2021年11月26日 10:21 弁護士ドットコム
交通事故の被害者に嘆願書の作成を依頼したいと考えている——。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
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相談者は自転車との接触で人身事故の加害者となりました。幸いにも被害者とのトラブルは避けられ、謝罪や治療費等の支払いも済んでいます。
そこで被害者に「加害者を許す」旨の嘆願書を作成してもらい、できれば刑事処分を免れたいと考えています。しかし、嘆願書の提出先や提出期限等がわからず困っているようです。
嘆願書はいつ、どこに提出するものなのでしょうか。また、被害者が嘆願書を提出することで加害者の処分にどのような影響を与えるのでしょうか。山岡嗣也弁護士に聞きました。
——嘆願書の提出にはどのような意味があるのでしょうか。また、いつ、どこに提出するものなのでしょうか。
一般的に、被疑者・被告人が自らの刑事責任を認めている刑事事件では、被害弁償の示談をしたのち、被害者から「被疑者・被告人を許し、刑事処分まで求めません」という趣旨の意思表示を得た上で減刑嘆願書の作成を依頼します。
被害者が被疑者・被告人を許したということは、刑事処分においても被疑者・被告人に有利に考慮されます。
起訴される前に減刑嘆願書を取得し、検察官に提出できれば、起訴猶予や略式命令(非公開で罰金のみで終了する手続)となることもあります。
また、起訴後であっても、裁判所に減刑嘆願書を提出すれば、刑の重さに影響することがあります。たとえば、執行猶予がついたり、実刑でも懲役や禁錮の期間が短くなることもあります。
——嘆願書を作成してもらう際に気をつけておくべき点はありますか。
減刑嘆願書は、被害者の意思に反して作成されても意味がありません。通常、検察官は、減刑嘆願書を確認した後、その作成について被害者に意思確認をします。
仮に被害者に対し、無理やりに減刑嘆願書を作成させた場合、その点をも考慮されて刑事処分を決定されることになりかねず、不利に働くこともありますので注意が必要です。
【取材協力弁護士】
山岡 嗣也(やまおか・つぐや)弁護士
関西大学法学部卒。平成18年弁護士登録。広島弁護士会。 広島県呉市の弁護士。主な著作(共著)は、「Q&A会社のトラブル解決の手引」(新日本法規出版)、「談合被告事件・副市長の職を奪った冤罪事件」(季刊刑事弁護2009年60号)
事務所名:山岡法律事務所
事務所URL:http://www.yamaoka-law.jp/