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いま『なかよし』がアツい! 大人が楽しめる王道の青春ラブストーリー&ラブコメを紹介

2021年11月09日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

大人でも楽しめる!?『なかよし』がアツい

 漫画好きでなくても、少女漫画雑誌の『なかよし』は一度は目にしたことがあるのではないだろうか。筆者が小学生の頃、クラスでも少女漫画雑誌には『なかよし』『りぼん』『ちゃお』と三大派閥(?)があり、友達同士で雑誌の交換をしたり、学校に持ち込んで隠れて読んだりしたものだ。ちなみに私は小学5年生頃に『なかよし』から『りぼん』に移行した勢だ。


 そんな私も驚いた。30歳を過ぎて、表紙が綺麗でふと手に取り、読んで面白いと思った漫画が『なかよし』で連載されているものだとは……。「あれ?見た目は大人、頭脳は子どものまま成長してしまったのか?」と一瞬頭がふわふわした。いやいや、違う。今どきの少女漫画雑誌のレベルが高いのだろう。ひょんなきっかけで20年以上ぶりに触れた『なかよし』、大人でも楽しめる2作品を紹介していこう。


『どうせ、恋してしまうんだ。』満井春香(2巻まで発売)

 2030年、27歳の誕生日。最悪な一日となってしまった主人公の水帆。街中を歩くキラキラした学生たちの姿を目で追っていると、10年前のあの頃は気づかなかった、まぶしい青春が自分にもあったことを思い出していく……。高校2年生の水帆と、4人のイケメン幼馴染たちとのキラキラした高校生活のストーリーだ。


 ヒロインの水帆の幼馴染として登場する4人は、それぞれにタイプが違う。クールで勉強ができる柏木深、読書家でちょっと大人っぽい星川周吾、おしゃれでモデルもしている和泉藍、かわいい末っ子のような羽沢輝月。なかでも輝月は、「水帆、かわいい」「ドキドキする…なんか今日の水帆いつもとちがうから」と素直ではっきりと自分の思いを伝えられるところがとても愛らしい。水帆が陰で泣いたこともいち早く気付くとか、恋愛的なキュンも母性本能寄りのキュンも同時にいただいた気分だ……。


 作中ではときおり、2030年の水帆のシーンに戻る場面がある。幼馴染とも連絡はとっているようだが、細かな関係性などはまだ見えてこない。また、メインストーリーは2020年の夏ということもあり、未知の感染症で大事な部活の大会に出られない、悔しい思いをするなど、リアルにも通じる場面がある。「一度の夏休みくらい、我慢するのも仕方がない状況か……」と思ってしまっていたが、大人になってひと夏の長さ、大きさを忘れていたことに、ひっそりと気づいた。


 一周二周もまわって、こういう純度が高い作品を読みたいと思う瞬間って誰にでもあるのではないだろうか。キラキラとまぶしいくらい”ザ!王道の青春ラブストーリー”ともいえる作品だ。大人の読者は、こんな青春をしたかった、実は自分もけっこう青春していたんだな……と思い返しながら楽しむ作品になりそうだ。


どうせ、恋してしまうんだ。(1) (なかよしコミックス)

462円

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『王子が私をあきらめない!』アサダニッキ(10巻まで発売)

 キラキラと気品あふれるお姿、IQ500のまなざし、王家の血統を継いでいる……など、とにかくすごい学園の王子である一文字初雪と、ラッキーで大金が手に入り超セレブ学園に入学することになった吉田小梅の学園ラブコメディ。庶民の常識は通用しない、異次元の世界で王子の猛アタックは止まらない……!


 冒頭のぶっ飛んだ設定から、これはラブコメでもコメディ要素が多い漫画なのかなと、じわじわ楽しくなってくる作品だ。キラキラ清々しい王子のお姿とは裏腹に、ぼっち便所飯をしている場面に小梅が鉢合わせる(しかも女子トイレで)ところから2人の関係はスタートしてしまう。「あれ? これ少女漫画で合っている!?」と、意味もなく表紙と背表紙を確認してしまった。


 2人が出会ったばかりの頃は特に、冷静沈着な王子も距離感や規模感がバグっていた。しかし、置かれている地位や境遇の差をひとつずつ埋めていこうとする王子の姿勢をみると、脊髄反射で応援したくなる。また、自分のなかのはじめての感情に気づいた瞬間の王子の顔が個人的にたまらんかった……。


 王子が感情の高ぶりを感じると薔薇がブワァーと舞ったり、落ち込むと大雨になったりする描写も感情の起伏がわかりやすくて面白い。そして、なにより手の甲への口づけがこんなにも似合う高校生っているのか……!?とひとり突っ込んでしまった。


 少女漫画雑誌なのでイチャイチャ場面は多くはないが、はじめて怒ったり、やきもちを妬いたり、臆病になったりしたときの王子の目元や頬、口元など……表情にとても色気を感じ、ふいにドキッとする場面がある。また、作品の前半はコメディタッチのものが多いが、後半になるにつれ、しがらみにとらわれてもどかしく、切ない場面も増えてくる。王子が小梅をあきらめないのはもちろん、王子を護衛する四天王を含めた友人や信頼のおける人たちのこともあきらめない。筆者も王子のその想いがつぶれないようにと、切に願ってしまう。


王子が私をあきらめない!(1) (ARIAコミックス)

462円

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