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1億7000万円の借金返済に追われても…… ♥さゆりが「私はむしろラッキーだったかも」と語る理由

2021年11月23日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

1億7000万円の借金返済に追われても…… ♥さゆりが「私はむしろラッキーだったかも」と語る理由

 「ボヨヨ~ン!」のギャグでおなじみ、夫婦漫才コンビ“かつみ・さゆり“のさゆりが、『さゆり52歳 生き様ビューティー』を発売し、大きな注目を集めている。


 本作は、YouTubeチャンネル『かつさゆのボヨヨンチャンネル』にて総視聴回数1000万回を突破する人気を博した美脚法やスキンケアなどの美容法がたっぷりと収録された1冊。52歳になって「今が一番若く見られる」というさゆりの美の秘密を知ることができる。とはいえ、さゆりの美容方法は芸能人ならではな高額なものではなく、ホットタオルの活用や洗顔の泡立てを丁寧にするなど、誰もが金をかけずにすぐに真似できるものばかり。それは彼女が結婚以来、夫であるかつみの借金返済を支える生活をしてきたことと関係しており、本の後半には逆境続きの人生をどう明るく乗り越えてきたのかという愛の日々も明かされる。


(参考:【画像】さゆりの“美肌”と“美脚”にうっとり


 「人生のお天気も必ず変わる、今日が雨でも明日はきっと晴れ」そう添えられた言葉と晴れやかな笑顔が印象的な本作を、どのような思いで書き上げたのだろうか。(佐藤結衣)


■人生の曇り、土砂降り中の人のちょっとした晴れ間になれたら


――ずっと変わらない印象だったので、今回タイトルに年齢が入っていて驚きました。


さゆり:ありがとうございますー! これね、52歳って年齢がバーンと出てるんですけど、52の裏返しで結婚25周年っていうのもあって、実は銀婚式っていう裏テーマで作ったんです。なので、今回最初のほうに入っているグラビア写真のところでは、白のウェディングドレスも着させていただいてね。25年前は大借金で結婚式を挙げられる状況じゃなかったんですけど、ちょうど当時吉本と日航ホテルさんがコラボレーションして「『結婚でんねん』っていう企画やるけど、お前ら第一号で挙げてみるか」って言われて。そのときに無償で貸してくださった会社さんから、また今回25年目で貸していただけたんですよ。ホンマにありがたいことですよー!


――じゃあ、このドレス姿を見た私たちは銀婚式に参加した感じですね。


さゆり:あははは! それでね『生き様ビューティー』ってタイトルをつけてもらった「生き様」の部分になるんですけど、結婚25年本当に山あり谷あり谷あり谷あり……谷ばっかりだったことを書かせていただいたんです。今コロナ禍でしんどくなられている人がたくさんいらっしゃるでしょ? 若い方でも本当は楽しめるはずだった青春がなくなってしまったり、就職活動に不安があったり、もちろん生活が苦しくなられた方もね。そんな人生の曇りだったり、土砂降り中だよっていう方の、ちょっとした晴れ間にならたらなという想いも、この本を作る熱意になりましたね。


――本当に。さゆりさんの生き様に、美容=生命力そのものなのかもしれないなと思いました。


さゆり:そうかもしれない! だって必死に生きていますもん毎日。もともと本が出せるとはまさか思ってなかったけれど、アナログな私が失敗しながらコツコツとやってきたInstagramとか、コロナ禍で「なんとか収入源を~~!」って始めたYouTubeをたくさんの方に見ていただけるようになって。私自身が大変な時期を支えてくださったみなさんに「こういう形になりました」って一冊にまとめてご報告をさせていただきたかったっていうのも大きいですね。


――「生き様」の部分もこの本に入れていこうっていうのは、さゆりさんご自身のアイデアだったんですか?


さゆり:そうですね。本を作るにあたって編集の方といっぱいしゃべらせていただいたんです。そのときにコロナ禍でしんどいっていうお手紙をいただくことが増えたことや、命の危険にまで追い詰められている方もすごく多いことをお話したんです。そしたら、編集の方も「そういう方に何か1つでも支えになるものになれば」って。だから、あとがき部分は美容本としてはすごく重たくなっているんですけど、そういう方々の命を守りたい一心で書かせていただいたんです。「人生のお天気も必ず変わる、今日が雨でも明日はきっと晴れ」と書かせてもらった部分も、どうしても伝えたくて。印刷所に入ってもう仕上がるよっていうタイミングで、無理やり「どこかに入れてください!」ってお願いした部分なんです。


――これは直筆なんですね。文字もお綺麗ですね!


