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水冷Vツインへの転換は成功? ハーレーに聞く新型「スポーツスターS」

2021年11月16日 11:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
ハーレーダビッドソンが『スポーツスターS』を発表してから3カ月。ユーザーの反応やハーレーの手応えはどんな感じだろうか。レボリューションマックスエンジンを搭載し、一足早く登場した「パン アメリカ」との比較も交えながら、ハーレーダビッドソン ジャパン広報担当の才門勇介さんに話を聞いた。


○現代バイクの中に残したハーレーらしさ



――エンジンが空冷Vツインから水冷Vツインに変更なったことで、「スポーツスターS」が受け入れられないのではないかという不安はありませんでしたか?



才門さん:やはり、「スポーツスター」という名前はハーレーにとって歴史もありますし、1番人気のモデルです。今回はエンジンを刷新するということで、おそらくそうした心配はみんなが持っていたと思います。



――レボリューションマックスエンジン搭載の新世代モデルとしては、「パン アメリカ」が先に出ていますが、ユーザーからのエンジンの評価はいかがだったでしょうか?



才門さん:「パン アメリカ」は確かに、レボリューションマックスを初めて搭載した、いわゆる新世代ハーレーです。でも、どちらかといえば、エンジンよりもハーレー初のアドベンチャーモデルというところに関心を持って評価されることが多いですね。


才門さん:その中で、エンジンの評価に関するお話をすると、Vツイン搭載で、しかもハーレーが出すアドベンチャーモデルとなれば、普通はクセのあるバイクだろうと思われがちなのですが、レボリューションマックスエンジンはすごく扱いやすくて、いい意味で裏切られたとおおむね好評です。



とはいえ、Vツインがベースでハーレーらしさもありますから、そうしたエンジン特性も含めて、アドベンチャーモデルでツーリングをするバイクとして「パン アメリカ」は高く評価されているのだと思います。


――同じレボリューションマックスエンジンでも「パン アメリカ」とは味つけが異なるそうですが、具体的な違いはどんなところでしょう?



才門さん:「パン アメリカ」はある程度、エンジンの存在感を消してアドベンチャーツーリングとしての完成度に寄せていましたが、「スポーツスターS」はエンジンに存在感があります。

今回のエンジンは、レボリューションマックスの中でも「レボリューションマックス T」というトルクに振ったエンジンで、今までのハーレーにあったトルク感も残しながら、新世代の回るエンジンになっているのが特長です。



これまでのハーレーとの違いという意味では、設計が変わっているので、いわゆる振動なんかは良くも悪くも現代バイクです。ただ、Vツインという形式は変えていませんし、ハーレーらしさは十分に感じていただけます。



現代バイクの中で、やっと他メーカーさんと同じようなカテゴリーのビッグバイクと比べていただけるバイクになりました。その中でも、ポジション、振動、エンジンフィーリングにハーレーらしさは残しています。


――試乗してみると、かなり過激に仕上がっている印象だったのですが、新世代ハーレーとして、こうしたモデルを早く出す狙いは何かありますか?



才門さん:新しいモデルを出すときはベーシックなモデルを先に出して、後から過激なモデルを出すのが普通です。でも今回は、ある程度やんちゃなモデルが先に出ました。



おそらく、小排気量モデルやベーシックなモデルを初めに出していたら、ユーザーに受け入れていただけないのではないかと考えて、まずは『スポーツスターS』を出し、これが新世代モデルだということを示して、受け入れていただいてからバリエーションを増やしていくのかなと個人的には思っています。



――最後に、「スポーツスターS」の受注状況と日本デリバリーの予定を教えてください。



才門さん:「スポーツスターS」に関しては、見た目がちゃんとハーレーだということと、かなりエッジの効いたバイクだということで、今までの新モデル登場時を上回るほどの人気となっています。



現在、走れるモデルは日本に3台(広報車)しかありません。試乗はおろか、まだ実車もほとんど見られていないにも関わらず、かなりの受注をいただいている状況です。



本来であれば、すでに日本デリバリーが始まっている頃でしたが、コロナ禍の影響を受けて遅れてしまいました。でも、年内には開始できるはずなので、もう少しお待ちいただければと思います。


安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。twitter:@andYSYK。 この著者の記事一覧はこちら(安藤康之)