余裕のある暮らしを夢見て仕事に打ち込む人にとって、耳をふさぎたくなるような話がキャリコネニュース編集部に寄せられた。某メーカー勤務という男性読者の声を紹介する。
※キャリコネニュースでは世帯年収に関するアンケートを実施しています。回答はこちらから。https://questant.jp/q/6FE3D7NZ
「800万円までは年収が増えるに連れて生活がよくなった感覚があったが……」
埼玉県の40代前半男性(正社員/子ども1人)は世帯年収1300万円。順調に昇給してきたものの、手に入れた生活は理想とは違うものだった。
「年収1000万円を超えれば余裕がある暮らしになると思ったが、まったく想像と違った。800万円までは年収が増えるに連れて生活がよくなった感覚があったが、それ以降は税金や控除などにより実感がない」
「年収に比例して仕事が忙しくなり、自分の時間もなくなった。以前は仕事に対するモチベーションも高かったが、最近では頑張っても実際の手取りは増えないことに気が付き、以前ほどのモチベーションが湧かないし昇進も断った」
すっかり勤労意欲を削がれてしまった男性は、
「今の日本はそこそこの給与が一番暮らしやすいおかしな制度なので、努力が報われる世の中になってほしいと思います」
と切実に語っている。
年収1000万円あっても手取りは……
ファイナンシャルプランナーの大野翠氏(芙蓉宅建FPオフィス代表)は次のように解説する。
<厚労省のデータによると、年収1000万円以上の世帯は全体の12%程度と少なく、一般的に高収入だと思われます。しかし、実際は家族構成や居住地などにより「手取り額」には大きく差があり、高収入だからといって決して贅沢な暮らしをしている人ばかりではありません。
回答者の方が感じている「頑張っても実際の手取りは増えない」という点は気のせいではなく、年収1000万円であっても、さまざまな控除を差し引くと手取りは700万円台になることもあります。
例えば手取り年収が720万円だと仮定、年間賞与の概算(220万円と仮定)を差し引き単純に12月分で割ると、1カ月の手取りは42万円程度になります。同じ手取り42万円でも単身世帯であれば多少の贅沢をするには十分な金額です。
一方で回答者の方のように子どものいる世帯では、教育費その他家族の出費もあることから贅沢ばかりというわけにはいきません。
また、年収から差し引かれる主なお金として「住民税」「所得税」「社会保険料」があります。いずれも年収に比例して控除額(税額)が決まるため、働いても手取りが増えないという感覚はここが根拠になっていると推測されます。
そこで、少しでも節税を意識した取り組みをはじめてみてはいかがでしょうか。例えば、ふるさと納税やiDeCo(個人型確定拠出年金)、つみたてNISAは比較的簡単にスタートできる節税対策です。
現在賃貸にお住まいであれば、今後の住宅購入を機に住宅ローン控除を利用できます。住宅ローン控除は10年間にわたり毎年控除がある大きな優遇措置です(※2021年現在さらに3年延長されています)。
このように、上手に活用すれば税金対策として有効な手立てはあります。納税は国民の義務ではありますが、工夫して減らすこともできます。是非前向きに取り組んで、少しでも手取り額を増やすことをおすすめします。>