さゆり:急にそこだけ直筆でちょっと変な感じかなって思ったんですけど。よかったー、習字ならってて(笑)。


■心を追い詰めずに日々褒めていく


――美容法一つひとつはどれもすぐに取り入れやすいものばかりなんですけど、本の中で紹介されていた分刻みのモーニングルーティンには圧倒されました(笑)。


さゆり:はははは! 本当に分刻みなんですよ! だから正直な話、朝の夫婦の会話はほとんどないんですよ。「あなたはあなたでやってね! あんまり私のこと構わないで」って言って。私、基本的には家の中でもずーっとぺちゃくちゃ喋ってるんですよ。かつみさんと32年一緒にいて、未だにずっと喋ってるんですけど、朝のルーティンだけは会話なし(笑)。ここだけです、うちの夫婦がまるで冷戦かのように会話のないのは。


――まず「1度のアラームで起きる」っていうところから尊敬しました。


さゆり:私すごい低血圧なんですけどね、そこは気合ですよ、気合!「働かないと死ぬ!」っていうプレッシャーです(笑)。これはマグロが止まると死ぬっていうあの感覚と一緒ですね。私たちも止まると死ぬって、「止まるな!」て言い聞かせて朝の生放送とか乗り切ってます。


――頭が下がります(笑)。


さゆり:あはは。でもね、これだけはお伝えしたいんですけど、特に日本のみなさんは真面目な方が多いじゃないですか。読んだら「きっちり全部やらないといけない」って思われる方もいらっしゃるんですけど、私だってこれを毎日やってるわけではないですからね。この本に載せたルーティンはあくまで100%完璧にできた日のことを書かせていただいているだけで、日々完璧にできているわけじゃないんです。いろんなことを省いたり、ときには1カ月くらいできない時とかありますから。だから「私って3日坊主で全然だめやわ」ってならずに、また思い出したタイミングでやってみたときに「今日はこれができた!」って自分を褒めてあげてほしいんですよ。


――その言葉を聞いて少し心がラクになりました(笑)。


さゆり:そんなんできませんって、毎日毎日~! だから“いい加減が良い加減“なんです。絶対に自分を追い詰めないでくださいね、みなさん。家の中くらいストレスフリーで自分を解放してあげてほしいなって。それが結果としてお肌にも一番よかったりするので。「私もこれは100%毎日やってません!」って、本を出した側なのに言っちゃってごめんなさいって、感じですけど(笑)。


――心を追い詰めないっていうところは、意外と難しいですよね。


さゆり:52歳になって思うことは、やっぱり心とお肌は直結するなってことなんですよ。だからね、鏡で自分の顔を見たら、にっこり笑ってあげるだけでも違いますから、やってみてほしいですね。人って笑顔を向けられたら自然と笑顔になりません? それと同じで、自分自身に笑顔を向けてあげることによって、その笑顔が自分の心にインプットされるんですよ。それの積み重ねってすごく大事だと思っています。


――とはいえ、先ほど「山あり谷あり谷あり……」ともありましたが、生き様の部分を読むとよくこうして明るく過ごされているなと。


さゆり:第6章を書き出していたらね、編集の方から「ちょっと待ってください。これだけで1冊の本になってしまうので、深い話はまたの機会にしましょう。かつみさんの『借金星』を読んでもらいましょう」って促されて(笑)。


――(笑)。でも、そんな日々の中でどうやって笑顔を保っていらしたんですか?


さゆり:借金の額が1億7000万円ってなると、守りばっかりでは絶対に支払いきれないんですよ。攻めにも出ないといけない。でも、人生そんなうまくいくことばかりじゃないので失敗するじゃないですか(笑)。だから、テレビでも話せない、本に書けないこともたくさんありました。それでもね、かつみさんが私以上にポジティブで、マイナスのことを一切言わなかったんです。だからこの人についていくことが、私の決断だって思って。


