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発見! あぶない家 第9回 侵入犯罪者はここからやって来る! マンションなど共同住宅で注意すべき箇所

2021年10月29日 14:22  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
前回は、戸建て住宅に関して侵入犯罪者はどこから、どんなふうに侵入してくるのかを、お話し致しました。今回はマンション等の共同住宅に関してお話ししたいと思います。


一般的に、戸建て住宅より共同住宅の方が安心よね! と感じられている方が多いようですが、戸建て住宅も共同住宅もさほど変わりはありません。



共同住宅にお住まいの方も、侵入犯罪の被害に遭わないように、犯罪者がどこから敷地内や建物内に入ってくるのかを、ここで知っていただきましょう。

○住民同士のコミュニケーションは一番の防犯対策



あなたがお住まいの共同住宅、その敷地内に誰でも簡単に入れるようになっていませんか?



共同住宅で敷地内に誰でも簡単に入れるようになっていては、住人ばかりでなく、そこから犯罪者も敷地内に入ってくるのです。ましてや世帯数が多い共同住宅は、住人同士がすべて顔を知っているなどということは、エントランスに入居者全員の顔写真が貼っていない限り、あり得ないと思います。ましてや単身者用ならなおさら、隣の住人の顔も知らないことが多いのではないでしょうか。



まず、住人同士のコミュニケーションを深める必要があります。コミュニケーションは一番の防犯対策になります。密に親しくならなくても、建物内で会う人とは必ず挨拶をするようにしていただきたいです。



建物・敷地内に簡単に入れるような場所があれば、その部分の防犯対策を強化されることをお勧めいたします。敷地内の明るさを補強したり、カメラを増設したり、外構等で住人以外は簡単に敷地内に入れないようにすることが必要です。

○誰でも建物内に入れる場所をチェック



エントランス以外で、建物内に住人以外誰でも入れてしまう場所はありませんか? 駐車場や駐輪場・駐輪場の屋根、外階段、ゴミステーション、地上に置いてある貯水タンク、隣の建物のフェンスや塀などです。



建物内に入れてしまいそうな所があれば、入れないようにしていただきたいです。

特に注意していただきたい箇所は、ベランダのすぐ横にある雨樋です。女性の下着一枚を盗るために、雨樋を6階まで登ったという事件が、実際にありました。雨樋を登ることができないよう、有刺鉄線や忍び返しを設置するのも有効です。また、雨樋の周りにセンサーライトの設置も有効です。



誰でも建物の屋上に出られるようになっていませんか? 実は屋上からロープなどで最上階の部屋のベランダに降りてくる侵入犯罪者もいます。その手口には「下がり蜘蛛」という名前まで付いています。最上階の部屋ほど無施錠が多く、またある程度お金に余裕がある世帯も多いため、狙われる率は高くなります。屋上に関係者以外が入れないように、屋上入り口部分の施錠を強化するなどしていただきたいと思います。

○オートロックがあっても過信は禁物



一般的にはオートロックが設置されている共同住宅に関して「この建物はオートロックがついているから安心よね」と思われている方が多いようですが、実はオートロックが設置されているからといって安心はできません。多くの人がオートロックを過信しているように感じます。



オートロックはないよりあった方が良いことは間違いありませんが、過信は禁物! オートロックから建物内に入ってくるケースもあることを知っていただきたいです。



オートロックは完全に閉まるまで少し時間がかかります。それを利用して、住人がオートロックを開錠し入る時に扉が閉まる前に入ったり、エントランスで電話を掛けるフリなどをしていて、住人がオートロックから外に出てくるのを待ち、扉が閉まる前に入ったりします。



そして、ある物を使うと鍵がなくても簡単に開いてしまうのです。その方法で繰り返し侵入犯罪を繰り返していた不良外国人が逮捕された事件も発生しています。帰宅時オートロックを開錠する時には、周りに誰もいないことを確認してから入るようにしてください。オートロックから入る時、出る時に、もし誰か居た場合は、顔を見て挨拶をするようにしていただきたいと思います。



いかがでしたでしょうか。共同住宅でも決して安心はできません。侵入犯罪者が簡単に敷地や建物内に入れてしまうことが分かっていただけたと思います。



あなたがお住いの共同住宅の防犯対策を見直してもらえるように、管理会社や自治会の方に、お話ししてみてはいかがでしょうか。



そして、各戸それぞれでできる防犯対策、防犯生活をなさっていただきたいと思います。



あなたとあなたのお住まいを守るのはあなたです!



一般社団法人 日本防犯学校学長/防犯ジャーナリスト : 梅本正行 うめもとまさゆき 1964年からセキュリティ事業に参入し、警察署での署員特別教養講師や犯人逮捕への協力など、警察からの感謝状は400枚を越える。侵入犯罪の現場には極力足を運び、犯罪現場の環境や犯行手口など、事件の内容を検証。その数は8,000件を越え、今もなお増え続ける。現在、犯罪者心理を知り尽くしたプロの目で、防犯ジャーナリストとして活躍。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等で予知防犯対策を提唱している。また、行政・自治体・民間企業等でのセミナーや講演も多く、人情味あふれる独特のキャラクターで予知防犯対策の重要性と人の命の尊さを呼びかけている。通称「防犯の梅さん」。 防犯対策責任者の育成にも力を入れ、養成講座を開講する傍ら、犯罪抑止に力を注ぐと共に経済産業省の「省エネ・防犯情報提供事業研究会」の委員として参画していた。現在は地域の防犯ボランティアの育成や防犯住宅を造る工務店の育成を全国で行っている。 一般社団法人 日本防犯学校 この著者の記事一覧はこちら(梅本正行)