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ユナイテッドアローズ「選択と集中」強化 22年3月期は20店舗純減へ

2021年11月05日 20:42  Fashionsnap.com

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8月1日に営業を終了した「ユナイテッドアローズ 青山 ウィメンズストア」(2019年9月撮影)

Image by: FASHIONSNAP
ユナイテッドアローズグループが、2022年3月期末の店舗数が310店舗となる見込みだと発表した。同グループは「持続的成長と未来に向けた大改革」の軸の一つに据える「選択と集中」の一環として不採算店舗の見直しを進めており、前期末比では20店舗純減となる予定。今下期(2021年10月~2022年3月)は2店舗を新規出店する一方で、17店舗の退店を計画している。

 今上期(2021年4月~9月)の営業損益は26億4800万円の赤字(前年同期は68億4000万円の赤字)で赤字幅が縮小したが、売上高は前年同期比5.3%減の504億3700万円と減収だった。今期の通期売上高予想は1248億円を掲げ、営業損益は30億円の黒字転換を目指している。
 今年8月に発表した第1四半期の決算資料では、2022年3月期末の店舗数を「前期末から14店舗減の316店舗となる見込み」としていたが、さらに引き下げるかたちとなった。第2四半期(7~9月)は「ユナイテッドアローズ 銀座店」や「ユナイテッドアローズ 青山 ウィメンズストア」など9店舗を続けて退店した。
 不採算店舗については「検討対象の店舗をピックアップし、どういう改善策が打てるのか、退店した方が良いのかなどを継続的に討議している」(広報担当)という。今回退店に追加された店舗は第1四半期の決算説明会以降に意思決定されたもので、第2四半期の業績が想定よりも下回った影響も含まれているものの、直接的な要因ではないと回答した。コーエン社については当初予定から変更はなく、通期で2店舗出店(上期に出店済)、2店舗退店を予定している。
 松崎善則社長は、11月5日に開いた決算会見で「ご支持いただいているお客様を想像すると心苦しく思うが、下半期も既存取り組みについて“選択と集中”を進めていく」と考えを述べた。撤退の対象となる店舗については「目処がついている」と明かしたが、具体的な計画は非公表とした。下期に向けては接客力が同社の強みになると改めて強調し、「接客の質向上を図りながら既存店舗の回復を目指し、実店舗を軸に後半戦に臨む」と話した。
 上期実績が想定よりも回復しなかった要因には、メインの顧客層である30~40代の外出減に伴い客足が伸びなかったことや、ビジネス衣料の回復が鈍化傾向にあることを挙げた。ビジネス衣料に関しては代替施策を打ち出しているが実を結んでいないという。緊急事態宣言が解除された10月以降は気温低下を背景に売り上げを取り戻しつつあり、「11月以降は段階的に回復していく」と期待を示した。東アジアの新型コロナウイルス感染拡大と中国の大規模停電に伴う物流問題については、秋冬物の納期遅れに若干影響があり、対応については都度検討していくという。
 下期の取り組みの一つとして、10月1日付で富裕層向けのプライベートサービスを開設した。同社のECでは年間100万円以上購入する客が200人ほどいるといい、そうした顧客に向けてオンラインでも実店舗と同様のクオリティでパーソナルサービスを提供していくという。ファッション衣料や服飾雑貨にとどまらない提案を行い、他社との協業も視野に入れている。松崎社長は当該客の特徴として団塊ジュニア層であることを挙げ、百貨店の外商サービスを利用する団塊世代とは競合しないと見解を示した。
■ユナイテッドアローズ 2022年3月期第2四半期売上高:504億3700万円(前年同期比5.3%減)営業損益:26億4800万円の赤字(前年同期は68億4000万円の赤字)純損益:19億9400万円の赤字(前年同期は50億9700万円の赤字)