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i☆Risデビュー9周年ライブでみせた「今の5人で作り上げた黄金比」

2021年11月12日 14:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
●アガれる自己紹介ソングからオトナなナンバーまで、幅広い楽曲を次々披露
声優とアイドルのハイブリッドユニットi☆Risの9周年ライブ「i☆Ris 9th Anniversary Live ~Queen’s Message~」が11月7日、千葉・幕張メッセにて開催された。この公演はi☆Risのデビューシングル「Color」リリースからちょうど9周年にあたる日に開催された記念すべきライブ。9年間培ってきたパフォーマンス能力を土台に、ワンマンライブでは初となるトロッコなどの試みも交えて、誰もがハッピーに楽しみ尽くせるライブを作り上げた。


○●楽しさと高い技術で、序盤からぐっと惹き込むステージング!



まずは華やかなBGMに乗せたOP映像で、メンバーカラーと同じ色をした5つの光の筋が赤絨毯の上の9つの扉を開けて王宮の廊下を抜けてライブロゴを形成する……が、そのロゴにノイズが走って一気に映像が逆回転し、ステージの3階部分に玉座に座った5人が登場。



同時に「幻想曲WONDERLAND」のイントロが流れ始め、いつもの通り久保田未夢のセリフからスタート。バレエのエッセンスも入ったふわっとした振付も相まって、Queenらしく魅了できる曲からの幕開けというのは、いいチョイスだったように思う。また2サビ明け間奏の後半部分は、今までは若井友希がサークルの中心から森を切り開くような展開だったが、5人体制初披露となった今回は5人全員でゆっくり周回しながら観客のクラップを煽るものに。



1曲目らしく場を盛り上げる役割も担っていた。ちなみに恒例・久保田によるラストのひと言は「9周年i☆Risちゃんおめでとう!これからもまだまーだ、大きいステージに立てるように頑張っていくのでよろしくなー!」と意気上げるものに。


そのセリフ後、流れ始めたのは「ありえんほどフィーバー」のイントロ。スモークと逆光で一瞬ステージが見えなくなった瞬間に早くもマントを外して軽装へと早替えし、”Queen”から”女王様”へと姿を変えてブチ上げディスコチューンを披露する。



しかもただアガるだけでなく、パフォーマンスではしっかり魅了。2番に入ってからは、特に芹澤優がセリフ部分でピンポイントに鮮烈な印象を残す。また茜屋日海夏も全体的には美しく歌声を響かせつつ、そこに様々な表情を乗せることでよりぐっと惹き込んでいく。そして大サビでは5人の歌声が、もう一段パワーを増したものに。


これは自分たちのパフォーマンスによって、声は出せずとも観客がノッた姿を目の当たりにしたからこそのものだったのではないだろうか。それに続いたのは、初披露となる最新シングル収録曲「5STAR☆(仮)」。イントロでは、この曲の作詞も手掛けたリーダー・山北早紀が「みんなで一緒に手叩いて盛り上がっちゃいましょう!」と呼びかける。



今の5人を表現したあらたな自己紹介ソングであるこの曲、特に各々がフィーチャーされるセリフ部分ではそれを具現化し、魅力を倍増させていく。開催前にサビの振付動画がUPされたのもあってか、早くもサビでは強いファンとの一体感が生まれていったうえに、ラストは5人で円陣を組み、そのうしろの階段には5色に染まった☆が映し出されるというエモさも兼ね備えた最高の初披露に。

曲明けのMCでは、改めてデビュー9周年を自ら祝す5人。そのうえで「今日はまだまだ楽しいことがたくさん待ってる(茜屋)」などと期待させつつ、そのうちのひとつ・こちらも初披露の最新シングル収録曲「Cheer up」からライブ再開。K-POP調の軽快なリズムに乗せたダンスは、とにかく手数が多いにもかかわらず切れ味は抜群だ。



もちろん個々の技術もしっかりとみせつつ、2番になると芹澤・茜屋が腕で作ったアーチを山北がスッと抜けて出てきたりと、チームワークも乗せたパフォーマンスに。そんなダンスをこなしつつ、大サビでは茜屋・若井がぐわっと迫ってくるような迫力あるフェイクを聴かせたりと、ここまで9年の足跡の結晶のような1曲として形にしてくれた。



