「今日は全然、満足できない」
角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)はF1第19戦ブラジルGPのスプリント予選後、そう語った。なぜ、角田は満足のいくスプリント予選を行えなかったのか。
ひとつ目の理由は、ソフトタイヤを選択したにも関わらず、1周目に順位を落としてしまったことだ。スプリント予選でソフトタイヤを選択したのは角田以外にも複数おり、決して無謀な賭けではなかった。角田も「スタートでできるだけポジションを上げることが目標でした」と、納得して選択した作戦だった。では、なぜ1周目にポジションを落としたのか。角田は次のように振り返る。
「スタートでは出遅れてないんですけど、押し出されたりポジショニングが悪かったりして……」
角田が言うには、ターン2の出口とターン6でポジションを失ったらしい。これで12番手からスタートした角田は、2コーナーでは10番手につけていたが、その後2台のアルファロメオ勢とフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)にかわされ、14番手まで後退してしまう。
遅れたポジションを取り戻そうとプッシュした角田。「オーバーテイクを狙ったのですが……」。なかなか抜けなかった。序盤にプッシュしすぎた角田のソフトタイヤは、その分消耗が早くなってしまった。そこに現れたのが、予選失格となって最後尾からスタートしていたルイス・ハミルトン(メルセデス)だった。
「できるだけ抑えようと思っていました」という角田は、なんとかインをブロック。一度はハミルトンに1コーナーで前に出られるが、ふたりの目の前でキミ・ライコネン(アルファロメオ)がスピンし、危険を回避しなければならなかったハミルトンの前をキープした。
それでも地力に勝るハミルトンにオーバーテイクされた角田のタイヤはさらに厳しくなる。一時はアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)に迫っていた角田だっが、周回を重ねるごとに引き離され、逆に終盤はランス・ストロール(アストンマーティン)に追い上げられる。
なんとかポジションをキープしようと、1コーナーでインを閉めるも、アウト側からストロールにオーバーテイクを許してしまった角田は、15番手でフィニッシュした。
今年から導入されたスプリント予選。その1回目が行われた第10戦イギリスGPのスプリント予選で、角田の順位は16番手だった。それでも、日曜日の決勝レースは最終的に10位でフィニッシュ。今回のブラジルGPはそれよりも1つ上の15番手からのスタート。ポイント獲得はまだ可能だ。