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意外と知らない「クルマ」の豆知識 第20回 タイヤの幅は千差万別! 太いと何が変わる?

2021年11月19日 11:33  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
街を走っているクルマを見ていると、履いているタイヤの幅(太さ)は千差万別です。どちらかというとスポーツカータイプは太いタイヤを履いていて、見た目としてはそちらの方がカッコいいのですが、タイヤの幅で走りにどんな影響が出るのでしょうか? モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。


○太いとカッコいいけど、走りに影響は?



タイヤは路面とクルマをつなぐ唯一のもの。しかも、はがき一枚程度の広さなのだから、どれだけ大切かはお分かりいただいているだろう。前々回はタイヤのサイドウォールに書かれている記号を読み解き、前回はタイヤの扁平率を変えるとどうなるのかというお話だった。さて今回は、タイヤの幅がテーマだ。



サイドウォールに書かれている「215/50R17」などの記号は、頭の3桁の数字がタイヤの幅を表している。このタイヤであれば、幅は215mmだ。タイヤの幅はほぼ5mm程度で細かく設定されていて、それぞれのクルマにあったタイヤ幅を選ぶことができる。


では、この幅を広げるとどうなるか。まず、見た目はかなり格好よくなるだろう。カーデザイナーが描くスケッチはタイヤが大きく、フェンダーとの隙間が少ないものがほとんど。これは、タイヤが地面をしっかりと捉えている感じや、スタンスのよさを見せる効果があるからだ。



タイヤ幅が広いと当然、路面との接地面が増えるので、コーナリング時の安定性やブレーキを掛けた時の止まりやすさが向上する。レーシングカーなどを見れば一目瞭然で、市販車よりもはるかに幅の広いタイヤを履いている。


その一方で、一般車の場合は転がる際の抵抗が増え、タイヤの重さも増加することから、燃費が悪化したり、乗り心地に悪影響を与えたりするので、一概に太くすればよいというものでもない。さらに付け加えると、フェンダーよりタイヤがはみ出した場合は保安基準に抵触し、車検に通らないこともあるので注意が必要だ。



もうひとついえば、通常、タイヤの幅を広くする場合はインチアップ(ホイールの外径を大きくすること)を行うことが多いが、その場合はできるだけ、タイヤの外径を変えないようにすることも大切だ。理由は、速度計に誤差が生じる可能性があるからだ。これを防止するには、扁平率を低くするなどいくつかの対応策がある。



いずれにせよ、タイヤを選ぶ際は、そのクルマにあったサイズをしっかりと見極めたい。そのうえで、いまのタイヤよりも乗り心地を重視したいのか、よりスポーティーに走りたいのか、あるいは、どういったところを走ることが多いのかなど、使用シーンをよく吟味してみれば、クルマと自分にあったタイヤを見つけることができるだろう。



内田俊一 うちだしゅんいち 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験をいかしてデザイン、マーケティングなどの視点を含めた新車記事を執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員。 この著者の記事一覧はこちら(内田俊一)