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人気沸騰!桂浜水族館・おとどちゃんが語る次なる野望 「映像という形でハマスイの物語を残したい」

2021年11月28日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 高知県・桂浜水族館の公式マスコットキャラクター「おとどちゃん」のエッセイ『桂浜水族館ダイアリー』が11月25日に発売された。


 SNSに投稿されたイケメン飼育員の写真やおとどちゃんの前衛的なツイートが話題となり、2021年の水族館ランキングで第1位に選ばれた桂浜水族館。しかし、そんな人気を得るまでには様々な苦労があった。


 2016年に全国的なニュースとなった、職員一斉退職を機に桂浜水族館は「なんか変わるで、桂浜水族館」をモットーに本格的な改革をスタート。このとき生まれたのが、おとどちゃんだ。本作では彼女の誕生から現在に至るまでの、飼育員や生きものたちとの日々が宝石のようにキラキラと輝く景色とともに綴られている


 リアルサウンドでは、お仕事のため東京にやってきたおとどちゃんにインタビュー。執筆活動の裏側や、今や高知県だけではなく全国に存在する“ハマスイファン”への思いを語ってもらった。(苫とり子)


【インタビューの最後にプレゼント企画あり】


【写真】おとどちゃんの可愛い撮り下ろし写真はこちら


執筆は23時からスナックで……?

――まずは初のエッセイ本『桂浜水族館ダイアリー』の発売おめでとうございます! 水族館の公式マスコットキャラクターが作家デビューというかつてない取り組みですが、最初は光文社さんからどのようなオファーを受けたのでしょうか?


おとど:ありがとう! まさか自分も作家デビューするらぁて思っちゃあせんかったき。きっかけは、2020年の7月末に届いた一通のメール。ハマスイのTwitterを見てくれた編集者さんが「おとどちゃんのツイートが面白いので、水族館を舞台にしたエッセイを連載しませんか?」と声をかけてくれたがよ。


――広報として日々ハマスイの魅力を発信されているおとどちゃんですが、毎月長文のエッセイを連載することに迷いはありませんでしたか?


おとど:もちろん月に8000字も書けるがやろうかって不安もあったし、館長からも「普段の業務をこなしながらできるかえ?」って心配されました。でも未体験なことに挑戦したかったし、SNSだけじゃあ発信しきれてない思いを伝えたかったき、オファーを受けました。


――実際に、作家としてエッセイを執筆してみていかがでしたか。


おとど:大変やったけど、楽しかったです。自分の中で燻っちょったものが、一つの形として昇華できる感覚が「気持ちいい~~!」って感じでした。ただ、担当の編集者さんから直しが返ってきた時に、自分が今まで使いよった言葉の意味がまったく違って驚くことも多かったです(笑)。


――ちなみにおとどちゃんの1日のスケジュールはどのような感じなのでしょう。


おとど:よくファンの方に「水族館に行ったら会えますか?」って訊かれるがやけど、お客さんがおる場所に顔を出すことはあんまりなくて、基本的には地下にあるおとどの部屋に閉じこもっちゅう(笑)。イベントがあったり、呼び出された時は出て行くけど、一日中Twitterを更新したり、いただいたメッセージに返信したり、人生相談やお悩み相談に答えたり、掲示物を作ったり……。中でも一番大変やけど一番大好きな仕事(?)は一階事務所で館長と話すこと(笑)。終業後は深海にある実家でスナックをやってます!


――ではかなりハードなスケジュールの中で、執筆時間も取られていたんですね。


おとど:水族館におる時に執筆することもあるがやけど、館長と話しよったらつい盛り上がって執筆どころじゃなくなるき、大体は家に帰って落ち着いた夜の23時~24時くらいから書き始めてました。


――何度か締め切りに関するツイートもされていましたが、やっぱり働きながらの執筆活動は大変でしたか。


おとど:毎回1カ月執筆期間を設けてもらっちょったがやけど、間に合わんこともありました。書く時間とかネタがないっていうよりは、早く提出して翌日以降に面白いエピソードが生まれたらもったいない!と思って(笑)。毎日いろんなことがあるき、全部取りこぼしたくなくてつい後回しにしていました。


――それくらい、毎日印象的な思い出がハマスイで生まれているんですね。エッセイでもエピソードともに、その時の景色や飼育員さんたちの表情が素敵な描写で綴られていますが、普段からおとどちゃんは日記をつけられているのでしょうか?


おとど:特に日記はつけやぁせんけど、その時の会話や表情、色彩や温度などを、より鮮明に伝えたくていつも持ち歩きゆうノートにメモしてます。あと、本や歌のフレーズ、テレビや映画の描写、誰か同士の会話など、とにかく自分の心にささった表現も、自分の表現にできるようにメモしてます!


