レッドブル・ホンダにとって、F1メキシコGPは今年からホームレースのひとつとなった。メキシコ人ドライバーのセルジオ・ペレスが今季チームに加わったからだ。そのペレスは中心部にあるメキシコシティ最大の商業通りレフォルマアベニューでデモ走行を披露し、会場に詰めかけた13万人のファンから熱い声援が贈られた。
「ホームグランプリに向けて、素晴らしいイベントとなった。今週末もサーキットでみんなに会えるのを本当に楽しみにしている。僕の目標は、日曜日のレースで勝利を争うこと。メキシコでトップに立つことは僕にとって特別な意味を持つことだろう」
そのペレスにメキシコGP開幕前日の木曜日の会見で、こんな質問が投げかけられ、ペレスが困った表情をする場面があった。
「もしトップを走行しているときに、チームオーダーが出されたら、どうするか?」
ペレスは、しばらく考えて、こう答えた。
「レースの状況がどうなっているかを見てみる必要があるけど、つまるところ、僕たちはチームの一員としてレースをしている。つまり、チームとして戦っていることを考えなければならない」
そして、こう付け加えた。
「チームのだれもが今週末、僕が勝つことを望んでいると確信している」
メキシコGPは2年前に、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが予選でトップタイムをマークしたこともあり、相性の良いサーキット。ペレスが日曜日のレースでメルセデス勢だけでなく、チームメイトの前を走ることも十分考えられる。
その状況で、チームがピットウォールから順位を操作して、ペレスが優勝を逃すようなことが起きれば、大観衆から非難を浴びることだろう。かといって、チームオーダーを出さなければ、フェルスタッペンとチームの間にも亀裂が生じることとなる。
したがって、フェルスタッペンがチャンピオンシップを勝ち獲るためには、このメキシコGPはメルセデス勢を上回る走りを披露するだけでなく、チームメイトのペレスに対しても実力で前を走ることが要求される。
初日のフリー走行の結果は、フェルスタッペンが1分17秒301でトップ、2番手と3番がメルセデス勢で、4番に1分17秒871でペレスが続いた。果たして、この流れは土曜日以降も維持されるのか。今年のメキシコGPはレッドブル・ホンダにとって、2年前とは少し違った雰囲気のなかで行われている。