トップへ

山田裕貴が語る、大切なゲームの存在 「作品に入り込めるようになったのはゲームのおかげ」

2021年11月08日 21:11  リアルサウンド

リアルサウンド

山田裕貴(写真=伊藤惇)

 10月5日より全国ロードショーの映画『あの頃、君を追いかけた』。本作において主演を務めるのが、山田裕貴だ。現在、若手演技派俳優として脚光を浴びている山田だが、実は、『ファイナルファンタジー』(以下、FF)、『実況パワフルプロ野球』(以下、パワプロ)、『モンスターハンター』(以下、モンハン)などのシリーズをこよなく愛する、無類のゲーム好きということはあまり知られていない。今回は、山田のゲームについてのこだわりを掘り下げて聞き、その知られざる一面に迫ってみた。


■「『本当にあったら』と、リアルに考えられるように」


ーーまず、山田さんがゲームにハマるきっかけになった作品を教えてください。


山田裕貴(以下:山田):小学1年生の頃、初代の『バイオハザード』をプレイしたことですね。めちゃくちゃ怖かったんですけど、友達5人くらい集まって家で毛布被りながら「うわー!」とか言いながらやっていました(笑)。多分そこで、ゲームの面白さに目覚めたんだと思います。そこから、『FF』や『ドラゴンクエスト』もそうですし、『パワプロ』や『モンハン』、『メタルギア』シリーズ、『キングダムハーツ』シリーズと、いまも追いかけている作品がたくさんありますね。


ーーTwitterで「『FF』に出会わなければここまで強くなれなかった」とつぶやいていましたが、これまでにプレイしたタイトルは?


山田:『IV』のリメイク、『Vll』『Vlll』『X』『Xll』『Xlll』『XV』をプレイしました。『FF』は敵味方関係なく、魅力的なキャラクターが多いんですよね。一人ひとりが本当に生きているような感覚というか……いろんな登場人物に本気で感情移入できるんです。仲間が死んでしまうときなんかは、「次、どうすりゃいいんだろ……」「めっちゃ頼りにしてたのに……」「このパーティーにコイツいなくなったらどうするんだよ!」「エアリス!! え!?」(※『Vll』に登場するキャラクター)みたいに、本当にショックを受けたりします(笑)。


ーーなるほど。各キャラクターに感情移入することで、多くの出来事を体験しているような感覚なんですね。だから、現実にも強くなれると。


山田:そうなんです。現実世界ではありえないくらい、辛い思いをしている人たちって、『FF』のなかにたくさんいません? もちろん、創作された物語ではあるんですけど、本当にこんなことが起こったら……って考えてしまうんです。例えば『XV』だったら、主人公のノクティスがいない間に、国が滅ぼされていたりするじゃないですか。自分がいない間に、日本が滅んで、友だちがいなくなってしまったらーー『FF』の世界に没入することで、「そんなことあるわけないじゃん」ではなく、「本当にあったら」と、リアルに考えられるようになりましたね。


ーードラマや映画の役作りにもつながっていそうです。


山田:そうですね。『XV』をプレイしていた時なんか、本当に熱中してストーリーに入り込みすぎていて、ラストにノクティスの「俺、お前らのこと好きだわ」というセリフがあるんですけど、それを先読みして同じことを言っていたんです。「とうとうここまで来たか!」と思いましたね(笑)。


ーーある意味で、ノクティスという“役”を深く理解していたということですよね。


山田:というのも、発売が10年越しだったじゃないですか(※2006年にトレイラーが発表され、実際に発売されたのは2016年だった)。だからめっちゃ待っていて、しかも発売された11月がちょうど映画の撮影で忙しい時期だったので、ずっとプレイできなかったんです。それで、正月休みにやっと開封して、実家にも帰らず延々とプレイしていたから、本当に没入したんですよね。


■「ちょっと中二病っぽいんですけど、二刀流が好き」


ーー他のゲームも、それくらいの熱量で向き合っているのでしょうか?


山田:それはもう! 『パワプロ』シリーズだと、甲子園を目指す「栄冠ナイン」というモードが好きなんですけど、選手を作るときに、「この子は野球がやりたくて海外から来ていて……」「この子は夏までしか生きられない運命のピッチャーで……」みたいに、一人ひとりのストーリーを考えるんです。僕のチームには、天才型の4番バッターがいて、ライバル関係の6番バッターがいるんです。6番の子は、1年生の時はめちゃくちゃ能力値が低くて、努力で成長して来た選手。最後の甲子園で、4番が不調で苦しむんですけど、そこで6番が逆転スリーランを打ったんですよ。そのときは、本気で泣きそうになりましたね。よくここまで育ったなぁ……って。この話、田中圭さんと井浦新さんに話したら「ちょっと怖いな……(笑)」って言われちゃいましたけど(笑)。


ーー確かに、そこまで深くゲームを楽しんでいる人は、少ないかもしれませんね(笑)。ちなみに、一緒にゲームをするような友人はいますか?


