2021年も決着のときを迎えたスーパーGT最終戦、富士スピードウェイでのGT500クラス公式予選は、開幕戦勝者として今季前半戦を牽引した14号車ENEOS X PRIME GR Supraの山下健太が自らの持つコースレコードを更新する圧巻のアタックを披露し、ポールポジションを獲得。数字上でも自らの持つタイトル獲得の権利も残すとともに、ホームコースで負けられないGRスープラとしても意地の最前列確保となった。
2019年の“SUPER GT x DTM Dream Race”を含め3年連続で11月末のイベント開催となった富士の現地は、やはり本格的な冬の到来を感じさせる肌寒さに。静岡県は御殿場市街で最高気温18度を記録した金曜搬入日から一転、レースウイークが進むにつれて段階的に寒さが増すとの予報もあり、土曜公式練習開始の午前9時の時点で気温9度というコンディションで今季最後の週末が始まった。
そんな低温条件で速さを見せたのは、ここがお膝元のトヨタ陣営。昨季のデビュー時よりロードラッグな特性を活かして最高速を武器とするGRスープラのうち、14号車ENEOS X PRIMEの山下が、まだセッション中盤のGT300クラス混走時間帯ながらコースレコードを更新する1分26秒349の驚異的タイムをマーク。
2番手にもトヨタでランキング最上位の36号車au TOM’S GR Supraが続き、10時35分からのGT500専有走行枠では37号車KeePer TOM’S GR Supraも3番手とするなどトップ3を占拠し、前戦の結果により数学的条件では自力タイトル獲得が消滅しているものの、予選を前にトヨタ勢が意地の結果を残した。
夕暮れの斜光となった15時03分のコースオープンと同時に、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraを先頭に各車が早めの動き出しで続々とトラック上へとなだれ込んでいく。ウォームアップに掛かる時間を見越して、2分経過の段階で最後までピットレーンで待機していたミシュランタイヤ装着のGT-Rも2台が続けてコースへと入った。
すると午前はマシンストップを経験していた12号車カルソニックの平峰一貴が先行し、計測4周目には1分28秒527で首位に立つ。すると車列後方からウォームアップ性が良さそうな37号車KeePer TOM’S GR Supraのサッシャ・フェネストラズが1分26秒620と続きタイムを塗り替えていく。
これで決着かと思われた次のラップ。前周を1分28秒135としていた14号車ENEOS X PRIMEの山下が渾身のアタックを見せ、自身計測6周目で1分25秒764と自身の持つレコードタイムをさらに削り取るスーパーラップを披露。王者STANLEYのポールポジションを阻止すると同時に、この1ポイント獲得で数字上のタイトル獲得可能性も首の皮1枚でつなげる意地の最前列獲得となった。