初開催となるF1カタールGPに向けて、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)はこう抱負を述べた。
「カタールGPが行われるロサイル・サーキットは僕だけでなく、ほかの多くのドライバーもレースをした経験がないので、その点では条件はイコールコンディションだと思います」
カタールはF1初開催というだけでなく、F1ドライバーにとっても未知のサーキットなのである。カタールGPの舞台であるロサイル・サーキットを走った経験があるドライバーは20人中、ひとりだけ。
そのひとりであるセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)も、ここを走ったのは12年前で、本人も「確かにこのコースをドライブしたことがあるけど、それは僕がまだ若い頃で、その記憶はほとんどなく、金曜日のフリー走行を走り始めてからだんだん蘇ってきた程度。みんなに比べて、(12年前の走行経験が)アドバンテージになっているとは思わない」と語っていたほどだった。
走行経験だけでなく、コースレイアウト的にも、角田にとってロサイル・サーキットは決して嫌いなコースではなかった。木曜日の時点で、まだF1マシンでの実走行はなかったものの、角田は3連戦が始まる前に、イギリス・ミルトンキーンズでシミュレーターを使ってロサイル・サーキットを走っていた。そして、その感想をこう述べた。
「コースレイアウトもメキシコやブラジルよりも入り組んでいなくて覚えやすいので、3連戦のなかでは今回が一番臨みやすいかもしれません」
その言葉通り、角田はフリー走行1回目から快調な走りを披露した。一時はトップタイムもマークし、最終的に5番手で終えた。角田が最初のセッションでトップ5に入るのは、第9戦オーストリアGP(5番手)以来のことだった。
現地時間午後5時から始まったフリー走行2回目でも、角田は一時トップタイムをマーク。最終的に7番手に終わったが、これは第9戦オーストリアGPのフリー走行2回目(6番手)に次いで、初日としては好発進。セッション後、角田は「今日はいい走行ができ、マシンはかなり力強かった」と、手応えをつかんで初日を終えた。