個別指導塾を経営・運営し、1500人の生徒をサポートした、プロ家庭教師の妻鹿潤です。
昨年から、保護者様から「子どもが勝手にゲームに課金する、どうすれば良いでしょうか?」というご相談が増えてきました。国民生活センターによると2019年度は2557件、2020年度は3723件の相談があったそうで、2016年度以降の調査では支払った額も10-50万円未満が43.5%、50-100万円未満が10%にのぼっていたそうです。
課金が増えている背景の1つに、コロナ対応で在宅時間が増えていることがあります。
子どもは「抜け道」を見つけてくる
スマホやゲーム機の設定をきちんとできれば、対策は可能です。
スマホで「課金を許可しない」に設定する、クレジットカード情報にパスワードを入れる、保護者のアカウントから子どものアカウントを管理する「見守り設定をする」など、課金を制限するための機能がいろいろと用意されています。
ですが、こういったデジタル設定に明るくない保護者様も多いと思います。そして、子どもの側もいろいろな抜け道を探ろうとしてきます。
実際に、パスワード設定しても、「お母さんがパスワードを打ち込んでいる指の動きから、パスワードを予想して幾つか打ち込んだら突破できた」というケースも聞きました。子どもが思いもよらぬ方法で突破することも多いです。
「教育」として考えると、理想は子ども自身が「お金を使わない」と我慢してくれることですが、説得は簡単ではありません。
4つの予防策とは?
課金をする子どもの心理は、「欲しいレアアイテムを見つけた」「コミュニティーや大会前で、課金をしてでも勝ち抜きたい」「皆にすごいと言われたい」「これまでの課金を無駄にしたくない」などさまざまで、どれも一筋縄で解決できません。
また、子どもごとに「納得するポイント」も違うため、課金をしたい理由が特定できても、アプローチはお子様ごとにアレンジしなければなりません。
そのため「決定的な手段」はありませんが、経験上、4つオススメできる予防策があります。
(1)子どもとゲーム課金について、あらかじめ話す。ルールを決める。
「ゲーム課金の話をすると、子どもが余計にゲーム課金に走りそう」と思うことから、子どもとゲーム課金についてお話を避けるご家庭も多いです。
ですが、課金型のゲームをしている子どもに、ゲーム課金についてお話ししていないことは、「ゲーム課金を相談しても、親に怒られてしまう」と感じさせてしまうことも多いです。
そのため、先にゲーム課金のお話をする。または、課金の上限金額を約束することで、子どもが課金に対して事前に相談する可能性が上がります。
(2)他に没頭するものを見つける
ゲームをする理由で意外と多いものに、「暇だから」「他にすることもないから」があります。
何かの習い事や部活など、他に熱中するものや目標ができれば、自然とゲーム時間は減ってくるものです。
仲の良い友達が習っている習い事を一緒に初めてみたり、色々な経験をさせてみて没頭するものを探してみてはどうでしょうか?
回り回って、課金対策に繋がることが多いです。
(3)一緒にゲームをする
子どもがゲームの何にそんなにハマっているのか?
一緒にゲームをすることで、見えてくることはかなりあります。そうすると、「次にこんな大会がある」「興味を持ちそうなレアアイテムが期間限定で課金対象になっている」など、課金しそうなタイミングが事前に見えることも多いです。
(4)スマホに登録しているクレジットカード情報を毎月チェックする
子どもの無断ゲーム課金の特徴として、「一気に高額課金するのではなく、低い金額の課金からだんだん金額を上げる」ことが多いです。そのため、毎月のクレジットカード情報を確認することで高額課金を予防できる場合があります。
ちなみに、以前の「スマホを強制没収することのリスク」を記載した記事にも近いものがありますが、「強行的にゲームを辞めさせる」は、逆にゲーム課金を実行するリスクが上がります。
子どもが「強行されたことへの仕返し」で良心的な歯止めが効かなくなったり、禁止されることで余計に興味が増すことがほとんどだからです。
気になるのが「返金」が可能なのかという点ですが、聞き及ぶ限り、ケースバイケースのようです。国民生活センターは「困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)」と呼びかけています。
今の子ども達にとって、ゲームは友達とのコミュニケーションツールであることも多く、完全に禁止することは難しいと思います。ゲームとどう共存するか、その中でどうすれば高額課金を防げるか。この記事が予防になれば幸いです。
【筆者プロフィール】】株式会社STORY CAREER取締役 妻鹿潤(めがじゅん)
関西学院大学法学部卒。塾コンサルタント・キャリアコンサルタント・プロ家庭教師などを通してのべ1500人以上の小中高生、保護者へ指導・学習アドバイスを行う。
大手教育会社時代は携わった教室が10か月で100人以上の生徒が入会する塾に。しかし志望校合格がゴールの既存教育に限界を感じ、「社会で生き抜く力」を身につける学習塾を起業。40~50点の大幅な点数アップを実現し、生徒のやる気を引き出すメソッドを確立。入塾待ちの塾となる。
現在はキャリアコンサルタントとして企業の採用支援、大学生・社会人のキャリア支援を行う。ほかにも塾コンサルティング、プロ家庭教師、不登校・発達障害の生徒の個別指導なども行っている。