■マイナス100からの結婚は、むしろラッキーだったかも


――その覚悟がすごいですよね。


さゆり:でもね、いつもプラスなことばかり言うかつみさんなんですけど、その中の影の部分を見てしまったんです。そもそも人を全く信用していなくて。それが私としてはすごく寂しく思ったんですよね。人って本当はすごく温かいのに。親のこととかでいろいろと話しているときに「本当は親の愛って自分の身をていしてでも、子どものことを守ったりするものなんだよ。それが家族の愛なんだよ」って言っても理解してもらえなくて。そういう温かいものを全然知らないのなら、知ってもらいたくなったんです。100%信頼がおける、温かいものがこの世の中にはあるんだよって。私がこのひとの家族になって、それを伝えたいなって思ったのが、結婚しようと思った理由なんです。1億7000万円の借金があることが最初にわかってたので、それってもう100%に近い確率で沈む船じゃないですか。だからどうせ沈むなら1人では沈ませない、一緒に沈んであげたいなって。


――「富める時も貧しき時も…」って結婚の誓いでありますけど、現実としてはなかなかできないものですよ。


さゆり:でもね、はじめにマイナス100からスタートしてるって、もうそのあとどんなことが起こっても大丈夫っていうメリットもあるんですよ。だから、私はむしろラッキーだったかもしれないです。結婚して最初の3年でいろいろとマイナスなところを全部見たから、もう何が起こっても怖くないですから。逆に、結婚するときが幸せの絶頂みたいな感じだったら、あとからあとからマイナスなことが出てきてしんどかったかもしれない。でも、私たちの場合は、プラスになることしかないですからね。


――本の中では、さゆりさんは3世代の女性がいる家庭環境で育ったとありましたが、そうなると「女の人は結婚して幸せにしてもらう」のような、より保守的な結婚観が定着しそうだなと思ったのですが、そうではなかったんですか?


さゆり:そこは私が現代っ子だったんですかね? 男の人に幸せにしてもらうという考えはまったくなかったです。むしろ、私たちの世代ってバブル時代で、女子がどんどん力を持っていって、社会に出たかった世代なので、「結婚したら仕事をやめろって言われる」っていう悩みが多かったんですよね。最近では、また共稼ぎが当たり前になりつつある中で「専業主婦になりたい」っていう女性も多くなってきたという話を聞いて、時代の流れって面白いなと思いますね。


――そうですね。時代によって悩みごとも変わりますね。


さゆり:だからね、みんな大変なことが起こると、自分がいますごく不幸だって思い込みがちなんですけど、実はそんなことまったくないって思うんですよ。今、この時代に日本で生きているってだけでもすごくラッキーなことで、ありがたいことなんだなって。だって、世界では今も戦争が起きている地域もあるし、日本だってほんの70~80年前まで戦争で大好きな家族を戦地に送らなければならない日々だったわけですから。さらに、さかのぼって江戸時代とかになったら、身分制度でお侍さんの前を横切ったみたいな理不尽な理由で命を取られることもあったわけで。そう考えたら、今こんな平和な世界に生まれただけでもラッキーってなりません?


――そうですね。生きる大前提が安定していますよね。


さゆり:もちろん、私も大変なことがあったらしっかり落ち込むし、「もうあかん。生きてられへん」みたいなところまで追い込まれることも多々ありました。ベランダの下を眺めて「あっちのほうが楽なのかな?」って思うような夜だってありましたから。だから、追い込まれる気持ちも十分わかっているんですけど。だからこそ、その夜を超えたら絶対アホなことで笑えるんですよ。私もケラケラ笑ってるわけじゃないですか。死んでからあの世で後悔しても戻れないから。そういうふうに色々と視点を変えたりして、どうにかそこで追い詰めるのをストップさせてねって言いたいんです。


■どんな環境でも生き抜き、人々を助けるヒロインに憧れて


――この本では、さゆりさんが直接話しかけてくださるような文体が心地よかったです。もともと文章を書くことはお好きだったんですか?


さゆり:いえいえ、苦手です。こんなに長く文章を書いたのも初めてですね。


――「知らんけど」みたいな言葉も入っていて、「ふふっ」となりました。


さゆり:あはは!「知らんけど」はね、関西人特有の口癖なんですよ。


――さゆりさん自身は本をよく読まれますか?


さゆり:小さい頃から漫画が大好きなんです。こんなにお金がないのに、漫画には課金しちゃうんですよ。「それだけは許してー」でも「誰か止めてー」って思いながら読んでます。


――どんな作品がお好きなんですか?