飼育員とおとどちゃんの関係性

――ハマスイでは一人ひとりの飼育員さんたちが生き物の名前で呼ばれていますが、今回のエッセイで名前を出さなかったのは意図があってですか?


おとど:Twitterやファンブックなどを通して、すでにハマスイを知ってくれちゅう方とかファンの方やったら、きっと誰のことかわかるエピソードもあると思うがね。でも見ず知らずの方が読んだら、「これって誰のことながやろう?」って気になるやん?!このエッセイを読んで、想像を膨らませたり、後から調べることで、ハマスイにもっと興味を持って沼にハマってくれたら……(笑)って思って、名前は記載しませんでした。


――たしかにエッセイにはある飼育員さんのポエムやラップが載っていたり、気になる特徴が満載です(笑)。またいつもSNSで見る写真もそうですが、おとどちゃんの飼育員さんたちに対する温かい目線が印象的でした。普段の業務の中でどのようにコミュニケーションを取られているのでしょうか。


おとど:どっちかっていうと、飼育員の方から話をしに来てくれる。何気ない時に「ちょっと話聞いてよ」とか、「これ見て~」とか。フランクに話しかけてくれるき、自然とコミュニケーションを取る機会も多いです。あとは、業務外になるけど、仕事終わりにいっしょにご飯を食べに行ったり、「〇〇の会」と称して夜な夜な行う飲み会も、普段は言えんかったり、シラフでは気恥ずかしいことも話せちゃったりして……(笑)。ぶつかり合う時ももちろんあるけど、それもまたコミュニケーション。みんな学校を卒業してすぐ桂浜水族館に入社し、高知でひとり暮らし。寂しい夜はいっしょにご飯を食べて温め合う。愛おしい存在です。


――そういった会話の中からポロッと飼育員さんたちの悩みが出てきたりするんですね。今回のエッセイに関して、飼育員さんたちからはどんな反応がありましたか?


おとど:まるのんからは「俺のこといっぱい書いてるからお金ちょうだい」って出演料をねだられたけど、丁重に断りました!!!(笑)


――たしかに、まるのんさんのエピソードはたくさん登場していました(笑)。飼育員さんをはじめ、ハマスイで働く方々の悩みや葛藤も包み隠さず綴られていましたね。


おとど:みんなそれぞれの壁にぶつかって、ちゃんと悩み、苦しみ、これまでの自分を変えようと頑張ってきました。そういう努力とか頑張りって、本当は見せん方がかっこいいがかもしれん。でも、いや、だからこそ知ってほしいと思いました。水族館は結構入れ替わり立ち代わりが激しい業界で、実は、桂浜水族館も3年おったら長い方やったり……。私もこの数年でいろいろなスタッフとの出会いと別れを経験してきたけど、ひとつひとつなんか変わりゆく中で、ひとりひとりが成長し、変化し、次第に「みんなで(創業)100周年を迎えよう」っていう結束力が生まれてきたがやと思います。


ファンレターがお酒の“サカナ”

――エッセイはそんな日々の中でおとどちゃんの抱える“生きづらさ”が解消されていくような構成になっていましたが、ハマスイには不思議とありのままを受け入れてくれる空気感が漂っていますよね。


おとど:確かに。私がこの水族館で飼育員たちと過ごす日々に“生きづらさ”を解消できたように「動物やお魚に癒されに来ました」っていうよりは、ふらっと訪れてアシカプールの前で一日中ぼーっとしたり、なにを見るというわけでもなくただおるという方も多くて。ここにおることで心が救われると来てくださる方らぁが、ハマスイのホスピタリティ的な魅力を発信してくれることによって、「あそこに行ったら自分にも居場所ができるんじゃないか」って訪れてくれる方が増えて、自然とそういう空気感が漂う場所になったがじゃないろうか。


――お悩みを相談されることも多いおとどちゃんですが、回答する上で気をつけていることはありますか?


おとど:相談してくれる方は私のことを知っちゅうけど、私は相手をまったく知らん場合もあって、ある日、突然、知らん方の壮絶な人生に飛び込むわけです。すでに交流があればどんな人かわかっちゅうき相談にも乗りやすいがやけど、初対面の方はとても難しいです。誰ひとりとして同じ人はおらん。似た境遇や事情はあっても、同じ悩みはひとつもない。答えだってひとつじゃない。私がプレゼントする答えは「すべて」じゃない。文章からその方の人となりや、今私になにを求めてちゅうのかを想像しながら、私なりに真剣に、ひとりひとりに合った言葉で返すように心がけてます。


――この数年でSNSが大きな話題となり、様々なメディアにも取り上げられるようになったハマスイですが、どんどん有名になっていくことに対してどのように感じていましたか?


