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BTSや『MAMA』も…韓国アーティストの欧米公演、盛り上がり方に違い? 現地で人気を得るのに必要なこと

2021年12月03日 13:01  リアルサウンド

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リアルサウンド編集部

 K-POPグループの海外公演開催が続々と発表されている。最近では日本でも、様々な規模でのオフラインコンサートが開催されているが、K-POPグループに関しては、未だ来日公演はほとんど叶っていない。それでも日本語ver.やオリジナル楽曲のリリース、SNSでの発信など、精力的な活動は絶えず行われてきた。SNSやオンラインを中心とした活動は日本に止まらず、欧米のファンの獲得にも繋がったと言われている。その影響もあってか、BTSに加え、TWICEやATEEZもワールドツアーを開催する予定だ。そこで本稿では、欧米でのK-POPアーティストのライブの盛り上がりについて考えていきたい。


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 これまでも、欧米圏でのK-POPイベントは度々行われていた。著名なものとしては、K-POPアーティストが一堂に会する『KCON』がある。欧米圏で開催される『KCON』は、YouTubeなどを見る限り、韓国のファンの盛り上がり方とあまり差異はない。海外の音楽コンサートでは、観客も共に合唱するスタイルが多く見受けられるが、『KCON』では現地のファンは、ペンライトを用いた応援をしたり、ダンスパフォーマンスをしっかり目に焼き付けている様子だ。


 そして11月27日、28日、12月1日、2日に開催の『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE – LA』についても、ARMY(BTSのファン)のスタンスは変化していないように思う。今回の公演のために作られた公式ハッシュタグ「#PTD_ON_STAGE_LA」では、現地に駆けつけたファンの声の一部を見ることができる。そこでは、グッズを買うのに長蛇の列に並んだことや、会場周辺のBTSに関するスポットにファンが集まっていたりと、BTSがアイドル的存在として愛されているようだった。


 今回、LA公演独自の部分を感じたのは掛け声だ。BTSには、「Butter」など英語詞の曲もあるが、基本的には韓国語歌詞がメインの楽曲が大半を占めており、海外ファンと合唱しやすいものでもない。そのため、「Save ME」や「I NEED U」といった楽曲では、新鮮な反応を見ることができた。K-POPグループの多くの楽曲では、パフォーマンスの際にファンが応援する掛け声が作られる。公演前には掛け声を予習してから参加する人も少なくない。しかし、今回の公演では従来の掛け声と様々な相違点が生じた。例えば、「Save ME」のサビのダンスブレイクではメンバー全員の本名を言う掛け声があるが、今回は激しいダンスブレイクに大きな歓声が上がっていた。また、「I NEED U」ではサビ前のコーラス部分を一緒に歌うなどし、盛り上がっていた。


 これらの反応から、現地では定番の掛け声とは異なる、一種の合いの手のようなものが見られたと言える。実際、「I NEED U」のサビ前のコーラス部分に当たる英語詞は、一緒に歌いたくなるキャッチーさがあるのだ。キャッチーさという点では、PSY「江南スタイル」が世界的にヒットした秘訣にも直結するだろう。欧米圏で人気を得る楽曲には、言語に関わらず、聴く側がとにかくノリやすいことや、語感の良さが関係している。


 いずれにせよ、現地のARMYの熱狂具合が韓国や日本に劣らないことは確かだ。最近はBTSに関する話題がひっきりなしにあるが、それは必ずしも音楽性の評価に限ったことではない。国連本部でのスピーチや、各SNSで話題になった路上でのゲリラライブなど、総合的なアピールによって存在感を出すことが、認知度やファンダムの拡大には欠かせない。


 先日、K-POP音楽授賞式『MAMA』が近年中にアメリカで開催されることが発表された。人気K-POPグループの中にはビルボードへのランクインやアメリカでのメディア露出などを果たすグループも見受けられる。欧米における韓国アーティストの存在感は増しているものの、それが“現地に根付いた人気”と言えるまでには、様々な工夫が必要かもしれない。(momotoxic)