さらにその跳ね感をよりポップに変えた「イノセントイノベーション」で、場内を元気にアゲていくi☆Ris。この曲で要注目なのは1-Bメロ。5人が縦になってのスタートからひとりずつズレて飛び出していくフォーメーションをこなしつつ、山北がハモをしっかり歌っていくさまは、楽しさと技術の高さを同時に感じさせるポイントだ。また、3-Bメロでのちょっと尻すぼみにした、若井のあざとかわいい歌声も大サビ後の投げキッスも含めて、キュートさをみせてくれたポイントだ。


歌唱後には直前の「イノセントイノベーション」を受けて、「今回は変化球も入れてたりする」と若井からさらに楽しみ募らせる発言もありつつ、「今のところ(今年の)ツアーでやった曲、ある?」と久保田からは鋭い指摘。改めて5人への、称賛の拍手が巻き起こる。



その他衣装紹介等を経て、ライブは「Vampire Lady」から中盤戦へ。ライブ用のイントロ中に登場した高貴なローテーブルに、5人座っての歌唱からスタートする。2番以降は2階部分とメインステージに分かれてパフォーマンスを展開すれば、2サビからはちょうどその間・階段の中腹に山北が立ちセンターを取り、セットを活用した立体的なフォーメーションチェンジも交えた披露に。



Dメロでは各々歌声にセクシーさも感じさせると、そのムードをさらに増幅させた「Baby...」へ。大人びた表情で展開するダンスの切れ味は増し、楽曲の雰囲気も相まって魅せる1曲に。Dメロ明けのダンスタイムも、フォーメーションチェンジも含めて非常にレベルもクオリティも高く、さらなるパワーアップを感じさせるパフォーマンスだ。その直前のDメロの芹澤のソロは、声がクレッシェンドになりながらせつなさも徐々に増していく、



この曲の歌声の面でもっとも強い印象与えたポイントとなった。さらにもう1曲続けたのは、オトナさは残しつつも爽やかなポップナンバー「One Kiss」。ファルセットも用いつつ伸びやかに歌い上げる若井のボーカルワークも非常に良好で、楽曲世界にぐっと惹き込む。この曲はサビでもソロパートがリレーされていく曲で、それに合わせてセンターを取るメンバーも次々と入れ替わっていく。そのスムーズさでのチームワークの良好さを含め、視覚的にも楽しませてくれる曲となった。



歌唱後には暗転し、「Summer Dude」のMVを彷彿とさせるメンバー登場の映像を挟み、衣装の上にスカートを履いた5人がその「Summer Dude」を披露。5人体制初の曲ということもあり、この曲でもセンターを明確にしたフォーメーションチェンジが次々行なわれていくなか、この夏生まれた爽やかポップなナンバーをキラキラな笑顔でみせていく5人。


サビでの波を思わせる振付も、この曲ならではのものだ。また、2-Aメロでの山北の「ずっとこのままいれたらいいな」のソロパートで5人が肩を組む振付も、このタイミングではよりグッとくるもの。9周年で見たいあらたな一歩を踏み出した曲を、いい流れのなかでみせてくれたように思う。



……と、ここだけでも満足度は高かったのに、そのままこの曲のアンサーソングにあたる新曲「12月のSnowry」も、CDリリースに1ヶ月も先駆けてなんと初披露!せつないミドルバラードにベールのように美しいハーモニーが重なっていくことで、その美しさが楽曲のもつ悲しさをより引き立てる。



ボーカルの面では芹澤の歌声にあるほのかなハスキー成分が、この曲と結びつくととてつもないせつなを生む。またダンスの面でも、大サビで山北と久保田が手を合わせて対称になる振付など美しく魅せる部分も多く、最後に雪降る映像をバックにしたラストまでせつない世界を見事に作り上げてくれた。


