2021年11月16日 09:01 おたくま経済新聞
今や「ガンプラ女子」という言葉もあるように、男性だけでなく女性モデラーも多くなってきたガンプラ。SNSでは様々な作品が発表されています。その中に、これがガンプラだけでなくプラモ自体が2作目、という作品がありました。ダメージを受け放棄され、いつしか草むしたガンダムのジオラマ。初心者とは思えない表現力です。
このジオラマの作者、甘味さんは新型コロナウイルス禍で「おうち時間」が増え、何か楽しめることはないかな?と思っていたところ、友人からガンプラを勧められた、というガンプラ女子。「それまでガンダムのアニメを見たこともなければ、ほかの模型も作ったことがない、すべてにおいて初めてです」というプラモ初心者です。
プラモ2作目にして、いきなりジオラマに挑戦した動機をうかがうと「ふらっと立ち寄ったおもちゃ屋に、ダメージ加工を施してあるガンプラと草木が生い茂るジオラマが展示されているのを見て『これだ!』と思いました。文字通り“一目惚れ”をして、勢いで挑んでしまいました……(苦笑)」とのこと。
初めての作品を作り、次は何を作ろう……と考えるのは自然なことですが、よほど展示されていたジオラマの作例が新鮮だったのでしょう。HG1/144RX-78-2ガンダムのキットを手にした甘味さん、初めてのダメージ表現とジオラマ作りに取り掛かりました。
まずはキットをストレートに組み、そこからダメージ表現をしていきます。ヒートホークなどの熱でついた傷、弾痕を表面につけていき、片足を切断。ウェザリング塗装も施します。
ジオラマのベースは発泡スチロール。そこに石粉粘土で岩肌のティティールをつけていきます。いやはや、ほんとに初心者ですか?と思ってしまう造形力と塗装ですね。
鉄道模型用のシーナリー(情景素材)を使い、ジオラマベースを彩っていきます。地面の雰囲気がある程度固まってきたら、ガンプラを配置して全体のバランスを考え、年月が経って草むした様子を表現。
ガンダムの各パーツにも風で土が積もり、そこに草が生えてきた……という設定。また、地面からもつる性の植物が這い上がってきている、という感じを表現するため、草のジオラマパウダーを付けていきます。
ジオラマベースを横切る川。甘味さんは「川の表現は特に力を入れました」と語ります。「川底には細かい砂利や石を敷き詰め、水草を表現するために100円ショップに売っているグリーンモスを粗めのパウダー状にして使用しました」とのこと。
流れる水の表現では「光が差し込んだ時の光の屈折具合や、複雑な水流を表現するためにレジンとメディウムを4層に重ねたり、仕上げに白い塗料をドライブラシでのせ、水しぶきが立つ様子を表現しました!」と甘味さん。川底のディティールを見せるため、あえてレジンは透明のままにしているそうです。
こうして完成したジオラマ。いわゆる「if」もので、ガンダムがボロボロになるまで戦ったのちに放棄され、徐々に周囲の自然と一体になっていく様子が見事に表現されています。ガンダムのそばには小鹿の姿も。これがガンプラのみならず、プラモ自体が2作目とは信じられませんね。
甘味さんは「HGとRGは挑戦したので、今度はMGのガンプラを作ってみたいです!」と話してくれました。すでにお台場のガンダムベースにも足を運び、いくつかキットの目星もつけているようです。
モビルスーツの中ではアッガイが好きだという甘味さん。いつかファーストガンダムの第30話「小さな防衛線」に出てきた、ジャブローの岩陰にうずくまるアッガイのジオラマを作って発表するかもしれませんね。
<記事化協力>
甘味さん(@amami_0929)
(咲村珠樹)