2021年11月22日 11:01 弁護士ドットコム
夫の不倫相手に最低でも慰謝料100万円支払って欲しい。そう考えている女性が弁護士ドットコムに相談を寄せました。
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女性は減額請求されるのを前提として、夫の不倫相手に300万円の慰謝料を請求する予定です。最終的に100万円~150万円ほどの慰謝料をもらいたいと考えています。
夫には慰謝料を請求しませんが、不倫相手が求償権を行使して、夫に慰謝料の一部を請求する可能性があります。そのため、相談者は求償権を放棄する内容の示談書を不倫相手に書かせたいようです。
女性は「お金を取られないようにするなら、夫にも100万請求した方が良いですか?」と策を練っていますが、確実に100万円以上の慰謝料を得るために、どのような方法を取れば良いのでしょうか。宮地紘子弁護士に聞きました。
——そもそも、求償権とはどのようなものでしょうか。
不倫、つまり不貞行為による慰謝料請求(不貞慰謝料)の場合、不倫相手と夫が妻に対し共同で不法行為をしていることから、法律上は共同不法行為となり、それぞれの債務は(不真正)連帯債務の関係になります。
そして、夫か不倫相手のどちらかが相当額を上回る慰謝料を支払えば、もう一方の慰謝料債務は消滅し、自分の責任を超えて支払った部分について金銭を取り戻す権利が生じます。これを求償権と言います。
——不倫相手に対し、求償権を放棄させるように示談書に記載することはできますか。
あらかじめ不倫相手との間で「求償権を放棄する」という文言を入れて示談書を作成することは可能です。
この場合、不倫相手分として相当額の不貞慰謝料しか支払いを求めることはできないため、求償権を放棄しない場合より慰謝料は少額になります。
——相談者は確実に100万円以上の慰謝料を得たいそうですが…
示談交渉であれば、不倫相手が様々な事情(例えば訴訟は控えたい、早く解決したい)から100万円以上の慰謝料を支払う可能性もありますが、確実とはいえません。
つまり、不倫相手から不貞慰謝料として100万円を得られるか否かは、不貞相手次第ですので確実に得られる方法は残念ながらありません。
——訴訟にした方が、高額慰謝料を得られるのでしょうか?
訴訟になった場合は、裁判所は、不貞期間、不貞回数、不貞の態様、訴訟態度などを加味して慰謝料金額を定めますが,訴訟の方が高額慰謝料を得られる訳ではありません。なお、示談の際に求償権を放棄する趣旨の文言を入れた方が二次的紛争の防止等にはなりますのでメリットはあるといえます。
【取材協力弁護士】
宮地 紘子(みやち・ひろこ)弁護士
名古屋市出身。勤務弁護士を経て独立後は離婚や相続などの家事事件を中心とした案件を数多く担当。JAPAN MENSA会員。家庭では1児の母。子育てと仕事の両立に日々奮闘中。
事務所名:八事総合法律事務所
事務所URL:http://www.yagotosogo.com