2021年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦の決勝レースが行われ、3番手スタートの福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がアンダーカット作戦を成功させてトップを奪取。4月に鈴鹿で開催された第2戦ではタイヤトラブルからまさかのリタイアとなってしまったが、その悪夢を吹き飛ばすかのような走りでトップチェッカーを受け、今季2勝目、そして悲願の鈴鹿制覇を成し遂げた。
2位には平川亮(carenex TEAM IMPUL)、3位には野尻智紀(TEAM MUGEN)が入り、チームタイトルは関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が4位に入ったことで、carenex TEAM IMPULが獲得した。
ホールショットを奪ったのはポールシッターの松下信治(B-Max Racing Team)で、そのまま隊列をリードしていったが、4周目を走行中にフラッグタワーから51号車松下に対し、ペナルティを示すボードが提示される。スタート違反によりドライブスルーペナルティを科された松下は、5周目を終えるところでピットロードへ。予選で抜群の速さを見せ、決勝がスタートしてからも安定したペースを刻み、念願の初優勝へと向かっていた松下だったが、これで優勝争いから脱落することとなってしまった。
松下のペナルティや大湯の後退などがあった序盤戦を抜け、6周目には順位が落ち着くが、この時点で野尻がトップを走行。2番手の福住の背後には、9番グリッドから着実にポジションを上げてきた平川が続き、大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、というトップ5となっていた。10周を終えピットウィンドウが開いたところで、まずはアンダーカットを狙った牧野がピットに向かうが、ピット作業で左リヤタイヤの交換に手間取ってしまい、大きくロスすることになってしまう。翌11周目には福住、大津がピットへ向かい、野尻は12周を終えたところでタイヤ交換を行った。
18周を終えて国本雄資(KCMG)がタイヤ交換に向かい、いよいよ残るは関口のみに。レースも折り返し地点を過ぎ後半に入ったところでも、関口はペースを落とすことなく周回を重ね、後方とのマージンを築いていた。チームランキングでトップを走るcarenex TEAM IMPULだが、タイトルを獲得するためには2位のDOCOMO TEAM DANDELION RACINGがターゲットになる。関口は、ひとつでも前のポジションでコースに復帰するため、さらにプッシュ。27周までピットインを引っ張り、暫定4番手でコースに復帰した。
その関口を追いかけてくるのは5番手の大津。アウトラップに向かう関口がピットロードを出たところでは、ホームストレート約1本分の差があったが、大津は猛チャージでその差を縮め、ヘアピンではテール・トゥ・ノーズのところまで接近する。スプーンカーブでOTSに手をかけると、そのまま一気に関口に詰め寄り、130Rから日立Astemoシケインに向けてアウト側に並びかけた。しかし、関口も絶妙なブロックラインとハードブレーキングで一歩も引かず、大津を制して最終コーナーへ。息をのむバトルに、carenex TEAM IMPULのピットでは拍手が沸き起こっていた。
福住はシーズン2勝を挙げたことでランキング2位に決定。平川と関口が2台揃って上位フィニッシュを飾ったcarenex TEAM IMPULは、2010年以来、11年ぶりとなるチームタイトルを獲得した。また、5位でチェッカーを受けた大津が阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)を逆転してルーキーオブザイヤーに輝いた。