山田:本田翼さんは『モンハン』が好きなので、共演中はたまに一緒にプレイしていましたね。うまさでいうと、ドッコイドッコイです(笑)。ただ、僕が一時期『モンハン』から離れていて、久しぶりに一緒に遊んだら、めちゃくちゃ強くなっていて。事務所の先輩の瀬戸(康史)さんも『モンハン』をやっているらしいんですけど、なかなか気軽に「一緒にやりましょう!」とは言い出せず、機会を見計らっているところです(笑)。


ーーいま一番ハマっているのは、『モンスターハンター:ワールド』なのでしょうか。


山田:そうですね。先日、初めてカプコンさんのレセプションイベントに呼んでいただいたんですよ。セカンド(『モンスターハンターポータブル 2nd』)からずっとやっていたので、とてもうれしかったですね。あと、いまは『ファイナルファンタジー』とのコラボ期間なので、なおさらプレイしたくて。極ベヒーモス(コラボモンスターの強化版)もまだ、倒せていないですし。


ーー『モンハン』シリーズについても、やはりこだわりが……?


山田:僕はずっと「双剣」を使ってるんですよ。ちょっと中二病っぽいんですけど、二刀流が好きなので(笑)。そのせいで、違う装備と武器使わなきゃいけない「チャレンジクエスト」には参加できないんです。それでも「すべての敵をこのデュアルソードで倒す!」っていうのを決めてやっています。だから僕は友だちから「デュアルソードマスター」なんて呼ばれているんです(笑)。


ーー装備品のコンプリートを目指すようなやり込みとは、また違う楽しみ方ですね。


山田:ゲームって、いろんな楽しみ方があると思うんです。僕はプレイしなくても、友だちがやっているのを横で見ているのも好きですね。『バイオハザード』シリーズは、よく俳優仲間で家に集まったときにやるんですけど、横からチャチャを入れるのも楽しいです。「何で助けてあげないの!」とか(笑)。YouTubeでゲーム実況動画も、よく観ますね。


■「僕はゲームに頭が上がらない」


ーー山田さんは話題作に引っ張りだこという感じで、多忙を極めていると思います。例えば、本作『あの頃、君を追いかけた』の撮影期間、ゲームをすることはできましたか?


山田:いえ、やっぱりなかなか時間が取れなくて。でも、7~8個くらいかな、スマホゲームのログインだけは欠かさずしていましたね。一度途切れてしまうと、いざまたプレイしようかと思ったときに、モチベーションが下がってしまうので。


ーー例えば、休憩時間にゲームの話をすることはあったでしょうか。


山田:少しあったと思います。遊佐(亮介)くんは『モンハン』をやっていたし、(齋藤)飛鳥ちゃんもゲームをやるって言っていたかな。いまはみんな、何かしらのアプリゲームをやっていたりするし、会話に出てくることは増えましたね。


【動画】『あの頃、君を追いかけた』本予告 10月5日(金)公開


ーー先ほど「セリフを先読みしていた」というお話がありました。本作の演技でも、役に入り込んでそういう瞬間はありましたか?


山田:ありました! まさに「あ、いま自然に言葉が出た!」「自然にこういう表情になれた!」という感じで。こういうふうに作品に入り込めるようになったのはゲームのおかげでもあるので、僕はゲームに頭が上がらないです。一度手を合わせて、拝んでからプレイしなきゃいけないくらい(笑)。


ーー本作で山田さんが演じた主人公・水島浩介も、等身大でありながら確たる個性を持った、素敵なキャラクターですね。


山田:そうですね。「これだけ人を一途に思える人間になれたらいいな」って、思っていただけると思います。映画自体について言えば、男性が観てもキュンキュンして、青春真っ只中の若い方たちはもちろん、年齢を重ねている人ほど、ホロッとくるストーリーになっていて。ただの恋愛映画ではなく、「えっ!?」となるような結末が待っているので、ぜひ劇場まで足を運んでいただけたらと思います。ゲームのことでこれだけ熱くなれる僕ですから、映画にかける情熱はもっと熱いと思ってもらえれば!(笑)


ーーちなみに、今後「このゲームをやりたい」という作品はありますか?


山田:『ファイナルファンタジーVll』のフルリメイクが発表されているので、まだ発売時期はわからないですけど、あのポリゴンのグラフィックから最新のCGになってよみがえると思うと、めちゃくちゃ楽しみです! あとは、来年1月に発売される『キングダム ハーツIII』も本当に楽しみなんですけど、ちょうど朝ドラの撮影中なんですよね。残念ですが、また開封しないで寝かせておくことになりそうです(笑)。


ーー山田さんにとって、ゲームというものがとても大きな存在だとわかりました。


山田:「ゲームなんて」って言う人も、『FF』や『ドラクエ』を一度、最後までプレイしてみてほしいですよね。そうしたら、絶対に魅力がわかると思うんです。僕が将来、超偉大な俳優になったら、「ゲームはやったほうがいい。でも、死ぬ気でプレイしなきゃダメだぞ!」って伝えていきたいと思います(笑)。


(取材・文=橋川良寛)