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音楽フェスで8名死亡 主催のトラヴィス・スコットはステージから何度も助けを求めていた

2021年11月07日 10:11  Techinsight Japan

Techinsight Japan

トラヴィス・スコットのパフォーマンス中に事故が発生(画像は『flame 2021年3月23日付Instagram』のスクリーンショット)
米テキサス州ヒューストンで開催した音楽フェスティバルで、ラッパーのトラヴィス・スコット(29)がパフォーマンス中に客が殺到し8名が死亡、数百人が負傷する惨事となった。トラヴィスは苦しんでいる観客を目撃し、ステージから何度も警備員に助けを求めていたという。

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現地時間5日、ヒューストンのNRGパークで開催した音楽フェスティバル「アストロワールド」で、トリを務めたトラヴィス・スコットのステージ前に観客が押し寄せ、多数の死傷者が出た。

同フェスティバルはヒューストン出身のトラヴィスが2018年に開始したイベントで、昨年はパンデミックのため見送られ、今回が3度目の開催となった。2日間にわたる公演のチケットは今年5月に発売後1時間で完売し、会場には5万人の観客が訪れていた。

消防署長のサム・ペナ氏は記者会見を行い「本日、8名の死亡が確認されました。今回のイベントでは多数の負傷者が出ています」と発表、事故の詳細をこのように伝えた。

「午後9時15分頃、ラッパーのトラヴィス・スコットがパフォーマンス中、観客がステージの前方に向かって押し寄せ、パニックを引き起こしました。意識を失った人々が続出し、さらなる混乱を招きました。」

さらにペナ氏は「17人の患者が地元の病院に搬送され、そのうち11人が心肺停止状態でした」と明かした。NRGパークに設置した野戦病院では300人以上が治療を受け、負傷者の中には10歳くらいの子供も含まれていたという。

イベントは負傷者が続出した直後に中止となり、翌6日の公演も取りやめられた。

地元メディア『Houston Chronicle』によると、当日午後2時頃に開演した途端に大勢のファンがセキュリティや金属探知機をかいくぐり入り口のゲートに押し寄せた。警備員や騎馬警官に拘束される人もいたが、この時点で負傷者はいなかったという。

トラヴィスのステージでは、ラッパーのドレイクがサプライズ出演するなど会場は大いに盛り上がった。トラヴィスはパフォーマンス中、ステージの前方で苦しむファンを見つけて何度も立ち止まり、警備員に人々を助け出すように頼んでいたそうだ。

同フェスティバルを訪れていたグティエレスさん(Gutierrez、26)は、当時の様子について「人が人を踏みつけていたんです。私達は友達と離れないように、お互いにしがみついていました」と言い、別の女性は「こんなに人々が殺気立っているフェスティバルは見たことがない」と同メディアに話している。

観客として来ていたDJのビリー・ナッサーさん(Billy Nasser、24)は「倒れていた1人の子供を助けようとしたが、周囲の人々は何が起こっているのか知らずに踊り続けていた。その子はよろけてしまい、将棋倒しの中に巻き込まれてしまった」と語っており、人々が束になって倒れている光景に「たくさんのフェスティバルに参加したが、このようなものは見たことがない」とその恐怖を明かしている。



画像は『flame 2021年3月23日付Instagram』『ASTROWORLD FEST 2021年11月5日付Instagram「SICKO MODE」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)