トップへ

【角田裕毅F1第19戦密着】初のブラジルは15位完走。“納得していない”10秒ペナルティの消化で縮めたギャップが再拡大

2021年11月15日 17:11  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

2021年F1第19戦ブラジルGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
ピットガレージを出て、F1第19戦ブラジルGP決勝のダミーグリッドに着くためのインスタレーションラップで、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)はソフトタイヤで周回していた。

 何周か走行した後、グリッド後方でマシンを停めた角田のマシンをメカニックたちが15番グリッドまで押し運ぶ。グリッドに着いた角田はコクピットを降り、スタンドのファンに手を振って、一旦グリッドを離れた。その後、スタート前のセレモニーに参加し、再び自らのグリッドに帰ってスタート前の準備に取り掛かかろうとすると、ヘルムート・マルコ(レッドブル モータースポーツアドバイザー)が激励にやってきた。

 スタート前のセレモニーのときは2番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のところにいたマルコ。どんなにグリッドが離れていても、常にレッドブルドライバーに寄り添う姿勢は変わらない。ただ、駆け寄るだけでなく、今回は握手した後、少し長めに言葉をかけ、それを聞いて珍しく角田が笑みをこぼしていたのが印象的だった。

 その後、アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表が歩み寄って、二言三言話しかけた後、角田はヘルメットをかぶってコクピットへ。いよいよスタートだ。

 20人中、唯一ソフトタイヤを選択した角田。しかし、スタートで18番手のミック・シューマッハー(ハース)に前に出られてしまう。だが、すぐにポジションを取り返し、2周目にはアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)をパスした。迎えた3周目、1コーナーでランス・ストロール(アストンマーティン)のインに飛び込むが、接触。フロントウイングを失った角田は、翌周ピットインし、ハードタイヤに履き替えてレースに復帰した。

 その後、角田はオーバーテイクを繰り返し、17周目にはスタートポジションである15番手まで挽回。しかし、ストロールとの接触で角田はレース審議委員会から10秒のタイムペナルティを科せられ、39周目に2度目のピットインを行った際に、そのペナルティを消化しなければならなかったため、せっかく縮めた前方との差が再び広がってしまう。結局、角田はそれ以上ポジションを上げることはできず、15位でフィニッシュした。

 レース後、ミックスゾーンにやってきた角田は、レース審議委員会が下した裁定に納得がいかない様子だった。

「ストロールにぶつかったのは彼がこちらを見ていなかっただけ。ブレーキングでもほとんどロックアップしていなかった。ロックアップしたのは(ブレーキングの)最後のほう。しかも、それは彼がこちらを全然見ていないことを認識して、これじゃぶつかるなと思って、ブレーキを少し強く踏んだからロックアップしただけ。そもそもロックアップするようなオーバースピードで入っていないので、彼が見ていないなかで10秒ペナルティというのは納得していない」

 10秒ペナルティに納得していないのは、角田だけではなかった。ポルトガル人記者のルイス・ヴァスコンセロスもそのひとり。ミックスゾーンでの取材を終えた角田の元に駆け寄り、「裁定はおかしい」となぐさめていたほどだった。

 この日、多くの人々が角田を訪れたが、ポイントが歩み寄ることはなかった。