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東武鉄道「デラックスロマンスカーカラー」の「スペーシア」を公開

2021年12月03日 20:21  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
東武鉄道は3日、特急車両100系「スペーシア」に1720系「デラックスロマンスカー」のカラーリングを施した「『デラックスロマンスカーカラー』スペーシア」の報道撮影会を実施した。リバイバルカラー車両企画の第3弾として、12月5日から運行開始する。


「スペーシア」は1990(平成2)年、日光・鬼怒川エリアへの特急列車に使用する東武鉄道のフラッグシップ車両として登場。当時はジャスミンホワイトの車体にサニーコーラルオレンジとパープルルビーレッドのラインを配したデザインだった。先頭車両は丸みを帯びた流線形で、スピード感がありつつも上品で優しい印象を与える。



2011年以降、内装のリニューアルに加え、「雅」(紫色)基調・「粋」(水色)基調・「サニーコーラルオレンジ」基調の3種類のカラーリングに順次変更した。後に金色の塗装をまとった「日光詣スペーシア」編成も登場している。現在も全9編成が活躍を続けているが、東武鉄道は11月に「スペーシア」の後継モデルとなる新型車両N100系を発表しており、「スペーシア」の今後の動向が気になるところだ。



東武鉄道では、2020~2021年に100系「スペーシア」と200型「りょうもう」が相次いでデビュー30周年を迎えたことから、歴代車両をイメージしたリバイバルカラー車両企画を実施している。第1弾は100系「スペーシア」を登場時のカラーリングに変更し、第2弾は200型「りょうもう」を1800系のカラーリングに変更した。今回公開された「『デラックスロマンスカーカラー』スペーシア」は、リバイバルカラー車両企画の第3弾となる。


「『デラックスロマンスカーカラー』スペーシア」は100系「スペーシア」の中から101編成を使用。1720系「デラックスロマンスカー」のツートンカラー(ロイヤルベージュ・ロイヤルマルーン)をあしらい、スタイリッシュだがどこか懐かしい雰囲気となった。他の編成と比べて、乗務員室の前面窓枠が黒色からライトグレーに塗り替えられており、その点も1720系「デラックスロマンスカー」をほうふつとさせる。



しかし、塗り分け方は通常の「スペーシア」のカラーリングに似ており、懐かしのカラーリングを現行車両に合うようアレンジしたように見受けられた。強いて通常カラーとの違いを挙げるなら、前面のライト下から側面上部に向かって斜めに配される細いラインが、「デラックスロマンスカーカラー」にはないところだろうか。デビューカラーリング「スペーシア」と同じく内装は変更されず、行先表示もフルカラーLED表示で運行する。

中間車両に関しても、塗り分け自体は通常カラーの編成とほぼ同じ。ただし、カウンターのある3号車の車体側面(日光・鬼怒川方面に向かって右側)において、通常の編成は窓の部分を「SPACIA」のロゴマークで装飾しているが、「『デラックスロマンスカーカラー』スペーシア」はロゴマークを掲出していない。



今回、カラーリングが再現された1720系「デラックスロマンスカー」は1960(昭和35)年に登場。浅草駅から日光方面の「けごん」、鬼怒川方面の「きぬ」に使用され、1991(平成3)年まで活躍した。先頭車両は国鉄形特急車両に似て非なるボンネットタイプで、個性的な外観だった。カラーリングはロイヤルベージュを基調に、ロイヤルマルーンの帯を窓周りと車体下部にあしらったデザイン。乗降ドアが折戸式であることも、現行の東武特急とは異なる特徴と考えられる。


1720系「デラックスロマンスカー」の車内では、シートピッチ1,100mmのリクライニングシートや、完全自動のマジックドアが採用されていた。観光輸送に対応した設備として、ビュッフェやサロンルームを設け、サロンルーム内にはジュークボックスも設置されていた。今回登場した「『デラックスロマンスカーカラー』スペーシア」を通して、1720系「デラックスロマンスカー」を見たことがない世代は往年のロイヤルベージュ・ロイヤルマルーンの特急列車を体験できる機会に。一方、現役時代を知っている世代は懐かしさを感じられるのではないだろうか。



東武鉄道100系「スペーシア」は今後、全9編成のうち5編成を登場時カラーに順次変更する予定だが、「デラックスロマンスカーカラー」の実施は今回の101編成のみとなる。なお、東武鉄道によれば、デビューカラーリング「スペーシア」の一部編成はJR線にも乗り入れるが、「デラックスロマンスカーカラー」の編成はJR線乗入れ非対応のため、東武線内のみで運行を行うとのことだった。(若林健矢)