柳内大樹原作による実写映画「軍艦少年」の完成披露試写会イベントが、本日11月23日に東京・アキバシアターで開催された。
【大きな画像をもっと見る】12月10日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開される「軍艦少年」は、長崎・軍艦島の見える街に暮らし、最愛の母を亡くして喧嘩に明け暮れる主人公・坂本海星と、妻を亡くして酒に溺れるラーメン屋の店主の父・玄海を描く物語。イベントには海星役の佐藤寛太、玄海役の加藤雅也、海星の同級生・結役の山口まゆ、海星の友人・純役の濱田龍臣、玄海の幼なじみ・野母崎巌役の赤井英和、海星の母で玄海の妻・小百合役の大塚寧々、Yuki Saito監督が登壇した。
もともと柳内の「ギャングキング」「セブン☆スター」が好きだったという主演の佐藤。「軍艦少年」はオファーをもらってから読んだことを明かし「柳内さんの作品では男同士の友情や仲間を大事にされてるけど、『軍艦少年』ではそこに家族の物語が入ってきて。この作品を演じさせてもらえるのがうれしかったです」と語る。また無事に公開できることについて「映画って話が決まってからも頓挫することがあったり、何も問題なく公開まで運べるのが当たり前じゃないので。無事にこの作品が公開まで運ぶように、インする前から行く末を祈ってました」と、作品への熱い思いを述べた。
海星の父を演じた加藤は、佐藤との親子関係について「もうこういう年齢の息子がいる年代になってきたなと」と振り返り「撮影当時が23歳でしょ?」と佐藤に投げかける。その言葉に、佐藤は「なんか恥ずかしいですね」と照れくさそうにしながら、「掴みかかるシーンのテストで壁に穴開けちゃったのが思い出深いです、雅也さん型の(笑)」と、加藤との撮影を振り返る。するとSaito監督は「あの穴、そのまま残ってて。聖地化されてるらしいですよ(笑)」と明かし、観客の笑いを誘った。
また母の小百合を演じた大塚は「雨降らしのシーンで、佐藤くんが一生懸命に水で靴をを濡らしてたのが印象的で。なんて純粋で素敵な人なんだろうと」と語る。その話を受けて、Saito監督は「雨降らしのシーンでは散水車で雨を作ってたんですけど、スタッフが間違えて寧々さんに直球で当てちゃって」とエピソードを披露。「しかも消防士が使うようなデカイやつですからね」と佐藤が補足すると、Saito監督は「もうスタッフ全顔面蒼白で『終わった』って顔してて。でも寧々さんが満面の笑顔で『焼き肉おごれよ』って言って、場を笑いに変えてくれて……」と大塚の優しさに救われたと語る。
さらに話は、作品の舞台となっている軍艦島での撮影について展開。Saito監督が「内部はユネスコに許可を取らないと撮影できないという話で。でも『軍艦少年』というタイトルを背負ってる以上、内部を別の場所で撮影したらこの映画をやる意味があるのかと思った」と話し、2年間かけて許可を取ったことを明かす。また軍艦島に入ったときは「最初はワクワクドキドキしてたんですけど、入った瞬間、場所が持ってる力に圧倒されて。まるでラピュタの世界に来たみたい。もう撮らなきゃという使命感のようなものがあった」と振り返る。撮影を経験した佐藤も「入った瞬間一言もしゃべれなくなるぐらい圧倒されました。人がいたことがわかる痕跡も残ってるのに、圧倒的な静けさで。スクリーンで観ても伝わると思います」と力強く述べる。
そして世界遺産である軍艦島で撮影したことにちなみ、「世界遺産と並ぶぐらい、個人的に大切にしている物・場所は?」という質問が。最初に答えることになった佐藤は少し悩みながらも「……休日?(笑)」と述べると、すかさず加藤に「ああ、寛太にとってはこの映画が一番じゃないんだな」と突っ込まれ、佐藤は「うわー大人だー悪い大人だ……」と頭を抱える。続く大塚、赤井、山口、濱田も映画にちなんだ回答を続け、佐藤は「この流れ全然想定してなかった……」と苦笑いを浮かべた。そんな中、Saito監督は「大切なものって言われたから持ってきてて」と、子供の頃からのお守りだというガチャポン戦士のおもちゃを取り出す。さらに「当時仲のよかったお坊さんの家の子と『クリスマスこないんだよな』って話をしてて。僕は『自分が信じるものが神様になるんだよ』って言って、そのとき持っていたガチャポン戦士をお守りとして持ち続けてるんです」と熱く語るも、佐藤から「すごい感動する話ですけど、だいぶ変人ですね」とツッコミを入れられていた。
最後、佐藤は「今回の現場で、スタッフさんが僕らやスタッフさんの写真を撮って共有のLINEに送ってくれていて。僕はそれをだいぶ保存して、今でも台本を見ながら名前と写真を照らし合わせて思い出すっていうのをやってるんです。今までそんなことをした作品は一度もなくて」と、同作に対する強い思いを語る。「毎回いいものをという気持ちで演じてますが、仕事としてやっていくのが難しいと思う時期もあって。でも今回、素晴らしいキャストさんスタッフさんが1カット1シーンをどれだけよくするかにこだわる姿を見て、この仕事をやらせてもらって幸せだなって感じる瞬間がいっぱいありました。映画を観てどう感じるかはお客さんそれぞれだと思うんですが、すごいパワーのある映画だと思うので受け取ってもらえたらうれしいです」と語り、イベントを締めくくった。
■ 実写映画「軍艦少年」
2021年12月10日(金)全国公開
出演:佐藤寛太、加藤雅也、山口まゆ、濱田龍臣、柾木玲弥、一ノ瀬ワタル、花沢将人、高橋里恩、武田一馬、赤井英和、清水美沙、大塚寧々
監督:Yuki Saito
脚本:眞武泰徳
劇中画:柳内大樹
原作:柳内大樹『軍艦少年』(講談社「ヤンマガKC」刊)
主題歌:卓真「軍艦少年」(UNIVERSAL MUSIC)
企画・プロデュース:眞武泰徳
アクション監督:鈴村正樹
音楽:戸田信子
制作プロダクション:エノン
制作協力:オフィスアッシュ
製作:『軍艦少年』製作委員会
配給:ハピネットファントム・スタジオ
※高橋里恩の高ははしご高が正式表記。
(c)2021『軍艦少年』製作委員会