「豆腐と銃が同じ数え方なの納得いってない」
というツイートが広まり、16万超の「いいね」を獲得した。
たしかに、銃も豆腐も「丁」だが、なぜなのか。どうして豆腐を「丁」で数えるのか、調べてみることにした。(文:昼間たかし)
元禄にはすでに……。
明治政府が編纂した百科事典『古事類苑』には、江戸時代の元禄10(1681)年に刊行された料理本である『和漢精進料理抄』からの引用として、「大根、牛蒡、栗子をはりにきり、椎茸?筋も細切、靑菜はみぢんにきり、豆腐は一挺を十二にきりて油にあげ」と記されている。
つまり、江戸時代前期には「挺」が、すでに豆腐の数え方として定着していたようだ。
ただ、それがどこ由来なのかは謎なのである。豆腐屋が豆腐以外に油揚げなども扱っていたので、数え方を変えて区別していたという説もあるが、これも想像の域を出ない。江戸前期に「挺」と数えているので、「丁半博打」由来説は厳しいだろう。
大豆加工食品メーカーでつくる日本豆腐協会でも「諸説あり」として理由ははっきりわからないとしている(『朝日新聞』2009年3月9日付朝刊)。
さて、数の単位のことを、文法上は「助数詞」と呼ぶ。紙を数える時の1枚2枚とか、動物を数える時の1匹2匹。麺を数える時の1玉2玉などだ。
日本だけでなく、中国語にも数え方の単位が膨大にある。ただ、豆腐は「?(塊・かたまり)」という単位を使うので、「挺」は中国由来ではなさそうだ。
デジタル大辞泉によると、挺(丁)という単位は「細長い物を数えるのに用いる」とあった。槍や鋤(すき)、鍬(くわ)、ろうそく、墨、三味線などに使う。また、輿(こし)・駕籠(かご)など、乗り物を数えるのにも使うという。
江戸時代前期の『信長公記』にも「元龜元年六月廿一日、淺井居城大谷へ取寄、廿二日、御馬を被納、殿に諸手の鐵炮五百挺」という記述がある。
鉄砲は細長いから、そう数えるのは自然だ。しかし、豆腐は……。結局、調べても「納得いかない」ままなのであった。まあ、こういうときもある。