●最後まで充実しかなかったライブは、1年間の”頑張り”の成果
○●ファンのすぐ近くで歌い、届けた、大切な曲と想い


そんな雰囲気を一気に変えて明るさをもたらしてくれたのが、「Happy New World☆」。イントロ中に芹澤が「みんなのもっともっと近くに行っちゃうよー!」とシャウトすると、5人それぞれトロッコに乗車。ステージ前に横一列に並んだところでその並びのままぐっと客席奥に向かう。ワンマンライブ初となるトロッコを満喫しながら、近くのファンへと手を振る5人。



立ちながらだったり、普段ステージのへりでよくみられるようにしゃがんで手を振る久保田がいたりと、ここにもそれぞれの”らしさ”が出る。終盤には5台のトロッコが客席後方通路に並ぶと、続く「ブライトファンタジー」で改めて客席を縦横無尽に移動していくi☆Ris。Bメロの歌唱中、一瞬激しめにトロッコが揺れたように見えた際にも茜屋の歌声がブレない点から、改めて培ってきた歌唱力の確かさと強さ、間近でファンを喜ばせる力の礎を感じさせられた。



また、客席中央部の通路で5台のトロッコが並んでからの1サビ明けには、トロッコをシャッフル。再び場内に散らばると、それぞれがひとり用の小さなお立ち台に到着。☆の形を連想するように配置されたその上で、本当に久々となるファンの間近でのステージを展開すると、「Thank you forever!」のイントロ中には5人の立つスペースがスタンド席の高さまでリフトアップ。今度はそのスタンドのファンと視線を交わしつつ、ときにはアリーナも見下ろしながら、柔らかく温かな歌声でファンやメンバー同士への想いを届けていく。



その高さは2-Bメロ中にさらに上がり、スタンド席最上段のファンとも目が合わせていく。そして終盤では姿勢を変えて互いに向き合いながら歌唱し、Dメロではなんと、リーダー・山北が一瞬声を詰まらせる場面も。気づけば客席はメンバーの立つエリアに合わせたイメージカラーに染まり、さらにそれを星々のようなミラーボールの光が照らすという、形容し難いほどの美しい光景が生まれていた。



それに続いたのは、ちょうど9年前の11月7日にリリースしたデビュー曲、「Color」。前半部分を歌唱しながら各々メインステージへと戻り、2サビは横一線に並んでのパフォーマンスをみせると、5人体制になったことでコール部分が気になっていたファンも多かったであろう、2サビ後の間奏へ。


場内に流れたそのコールには、イエローが残っている。そして同時に、この曲は照明が6色で構成されていたことに気づく。もちろん虹をイメージした曲のグラデーションにはイエローもあるが、前述した「5STAR☆(仮)」や「Thank you forever!」では今の5人になぞらえた5色で構成されていた。にもかかわらず、デビュー曲でコールにも照明演出にも残ったイエロー。それがまた、特に長期間のファンの胸を熱くしてくれたのではないだろうか。



ライブも終盤。改めて後方に行けたことやリフターでスタンド席にも近づけたことを喜ぶ5人。また、「Thank you forever!」で声を詰まらせた山北を芹澤が若干イジりつつも、芹澤自身も「”七福万来”(※デビュー7周年ライブ)の『Thank you forever!』が好きすぎて、今日あの映像を観ながら練習しちゃった」と愛着をうかがわせた。



そして9周年で、また大きなステージへと立てたことについてファンやスタッフへ改めて感謝したところで、本編ラスト曲「Goin’on」へ。ポンポンと跳ねるリズミカルさもありつつ温かい曲を、メインステージでダンスも織り交ぜながらの披露。この大舞台で、5人からの感謝に続けて本編ラストにこの曲、胸を熱くしたファンは少なくなかっただろう。「終わらない...」のフレーズを持つこの曲で本編を締めくくってくれたことにもまたひとつの想いを感じさせられたところで、歌いきった5人はそのままステージを降りる。

○●最後まで充実しっぱなしのステージがさらに高める、”10年目”への期待

それから程なくして、メインスクリーンには5人からのファンに向けた、直筆の”Queen’s Message”が。「ここまで続けてこられたのは、間違いなく自分自身の気力体力と、みんなの応援のおかげです(山北)」「このチームとファンのみんなとなら10周年も、もしかしたらその先も、楽しめそうです!(芹澤)」「i☆Risに関わるみーんなが幸せでありますように。お互い笑顔ですごそうねー!!(茜屋)」「10年目はもっとステキなステージに連れてくからついてきてね!(若井)」「会場に来てくれてる、配信を見てくれてるみんなー!! 私に、アイドルの楽しさ教えてくれてありがとう(久保田)」などの言葉が綴られた手紙を通じて想いを届けてからは、一気に楽しさの充満したアンコールへ!



