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【漫画】チーズバーガーに仕掛けられた奇妙ないたずら、どういう意味? Twitter漫画『おつかい』のオチが考察合戦に

2021年11月03日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 先輩から買い物を頼まれた後輩が、お目当てのものを購入し先輩に渡すまでの様子を描いた漫画『おつかい』。チーズハンバーガーを手に入れるため、後輩は奇妙な行動に出る。


気になる作品はこちら


 謎が謎を呼ぶ、奇想天外な展開が繰り広げられる本作。Twitterに投稿されると瞬く間に大きな話題となり、5万以上の「いいね」を記録した作品だ。


 なぜ後輩はあんな行動をとったのか、後輩が用意したチーズハンバーガーを食べる先輩を映したオチの理由とはーー。「リアルサウンド ブック」では作者のふみたんさん(@humitan)に話を聞いた。(あんどうまこと)


ーー謎に包まれたものが多く、何度も読み返すにつれて作品の世界にどんどん引き込まれてしまいました。本作を創作したきっかけを教えてください。


ふみたん:近所に「マクドナルド」と「ほっともっと」のお店があって、チーズハンバーガーも、チーズハンバーグ弁当も、自分はよく食べていました。もしも黙ってふたつのチーズハンバーグを入れ替えられたら、自分はどんな反応をするのかと考えたことが創作のきっかけです。


 わかりやすいリアクションよりも、「えっ……」「あっ……」と戸惑ってしまう反応が好きで、そんなリアクションをしてしまうようなことを日常的に探しています。


ーー先輩がチーズハンバーガーを食べた後の展開が気になりました。


ふみたん:部屋の中でふたりは会話を続けたり、日をまたいでから先輩が怒ったりなど、色んなパターンが考えられます。しかしTwitterで投稿する作品なので、チーズハンバーガーを食べたシーンを本作のオチとしました。


ーーTwitterでは作品にまつわる考察が多く投稿されていました。


ふみたん:ありがたいですね。言いにくいのですが、いつも結果論なんです。この辺でいいかと思い物語を途中で区切ったら反応が良かったというか……。狙ったわけではなく、どうとでも捉えてくれといった思いで投稿した漫画がヒットしたりしています。


ーーチーズハンバーグを入れ替えた後輩の心情を知りたいです。


ふみたん:後輩は日常的にいたずらをしており、ネタばらしをせずに放っておくことを繰り返す人物という設定です。おそらく、いたずらをされた先輩もいい反応をするんでしょうね(笑)。後輩は先輩の反応が見たいから、いたずらをしているのだと思います。


ーー後輩は先輩にしかいたずらをしない?


ふみたん:そうですね。誰にでもいたずらをしているわけではないと思いますよ。


ーーふみたんさんが影響を受けた作品を教えてください。


ふみたん:『天使な小生意気』『今日から俺は!!』を手掛けた西森博之氏の作品が好きです。石黒正数氏の『それでも町は廻っている』も好きですね。


 10人中3人はわからないような漫画が好きで、わからない人がいるからこそ、その漫画に面白さを感じられるという優越感が心地よいのかもしれません。ただ「わからない」と思う人が多いのではなく、どちらかというと「わかる」と思う人の多い方がいいとは思います。


 Twitterでは海外の人も作品を見てくださるのですが、内容をわかってくれているのかと思うこともあります。たまにわかりやすい作品を投稿するのですが、そちらの方が読者の反応はいいですね。


ーー本作を漫画という形式で表現した理由を教えてください。


ふみたん:自分は文章で表現することが苦手なんです。例えば、今回のようないたずらを思いついたとしても、絵で説明した方が早いと思ってしまいます。本当はアニメーションを用いて、吹き出しでは伝えられない発言の抑揚とかも表現したいです。


 もちろん、漫画だから表現できることもあると思います。先輩の表情を映した最後の3コマは、文章やアニメとは異なる表現ですね。あのシーンを文章で表現するのは野暮なことだと思います。何とも言えない表情を視覚で伝えたかったです。


ーー文章が苦手というよりも、ふみたんさんが表現したいものを表現するには、絵の方が向いているのかもしれないと感じました。


ふみたん:そうなんですかね。漫画で描くというベースがあって考えているため、文章で表現できないものになるのかもしれないです。


 吉本新喜劇などでは、同じことを延々と続けるお笑いがありますよね。実際に見ながら計算すると、新喜劇のお笑いを漫画で描くと20ページ以上必要だったんです。しかし、漫画で表現するには「10分後」などの言葉と共に、コマをまたいで同じ行動をしているシーンを描くのかなと思います。


 吉本新喜劇のような面白さは、自分は漫画で表現できないです。様々なテーマを表現するために、それぞれに合った媒体があるのだと思います。