2021年11月12日 11:41 弁護士ドットコム
東京都世田谷区の交差点で11月11日午前10時40分ごろ、自転車とトラックが衝突する事故が発生した。自転車に乗っていた女性(37)はすり傷などの軽傷だったが、同乗していた生後8カ月の男児が頭を強く打ち、同日夜に死亡した。
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報道によると、事故現場は東急線の二子玉川駅から約1.5キロメートル離れた信号のない丁字路交差点。直進していた自転車を同じ進行方向のトラックが左折しようとした際に巻き込んだという。自転車に乗っていた女性は抱っこひもで男児を抱いていたようだ。
トラックを運転していた男性は自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕された。「ミラーを見ていたが、女性の自転車は発見できなかった」などと話しているという。
ネットでは、今回の事故について、トラックが左折する際の死角に言及する声もあるが、子どもを抱っこして自転車に乗っていたことを咎める声が一定数みられる。「抱っこひもでの自転車は禁止されているはず」との指摘もあった。
子どもを抱っこして自転車に乗ることは本当に禁止されているのか。
自転車の乗車ルールを定める東京都道路交通規則は、「16歳以上の運転者が幼児(6歳未満)1人を子守バンド等で確実に“背負って”いる場合は、当該幼児を運転者の一部とみなす」と定めている(10条1号ウ)。
「背負って」と定められていることから、「抱っこ」して自転車を運転することは認められないものと考えられる。
同じようなルールが定められている神奈川県では、同県警のHPで「『幼児一人をひも等で確実に背負って』とあるとおり、抱っこひもを使用して前抱っこして自転車に乗ることは認められていません」と明記している。
法令に違反するような乗り方をしていて事故に遭った場合、損害賠償請求をする場面で不利な事情になることもあり得る。
子連れでの移動は大変かもしれないが、自転車のルールに違反する乗り方はやはり避けるべきだろう。