まずはイントロ中に5人がステージ3階部分にリフトUPで登場しての、「ドリームパレード」から。手書きのメッセージ後に、まだまだ未来へと駆けていく姿の込められたこの曲という構成は、たまらなくこの場にハマりすぎている。だがステージ上の5人には涙はなく、笑顔でパワフルなステージを継続。2サビの終盤「飛び出そうよ」のフレーズでは、振付を利用して久保田がぐっと沈み込んでレスに活用したりと、ファンを巻き込んで思いっきり楽しんでいた。



さて、ここで恒例・ファンをバックに写真撮影……と思いきや、ステージへりに座った5人の前に、突然「Vampire Lady」で用いたローテーブルにケーキが乗って登場。サイレントで9周年をサプライズ祝福するのも、最近のi☆Risらしいといえばらしいシーンかも。



そんなサプライズをおみまいされたi☆Risから、今度は逆にサプライズ発表! 2022年に7th Live Tourを開催することが明かされた。今回は全国8ヶ所にて16公演の開催となるとのことなので、ぜひ楽しみにしていてほしい。



最後にそれぞれ、改めて今の感謝と今後への向上心を語ったところで、ラストナンバーとして披露したのは近年の必殺ナンバーのひとつ「アルティメット☆MAGIC」。2サビ明けには若井の合図でまたも五方に散った5人が、Dメロ直前に素早く中央に集合したりと、会場全体でハチャメチャに楽しむ。だが直後のDメロでは、誰も息を切らしていない。目立ちはしないかもしれないが、最後の最後までこのタフさを自然とみせられるところに、9年間積み上げてきたもののすごさが凝縮されているように感じられた。


そしてQueen5人は揃って3階ステージまで上がって、山北の「10周年に向けて頑張るぞー!」のシャウトとオフマイクでの全員の感謝の言葉に続いて、リフトダウンで城へと帰還。その後、メインスクリーンにはファンをバックにした記念撮影の写真が映し出され、華々しく9周年当日を、そして10周年へ向けた第一歩となる公演を締めくくったのだった。



こうして最後まで楽しませてくれたうえに、セットリストや演出で”Queen’s Message”というコンセプトを見事に形にした、非常に詰まったライブをみせてくれたi☆Ris。最後のMCで、普段あまり自分たちを褒めない茜屋が「本当にi☆Risちゃん、今年1年頑張った!」と口にしていたが、その頑張りが結実したライブになっていたからこその言葉だったのだろう。観る側からも、5人で一丸となって辿り着いたあらたな新しい黄金比で、最後の1曲まで隙のないステージを形作ってくれていたように思った。



そしてもちろんそこには、ファンの力なくしては辿り着けなかったはず。ライブ中にも口上をクラップで再現したりと一切手を抜かずに支え続けたからこそ、活気あふれた空間が誕生したはずだ。だからこそ思う。この5人とこのファンなら、10周年もその先も、思いのまま楽しみ続けられるはずだ――と。

○●「i☆Ris 9th Anniversary Live ~Queen’s Message~」



2021.11.07@幕張メッセ イベントホール

【SET LIST】

M1. 幻想曲WONDERLAND

M2. ありえんほどフィーバー

M3. 5STAR☆(仮)

M4. Cheer up

M5. イノセントイノベーション

M6. Vampire Lady

M7. Baby…

M8. One Kiss

M9. Summer Dude

M10. 12月のSnowry

M11. Happy New World☆

M12. ブライトファンタジー

M13. Thank you forever!

M14. Color

M15. Goin’on

EN1. ドリームパレード

EN2. アルティメット☆MAGIC(須永兼次)