当にお腹がすいてたので「今食べられる!」と思って夢中に食べちゃったんですけど、衣装にもこぼしちゃって大変でした。


――リアルなんですね、てっきり演出なのかと!


甘福氐:それくらい素でした(笑)。このプールで遊びまくってる写真もお気に入りですね。今回の撮影は、普段オフでも家からほとんど出ない私にとって、いろんなことができて本当に楽しかったです。水着も、ぜん君。に入って初めて着たんじゃないかな。陰キャなので、夏になってもプールとか全然行かないですからね。本当、普段はお気に入りのラーメン屋さんくらいしかいかないんですよ。


――1人で行かれるんですか?


甘福氐:はい、ラーメンの注文はどもらずに言えるので(笑)。でも最近、よく行くお店で顔バレしちゃって……。「ぜんぶ君のせいだ。の甘福氐さんですよね?」って言われたら「あ、あ……」ってなっちゃって。これからはちゃんとメイクしていかないと行けないなって……。それをメンバーに話したら笑われちゃいましたけど。


――今回の作品について、メンバーのみなさんはどんな反応をされていましたか?


甘福氐:愛海ちゃんが1番盛り上がってたかな? たしかジャケットかポスターの撮影をしているタイミングで完成した本が届いて。私がちょうど手が離せないときに、メンバーがみんなで見ているのを耳だけで聞いてた感じでしたね。「わああああ!」「すごおおおおい!」みたいな声が響いてて(笑)。


――みなさんの興奮具合が目に浮かびますね。


甘福氐:愛海ちゃんは、特にこのチャイナ服を着て上を向いている写真のスリット部分に食いついてました。「こんなの、ここにしか目がいかん! この黒の下着みたいなものは、見えていいものなのか? 見えちゃいけないものなのか? どっちなんだ!?」って(笑)。


――チラリと見えるところにグッときたんですね。


甘福氐:よく気づいたなって(笑)。本当にちょびーっとしか出ていないんですけどね。あと、温泉のカットで服が濡れてお尻に張り付いているカットも好評でしたね!


――このシルエットが透けて見えてくる感じのカットですね。


甘福氐:そうです。さなちゃんさんがめちゃくちゃ頑張ってくれたんですよ。シャツが素材的になかなか透けなくて。何回もザブンって温泉に入って濡らしてを繰り返して、やっと撮れた1枚なんです。ちょっとのぼせそうでした(笑)。やっぱりこういうカットこそ、ぜん君。での活動ではなかなか見せることができない部分だと思うので、個人的にも大満足です!


自分でも意外だった、ぜん君。での「しっかり者」ポジション

――グループとソロとでは、やはり撮影するときの心持ちや雰囲気が異なりますか?


甘福氐:違いますね。グループだと7人いるので、自分のしたいポーズや表情よりも「かぶらないようにしよう」みたいなところに先に意識がいっちゃうので。でも、今回は1人だったから自分自身のやりたいことに集中することができました。本当にグループにいるときと、1人でいるときの素が違うんですよ。ぜん君。の中だとしっかりしてるイメージを持っていただいていると思うんです。それはそれで気が引き締まって好きなんですけど。


――もともとプライベートでの友人関係ではどんなポジションなんですか?


甘福氐:仲のいい子は、長女タイプが多いですね。実際、私は次女というか、末っ子なので。全然しっかり者という自覚がなかったのに、ぜん君。に入ってからそう言われるようになって「え、私が?」って感じでした(笑)。


――その場にいる人と相対的に見た感じなんですかね。


甘福氐:そうだと思います。メンバーは、私よりもずっとふわふわしたタイプの子が多いから。それにしっかりはしてないと思っていたけど、小さいころから意見はちゃんと言うタイプだったので。親にも「わがまま」って言われていたぐらい。


――「わがまま」と言われるのはどういうシーンですか?


甘福氐:嫌なときは「嫌!」って言っちゃうからですかね。それに、喜怒哀楽が全部表に出ちゃうんですよね。気分がいいときは飛び跳ねちゃうし、落ち込んだときはズーンってなっちゃうし。社長からも「わかりやすい」って言われます(笑)。


――でも、その場で言えることって大事ですよね。自分の中に溜めてしまって腐らせてしまうよりも、健全なタイプじゃないでしょうか。


甘福氐:嫌なことは言いたくないっていう自分もいるんですけどね。できれば、自分の中で消化して解決できたらそれが一番平和じゃないですか。でも、自分だけではどうにもできないから「嫌だ」って言って、みんなで解決してもらおうって思っているんだと思います。言いにくいことを言って空気を悪くするのも嫌だけど、言わずにスンってなった自分を変に心配されるのも嫌っていうか。なので、「今これがこう嫌だって思ってる、ごめん」って話し合うようになった感じですね。


普段恥ずかしくて出せない、情熱的な自分を見せていきたい

――こうして改めて甘福氐さんの人となりを知ると、よりこのPHOTO BOOKからにじみ出る健全さを感じますね。セクシーだけどヘルシーで、常識人だけどポップというか。


甘福氐:はい、なので『Hyper ill Pop』なんです(笑)。


――この和服では真面目な一面が、チャイナ服ではラーメン好きな部分が……と、インタビュー後に見直していただくと一つひとつ紐解かれていく感覚になれるかもしれません。


甘福氐:そうやって何度も見返してもらいたいですね。今回はもう多くを説明することなく「写真で伝われー!」っていう作りなので。そうして感じてもらえたら最高です。


――今作を通じて、もっとこういうところで撮影してみたいといった新しい夢はできましたか?


甘福氐:撮影もすごく楽しむことができたので、今度は台湾とかで撮影してみたいですね。写真でしか見たことがないんですけど、街並みがすごく好きで。あとは、イタリアとかスペインとかにも行ってみたい。そしたら、また違う甘福氐 喑が出てくるような気がします。


――エネルギッシュな街ばかりですね!


甘福氐:本当だ! 内なる情熱的な自分を出したがってるのかな(笑)。普段は恥ずかしがり屋なので、なかなか表に出せないんですけど。そういうのをソロの作品で出せたらなって思ってるのかもしれないです!


――今回のPHOTO BOOKでの衣装もそうですけど、どの国にも属さない無国籍な感じは、甘福氐さんの大きな魅力ですよね。どの街でも映える姿が想像できます。


甘福氐:ありがとうございます。実は楽曲提供してくださっている方とか、撮影をしてくださる方たちの中でも、そう言ってくださるクリエイターの方が多いというお話も聞いていて、自分では「え、そうなの?」って思いますけど(笑)。でも、そういう自分では気づいていないところも、どんどん見せていきたいですね。


――ぜん君。としての活動も、そして甘福氐さん個人の魅力開花も、楽しみにしています。


甘福氐:ありがとうございます! 新しい甘福氐 喑をどんどん出していけるようにがんばりますので、応援よろしくお願いします!


■書誌情報
PHOTO BOOK『Hyper ill Pop』
著者:甘福氐喑
出版社:コドモメンタルBOOKS
発売日:2021年11月3日
価格:2,000円(税抜)
出版社サイト内商品ページ


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