さゆり:結構オールマイティーに読むんですけど、好きな作品は少女コミックが多いかもしれないです。私の人生とか、理想の女性像も漫画のヒロインから影響を受けていますね。一番最初に好きになったのは『天は赤い河のほとり』(篠原千絵/小学館)です。現代の女子中学生のユーリが紀元前のヒッタイト帝国に行っちゃう話なんですけど、その強く生きる姿が私の理想ですね。理想といえば、その作品に出てくる皇子のカイルなんですけど、全然かつみさんと違うー(笑)! こんなもんですね、理想と現実は!


――(笑)。でも、過酷な環境でも生き抜くユーリはたしかにさゆりさんと誓いものがありますね。


さゆり:本当ですか!? うれしい! あと今好きなのは『女王の花』(和泉かねよし/小学館)と『暁のヨナ』(草凪みずほ/白泉社)です。これらの作品もヒロインが自分の力で生き抜こうとするのもそうですけど、人民を助けていくところが好きなんですよね。


――好きな漫画に、さゆりさんの原点を見た気がします。でも、さゆりさんの人生もコミック化できそうですよね。


さゆり:はははは! 実は1回ね、脚本家の偉い先生が私たちのことを「映画化したい」って言ってくださって、いろいろとお話をさせてもらったことがあったんですよ。でも、「これ2時間半は無理だ、朝ドラだ!」って言われてしまいました。なので、いつか朝ドラにしていただけたらありがたいです(笑)。


■やっと見えた借金完済のゴール、本当の人生は80代から!


――「いつか朝ドラに」という話もありましたが、今後おふたりで「こんなふうに生きていきたい」というイメージを聞かせてください。


さゆり:実はね、今までずっと暗いトンネルのなかをひたすら走ってきたんですけど、ようやく出口が見えてきたんですよ。うちの借金ってバブル時のだったんで、金利がすごく高かったんです。ずっと金利だけ払い続けてるような状況が続いていたんですけど、3年前くらいに銀行の担当者が「この人らは絶対逃げないから」って上に掛け合ってくれて、借金を一つにまとめて金利も下げてくれはったんです。もう、その方のことを「私の半沢直樹」って言ってるんですけど。


――朝ドラだけはなく、日曜劇場もいける人生!


さゆり:そうなんですよ。これまで20年くらい何十行と銀行の借り換えを失敗してきたのに、直樹のおかげでようやく金利を払うだけじゃなくて元金が減ってきていて。この前、ようやく最後の支払い日が見えたんです。


――わー(拍手)! それはいつなんですか?


さゆり:かつみさん86歳、私が80歳のときです。もうね、それまで見えなかった出口が見えたことで、もう完済したような気持ちになっちゃって。みんなに「それは違うよ」って言われるんですけど、でも、それくらいうれしくて。


――ゴールが見えたら、もう走るだけですね!


さゆり:そうなんです。うちの人生はかつみさんが87歳からなんですよ。だから「長生きせなあかん! 127歳まで生きるぞ」って、この前ね遺伝子検査してもらったんです。今、唾液を送ってできる検査があるんですけどね。正確な数字はちょっと忘れてしまったんですけど、たしか日本人の98.8%が80歳以上生きられる遺伝子を持っているんですって。でもね、かつみさんは遺伝子検査の結果、めでたくそうじゃない1.2%に入ったんですよ。「長生きできひんやないかい!」って。すごないですか?


――まさかの(笑)!


さゆり:私「もうこの人遺伝子からおもしろい」って思って(笑)。今必死で長寿サプリ飲んでるんですよ、かつみさん。


――遺伝子の運命にあらがっていただきたいです。


さゆり:本当に。目標は80代になってもキャッキャ言いながらロケしてるレポーターでいたいなって。夫婦で元気にロケができたら、そんな幸せなことはないなって。本にも書いたんですけど、私「ボヨヨ~ン」ハゲになってるんですね。最悪髪の毛が2本あればできるって思ってるんですけど、80代になったら毛がなくなっちゃってるかもなーって言ったんですよ。そしたら、かつみさんが「さゆちゃん、ピンクのウィッグをかぶり!」って。


――素敵ですね!


さゆり:そうか、その手があったかと(笑)。だから、きっとピンクのウィッグをかぶって、今よりももっと短いスカート履いていると思います。そのときまで元気に夫婦でわちゃわちゃやっていけるように、これからも頑張ります!


※コンビ名の正式表記はかつみ(ハートマーク)さゆり
さゆりの正式表記は(ハートマーク)さゆり
かつみの正式表記はかつみ(ハートマーク)


(取材・文=佐藤結衣/写真=はぎひさこ)