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発見! あぶない家 第11回 一人暮らしの防犯対策、注意したいポイントは?

2021年11月25日 12:41  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
今までは戸建住宅や共同住宅でも、主に家族世帯に関してのお話でした。今回は一人暮らしの方、特に女性の一人暮らし方に気を付けていただきたいことをお話ししていきたいと思います。


家族と離れ一人暮らしをすると、はじめは誰にも邪魔されずに、自分の好きなように時間を過ごすことができる開放感やうれしさで、気持ちも緩みがちです。その気持ちよく分かります。ただ、その開放感が油断につながり、一人暮らしに慣れてきた頃に危険な目に遭ったりする方が多いように感じます。自分の自由な時間を満喫するためにも、安心して生活ができるように「防犯対策」をなさっていただきたいと思います。



まずは、生活を見直して毎日を「防犯生活」で過ごしていただきたいです。防犯生活は決して難しいことではありません。普段の生活習慣に防犯を意識した生活をすれば良いだけです。

「一人暮らしだ」と分からないような工夫を



一人暮らしで狙われる率が高いのは、やはり弱者である女性です。女性の一人暮らしだと分かるような生活は、犯罪者にとって都合がよく、ターゲットにしやすくなります。それを逆手にとって、一人暮らしと分かりにくくすれば良いのです。

洗濯物は室内干しが理想



例えば洗濯物。室内干しが理想ですが、やはりお天気の良いときにはお日様に当てて干したい。そんな時は男性物を一緒に干してください。できれば作業着など、ガタイの良い男性と一緒に住んでいるように演出するのもありですね。下着は必ず室内に干していただきたいです。帰宅が日が暮れてからになる日、雨の天気予報が出ている日にも、室内に干してください。

カーテンはダークな色柄で



次にカーテンの色と柄です。外から見て女性の部屋だと判断できてしまうような色柄は避け、落ち着いたダーク系の色合いのカーテンにしていただきたいです。柄は無い方が良いですが、どうしても柄物を掛けたい場合は、シンプルな柄にしてください。レースのカーテンは外から室内が見えにくい素材の、ミラーカーテンを使用することをお勧めします。

家に人がいると思わせる照明



お仕事や外出の際、帰宅が日が落ちてからになるときには、通りからよく見える部屋の室内照明を点けて出かけるか、タイマー付きの照明器具などで、夕方に室内照明が点くようにしてください。そしてカーテンの隙間から灯りが少し漏れるようにして出かけていただきたいです。

玄関に男性のものを



玄関は皆さんが思っている以上に、その家の家族構成が分かる所です。女性の靴だけしか置いていない。これは女性世帯だと一目で分かります。洗濯物と同様、男性物の靴を一緒に置いてください。



以前ある女性が「私は工事現場などで使用する。安全第一と書かれたヘルメットと安全靴を玄関に置いています」とご自身で考えられた対策を話してくれました。これは、とても良い対策だと感心したことを覚えています。傘立てにも男性物の傘を置いておくと良いでしょう。

表札は名字だけに



表札に関しては、集合ポストも玄関にある表札も、できれば記載しないのが良いですが、記載する場合は名字だけにするか、わざと男性の名前も一緒に書いておくのも良いでしょう。集合ポストの鍵は必ず掛けるようにしてください。郵便物に関しては、会社の上司が話しやすい人ならば会社へ転送してもらう。などの方法も良いと思います。


宅配便の受け取り時にも注意



宅配便は、宅配ボックスが設置してあれば、そこに配達してもらうか、必ず受け取れる日時に配達してもらう。または受け取り場所を近くのコンビニなどを指定し、受け取ることができる宅配業者のサービスを利用するのも方法の一つです。



ご自宅で受け取る場合は、誰から(どこから)、中身は何か、誰宛に送ってきたのかを必ずインターホンで確認をし、受け取る際もドアガードやドアチェーンをしたまま対応をし、確実に大丈夫だとなってから玄関を開けるようにしていただきたいです。



この対応の仕方は宅配業者だけでなく、他の配送業者にも行ってください。全ての来訪者に対してドアガード・ドアチェーンを活用し対応してください。それが警察であっても、不動産屋・管理会社であってもです。

外出時も危険がいっぱい



次は外出時に関して触れていきたいと思います。

建物のエントランスに着いたとき



帰宅時、オートロック付きの物件にお住まいの方は、建物に到着してからエントランスで鍵をバッグから出すのではなく、建物近くになったら手に持つようにしていただきたいです。エントランスでバッグから鍵を出そうとしている時に、ひったくりなどの被害に遭う可能性があります。

エレベーターに乗るとき



エレベーターに乗る際は、周りに人がいないか確認をし、男性と乗り合わせた場合は、スマホに電話がかかってきたフリをして「お先にどうぞ」と譲ってください。もしエレベーターのドアが閉まる寸前に男性が乗ってきた場合は、非常ボタンがすぐに押せる位置に立ちましょう。決して相手に背中を向ける立ち方や、箱の一番奥に立つことはやめるようにしてください。

自宅の玄関を開けるとき



玄関を開ける時も同じです。周りに人が居ないのを確認してから玄関を開けるようにしてください。特に非常階段近くの部屋の方は、確認を怠らないようにしていただきたいです。



そして、室内に入ったらすぐに玄関の鍵だけでなく、ドアガード・ドアチェーンも必ずかけるようにしましょう。また、外出時も同様に注意が必要です。外出時に玄関ドア近くに潜んでいて、玄関を開けた時に押し込まれる事件も発生しています。ドアスコープで外に人が居ないか確認してから出るようにしていただきたいですね。



そして、帰宅時には「ただいま!」外出時には「行ってきます!」と言っていただくともっと良いと思います。何故なら、同じ建物の住人が、一人暮らしの女性を狙った事件も発生しているからです。



一人暮らしの「防犯生活」を、たくさんお話ししてきました。面倒臭いと思いわれたかもしれませんが、安心して生活をするためにも、是非、実践していただきたいです。「備えあれば憂いなし」です。



あなた自身を守るのはあなたです!



一般社団法人 日本防犯学校学長/防犯ジャーナリスト : 梅本正行 うめもとまさゆき 1964年からセキュリティ事業に参入し、警察署での署員特別教養講師や犯人逮捕への協力など、警察からの感謝状は400枚を越える。侵入犯罪の現場には極力足を運び、犯罪現場の環境や犯行手口など、事件の内容を検証。その数は8,000件を越え、今もなお増え続ける。現在、犯罪者心理を知り尽くしたプロの目で、防犯ジャーナリストとして活躍。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等で予知防犯対策を提唱している。また、行政・自治体・民間企業等でのセミナーや講演も多く、人情味あふれる独特のキャラクターで予知防犯対策の重要性と人の命の尊さを呼びかけている。通称「防犯の梅さん」。 防犯対策責任者の育成にも力を入れ、養成講座を開講する傍ら、犯罪抑止に力を注ぐと共に経済産業省の「省エネ・防犯情報提供事業研究会」の委員として参画していた。現在は地域の防犯ボランティアの育成や防犯住宅を造る工務店の育成を全国で行っている。 一般社団法人 日本防犯学校 この著者の記事一覧はこちら(梅本正行)