トップへ

レッドブル・ホンダ密着:DRSの不具合が続き、リヤウイングの修復作業に追われたFP3。予選に向け別スペックに交換

2021年11月21日 14:00  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

2021年F1第20戦カタールGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
もしかしたら、この日のレッドブル・ホンダは、チャンピオンシップ争いを左右する重要な1日を送っていたのかもしれない。

 レッドブル・ホンダにとっての長い1日の始まりは、F1第20戦カタールGPフリー走行3回目へ向けた準備段階で発覚したりやウイングのトラブルだった。前日の金曜日のフリー走行でもセルジオ・ペレスのリヤウイングにDRSの不具合が発生していたが、この日はペレスだけでなく、マックス・フェルスタッペンのマシンにも同様の問題が発生していた。

 そのトラブルがいかに深刻だったかは、最近では珍しくレッドブルのメカニックたちが総出でガレージの前に立ちはだかっていたことでもわかる。

 時折、メカニックたちの切れ間から奥が見える。すると、そこにはフェルスタッペン側で険しい表情でリヤウイングを見ているチーフエンジニアのポール・モナハンの姿があった。

 しばらくして、フェルスタッペン側のメカニックたちが壁を崩して、自分たちの持ち場に帰った。すでにセッションは開始から7分が経過。依然として、リヤウイングの修復作業が継続されている。

 その後、フェルスタッペン側のリヤウイング修復作業が完了したかに見えた。しかし、DRSを稼働させるにあたってなんらかの不具合が継続されていたようで、メカニックが何度もDRSの開閉作業を行っていた。

 一方、ペレス側はまだメカニックによる壁が築かれたままだった。数分後、壁が取り除かれ、ペレスがコクピットに収まる。そのころ、フェルスタッペン側はメカニックによる修復作業が続いており、フェルスタッペンはコクピットに収まるどころか、ヘルメットすらかぶっていないという状態だった。

 午後2時14分、レッドブルのマシンが2台ともとどまっているガレージの前をルイス・ハミルトン(メルセデス)が通過し、コースインしていく。それをクリスチャン・ホーナー代表が見つめていた。

 午後2時17分、ペレスがコースイン。しばらくして、フェルスタッペンもピットアウトするが、2台ともすぐにピットイン。ガレージ前にマシンが止まると、メカニックがリヤウイングを確認している。どうやら、問題が完全には回復していない模様だ。つまり、レッドブル・ホンダはこの段階でリヤウイングの修復させることを断念し、1時間のセッションの残された時間では、車体やパワーユニットのセッティングの確認を行うことを優先して、コースインさせたと思われる。

 さらに、セッション後はこのような状況を踏まえて、2台ともフリー走行3回目で使用したものとは異なるスペックのリヤウイングを交換。したがって、予選に向けて、異なるリヤウイングに合わせたセットアップが完璧に決まっていなかった可能性が高い。

 ハミルトンのフリー走行3回目の最高速が時速316.9kmで、予選では時速323.9kmと7km上がっているのに対して、フェルスタッペンのフリー走行3回目の最高速が時速318.1kmで、予選は時速320.5kmと2.4kmしか上がっていないことを考えると、レッドブル・ホンダが予選から搭載したリヤウイングはダウンフォースが大きい仕様だったと思われる。

 このような慌ただしい1日だったにもかかわらず、レッドブル・ホンダの土曜日のチームリリースではそのことは一切触れていない。それが、逆にこの日レッドブル・ホンダに降りかかった不幸の大きさを物語っていたかもしれない。