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リーバイス501をアップサイクルするプロジェクトが本格始動 三越伊勢丹、阪急阪神、地方セレクトショップなど6社がタッグ

2021年12月01日 19:32  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

展示会の様子(提供:三越伊勢丹)
三越伊勢丹を筆頭に、阪急阪神百貨店、岩田屋三越、エスティーカンパニー、ファッションコアミッドウエスト、佐藤繊維の6社が手を組み、「リーバイス(Levi's®)」の「501®」のユーズドストックをアップサイクルしたプロジェクト「デニム de ミライ~DENIM PROJECT(以下、デニムプロジェクト)」を開催する。「アンリアレイジ(ANREALAGE)」「ミナ ペルホネン(minä perhonen)」などの国内ブランドから、「3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim)」「セルジオ ロッシ(Sergio Rossi)」とった海外ブランドまで計約50ブランドが参加。来年3月23日のイベント開幕に先駆け、12月1日に関係者に向けて展開アイテムが公開された。

 デニムプロジェクトの発足は、伊勢丹新宿店本館3階の自主編集ショップ「リ・スタイル(ReStyle)」のバイヤー神谷将太氏が、アパレル商品のアイロンプレスや検品、補修、洗い作業などを行うヤマサワプレスの工場を訪れたことがきっかけとなったという。ヤマサワプレスでは廃棄物として大量に捨てられた501®のデニム20トン分を買い取っており、デザイナーやクリエイターが補修したデニムを用いてそれぞれアップサイクル品を制作。ファッションからライフスタイル、アートまで約150型の商品が揃い、小売6社の店舗網を通じて販売する。参加ブランドおよびアーティストは以下の通り。
◆参加ブランド、アーティスト(2021年12月1日時点)<ファッション>AKANE UTSUNOMIYA、AKIRANAKA、ANREALAGE、YEAH RIGHT!!、IHNN、Vivienne Westwood RED LABEL Concept Store、WIND AND SEA、CAMPER、KIJIMA TAKAYUKI、KEITA MARUYAMA、Sulvam、sawa takai、Charmantsac、3.1 Phillip Lim、doublet、Chika Kisada、Th products、N21、POTR、FACETASM、PHOTOCOPIEU、BASICKS、Bobby Dazzler、Maimia、MALION vintage、mister it.、minä perhonen、Merci、Yue、YUKI INOUE×KOTA OKUDA、YUKIMOTO FOOTLOOSE CLUB、YOHEI OHNO、Levi's® Tailar Shop、Lilipiache New York、leur logette、Les Briqu'a braque、One-o-Five DENIM TOKYO、Shirley Temple、familiar、Safari Lounge<シューズ>GOLDEN GOOSE、Sergio Rossi、PELLICO、Masai Barefoot Technology<ライフスタイル>Artek×minä perhonen、嘉門工藝、カリモク家具、クイジナート(※ノベルティで参加)、センスバイ ロイズ・アンティークス、テンピュール、奈良美智×LAMMFROMM、Y's for living、3LFTN apartment<アート>キシモトマイ、肥塚毅、佐久間一行、アートギャラリーCLASS(AICON、AZUSA IIDA、KAITO FUKUI、Gramas、Kota Toyoda、田中草樹、平沼久幸、依田直之、Lee Izumida)<スクール>文化服装学院(卒業制作で使用)

廃棄予定だったユーズドストックのデニムも展示された(左のスカートはルール ロジェットの商品)
 三越伊勢丹にとって阪急阪神百貨店は競合とも言える存在だが、「東の伊勢丹、西の阪急」と呼ばれる2社が手を組むことで発信力が強まると判断し、神谷氏は同社に打診。阪急阪神百貨店もファッション小売企業としてサステナビリティに対する課題を強く感じ、参画が実現した。また、「地方セレクトショップは影響力の強いオーナーが揃っている」という考えから、「ミッドウエスト(MIDWEST)」名古屋店のほか、群馬県桐生市の「エスティーカンパニー(st company)」、佐藤繊維が手掛ける山形県寒河江市の「ギア(GEA)」も誘致。プロジェクトを通じて、ファッション業界全体としてのメッセージを発信していく。
 参加ブランドやアーティストは三越伊勢丹の各カテゴリーのバイヤーが選定。ミナ ペルホネンは「tambourine」柄で仕上げたバッグ、アンリアレイジは初期から展開しているパッチワークを用いたジャケットやドレスを制作し、セルジオ ロッシはアイコンシューズ「sr1」をデニムで仕上げるなど、人気商品をベースにしたアイテムが多数揃った。

 フランスのセレクトショップ「メルシー(Merci)」は「リバティ(Liberty)」の残反を裏地にあしらい、リバーシブルに使えるバッグを用意。リバティは通常残反を提供しておらず、珍しい取り組みとなった。テンピュールからはベッドフレームやクッション、嘉門工藝からは茶道具セットといった、プロジェクトならではのユニークなアイテムも登場した。すべての商品は数量限定で、取り扱い商品は各店舗により異なる。イベントは商品がなくなり次第終了するという。

 プロジェクトは今回に限らず継続展開する方針。プロジェクトを通じて目指すのは「“気付き”を発信すること」だという。「物を買う、また物を作る上で、選択肢を広げることがミッション。普段からリサイクルに意識が向くように訴求していきたい」(神谷氏)。今回のプロジェクトにおけるリサーチの中でデニム以外の素材にも多くの課題があることがわかったことから、神谷氏はものづくりに関わるさまざまなサステナビリティにも取り組みたい考えを示した。