おとど:ありがたいことながやけど、一方で昔から応援してくれゆう方に「有名になって遠い存在になった」「手の届かない存在になってしまった」って言われることもあって、すごく寂しいです。私自身もハマスイも大切にしゆう部分は何も変わってないき、そういう方には「そんなこと言いなや~!寂しいやんか~!」って伝えるようにしてます(笑)。


――一方で桂浜水族館や、高知にも行ったことがないというファンも増えたと思います。今回で東京に来られるのは3度目とのことですが、過去にはファンの方と交流できるイベントなどにも参加されていましたね。


おとど:普段なかなか会えんファンの方なんかは、「やっと会えた~!」って泣いてくれるがです。いつももらい泣きしそうになるき、やめてー!って思います(笑)。でもそうやって温かく迎えてくれるが、ほんまに嬉しいです。お手紙も結構いただくがやけど、大事に入れてちゅう箱からときどき取り出して、お酒を飲みながら読んで泣いてます。


おとどちゃんの野望

――コロナも少しずつ収束しつつありますが、まだなかなか足を運べずにいる方もいらっしゃると思います。そういう全国のファンに向けて、どのような活動をしていきたいですか?


おとど:コロナのことだけじゃなく、身体的・精神的な事情があって直接会えん方がおります。誰ひとりとして取りこぼしたくない。誰かが寂しい思いをしゆうと、やっぱり私らぁも寂しいがです。やき、現地だけじゃなく、オンラインでの活動とか今回のエッセイやったり、温故知新のもと枠にとらわれず、これからもハマスイという場所をみんなと共有したいと思ってます。


――今後のおとどちゃんの野望を教えてください。


おとど:写真集とファンブック、今回ついにエッセイを出版させてもろうて、まだ唯一できていないのが、映像作品をつくることながよね。やき次は、舞台か映画かアニメかドラマか……!! なにか映像という形でハマスイの物語を残したいです!


――その場合、やはり主演はおとどちゃんですか?


おとど:うーん、私も出たいけどおまけ程度で、全力で脚本を担当したいです! 主演はやっぱり飼育員。その場合はみんな目立ちたがり屋やき、俳優さんは一切使わず本人出演にしてあげてください(笑)。


――ではあまり、写真撮影の時も飼育員さんたちから「恥ずかしいから撮らないで!」と断られることもないんですね。


おとど:ないですね。はじめのうちはぎこちない子ももちろんおるけど、だんだんなにかに感化されるがか、慣れながか、もともと持っちゅうものが覚醒したがか、みんな出たがりで、むしろ「撮ってください!」って(笑)。たまにカメラの方を向いて、「今やで」ってさりげなく撮影チャンスを教えてきちょったり、「あ、これは格好つけちゅうな」ってわかりします。例えばアシカのトレーニングをする時や、水槽の掃除をする時なんかも、記録のためというのもあるがやけど、自分らぁを撮ってもらうためにカメラ係を呼びに来たりするがです。可愛いやろう。


――これまでも色んな取材で聞かれたと思うのですが、今改めておとどちゃんが思うハマスイの魅力って何でしょう?


おとど:やっぱりファンの方が熱いところ!いやクセが強い!いつも私らぁの想像を超えてくるっていうか、私らぁ以上にハマスイを大事にしてくれるがよ。飼育員の似顔絵を描いてくれたり、オリジナルのグッズを作ってくれたり。中にはハマスイで撮った写真をまとめたアルバムや、コツメカワウソの成長記録を送ってくれる方も。みんなすごいなー!アーティストやなー!!って感心します。こんな風に私らぁスタッフだけじゃなく、ファンの方も一丸となって「桂浜水族館」っていうひとつの場所を作っていけるところが魅力じゃないろうか。


――最後にそんなハマスイファンの皆さんにメッセージをお願いします!


おとど:まず、みんなぁのおかげで桂浜水族館は無事に創業90周年を迎えることができました。ほんまにほんまにありがとうございます。もちろんみんなぁに伝えたいのは、「これからもいっしょに走り続けていきましょう!」ってことながやけど、桂浜水族館っていう場所が必要じゃなくなったり、なにかをきっかけに離れる方もおる。でもそれで「置いていかれた」とは思わんし、その日までちゃんとその人の中で心の支えとなって、役目を果たしたからやと思ってます。離れていく方は、バイバイって手を振って笑顔で見送りたい。だからこそ、できればいっしょに創業100周年に向かって走り続けてくれたら嬉しいです。


■書誌情報
『桂浜水族館ダイアリー』
著者:おとど
出版社:光文社
発売日:2021年11月25日
価格:1,540円(税込)


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