子育てでしばらく仕事から離れていたので、どうしても「ブランク」が気になるという声が、応募する側からも採用する側からも聞こえてきます。
私も以前はブランクが長いと仕事に付いてこられないのでは? という勝手なイメージを抱いていました。なにせ、昔の転職エージェント勤務時代では、正社員は2か月以上ブランクがあると書類審査で落とされるという話までありました。それなのに子育てで3年、5年と仕事を離れていた女性たちに活躍してもらえるだろうかと不安に思っていたのは事実です。(文:ウーマンエンパワープロジェクト 谷平優美)
8~10年のブランクがあってもOK
ところが、いざ採用してみると「ブランクの長さとその後の活躍度はあまり関係ない」ことがよくわかりました。専業主婦を8年やっていた、10年間子育てに専念していた、という人たちが、ブランクなく転職してきた人より活躍するケースもありました。
例えば、営業職をしていたときに身につけたスキルがそのまま役立ったり、子育て中にもPCスキルや周りを巻き込むコミュニケーション力などを鍛えていたりで、復職後に立派な戦力として貢献してくれる方も多いのです。
「自宅でやっていた教室の宣伝で、SNS発信が得意になった」という人が、会社のSNS担当になって、ものすごくフォロワーを伸ばしたなど、思わぬ強みがあることも。
育児や地域の活動、家事や家計のやりくりなど、さまざまな経験が仕事でも役立ちます。ブランクがあるからと不安がらず、ぜひ自分の経験や強みを一度振り返ってみてください。過去によく褒められたこと、よい結果がでた経験のエピソードなど、整理してみると面接でも相手に伝わりやすく、自信にも繋がります。
一歩を踏み出して
子育て後も人生は続きます。復職に向けて、何かやってみたいという方は、例えばパソコン作業で、キータッチのスピードをあげてみる、ネットや本などで調べながら、ワードやエクセルの資格をとってみることから始めてもいいと思います。
子どもが寝た後や起きる前に1日30分勉強するだけでも、1か月で15時間の差がつけられます。そんな隙間勉強法で、小さい子を抱えながら保育士の資格をとった、なんてママもいました。WEBデザイナーになりたい夢があったから少しずつ再開し始めた、という方もいましたよ。
継続は力なり!ブランクがあるから・・・と悩みすぎてしまう方は、今できることを1日5分でも10分でも積み重ねる、など一歩ずつ踏み出していくことがおすすめです。
復職したい子育て中(後)の女性の価値や上手な活かし方がわかっている企業はまだ少ないですが、これから増えていくでしょう。まずは応募して企業の反応や相場を知るということも有効です。
ビジネス環境も10年前とは、大きく変化しています。イメージの悪かった業界が意外にも働きやすくなっていたり、リモートワークや働き方改革が進んでいる企業も増えてきました。
以前のイメージや固定概念に縛られていると、良い機会を逃してしまうことにもなります。最新情報を調べて頭の中をアップデートしつつ、できる仕事を始めるのはどうでしょうか?
【筆者プロフィール】
谷平 優美
ウーマンエンパワープロジェクト代表/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、大手人材サービス会社(東証一部上場)入社。子会社の最年少執行役員として新規事業立上げに関わる。 2006年、株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。マーケティング企画部にて大規模サイトリニューアルを実現後、法人営業を経て退職。
出産・専業主婦を経て、無理のない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた女性の孤独な負担・期待役割への違和感をもった経験をもとに子育て女性を支援したいと、2012年にママハピを市民活動として創業、翌年法人化。
子育てママ向けマーケティング(イベント、メディア)、女性活躍支援、再就職・復職支援セミナー等の事業を運営。
2018年、ルバートに社名変更後は、全員子育て中の時短人材によるジョブシェア体制で事業運営。起業・制約人材の活用・女性リーダーなどをテーマに、NHK「首都圏ニュース」、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」、フジテレビ「ライブニュースα/働き方2.0」、J-WAVE、東洋経済、NewsPicksなどメディア実績多数。男女2児の母。