トップへ

子育て世帯のクルマ選びで注目すべきポイントは?

2021年10月29日 08:11  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
保育園や習い事への送迎、通院、お出かけやお買い物など、子育て世帯にとってクルマは移動の強い味方です。クルマ選びの際、ママとしては子どもの乗せ降ろしのしやすさや室内空間、シートアレンジの便利さ、小物類の収納など、車室内のことに関心が向きがちですが、クルマは命を乗せて走るもの。日々進化している安全性能についても注目しておきましょう。


子育て世帯では、運転をママが担うことも多くなります。子どもを乗せての運転では、「あわや事故」といったヒヤリとするシーンも結構あるもの。クルマは日々進化していて、近い将来に自動運転が実現するとの観測もありますが、まずは現状の先進技術をチェックし、安全運転に役立ちそうな機能を持つクルマを選ぶことも重要です。例えばどんな技術があるのか、いくつか見ていきましょう。

○「ぶつからない」をサポート! 衝突被害軽減ブレーキ



チャイルドシートで子どもが大泣きしたり、後部座席で兄弟喧嘩が始まったりと、ドライブ中の後部座席はちょいちょい戦場に。気を取られたほんの一瞬で目の前にクルマが……! なんて経験はありませんか? そんな時、ドライバーをサポートしてくれるのが「衝突被害軽減ブレーキ」です。自動車会社が長年開発を重ねてきた機能で、自動運転に向かうクルマの運転支援技術のなかでも主軸となるものです。



この機能、近く新車(乗用車)への標準搭載が義務化されますが、実際に作動すると、クルマと車内はどんな様子になるのでしょうか。体験してきたので、詳しくお伝えします。



衝突被害軽減ブレーキを搭載するクルマはカメラなどで前方の車両や歩行者などを認識していますが、衝突の危険性があると判断すると、まずはブザーやメーター表示などでドライバーに警告を発します。それでも止まらず、いよいよ衝突の可能性が高まると、自動で強くブレーキをかけ、衝突を回避するか衝突時の被害を軽減してくれます。



体験試乗では、ダミーの自動車に向かって時速30キロ程度で前進。近づくとアラームが鳴り、「ぶつかる!」と思う間もなく大きなブレーキ音とともに停車しました。アラームが鳴ってから停止までは約2~4秒とあっという間。時速30キロといえば徐行程度かなと思いがちですが、これでも停車すると身体は前のめりになり、膝においていた小物がフロアに落ちるほどで、シートベルトの重要性を痛感しました。


車種によっては、警告後にブレーキを「弱く」かけ、その後に「強く」かける2段階のシステムもあります。停まり方の“味付け”はブランドや車種によって異なりますので、販売店で試してみましょう。

ちなみに、クルマはフロントガラスに設置したカメラや、カメラとレーダーの組み合わせなど、さまざまな方法で歩行者やほかのクルマを「検知」します。これはクルマ、これは歩行者といった具合に、検知した対象を適切に「判断」し、ブレーキをかけるまでのプロセスにはメーカーの技術が詰まっています。道路標識を誤って歩行者だと認識してしまったら別の事故につながってしまいますから、「判断」も重要な要素となるのです。



交通事故による被害を減らそうと、2021年11月以降に販売される乗用車の新型車には、この衝突被害軽減ブレーキの装着が義務化されることになりました。静止車両、走行車両、6歳児相当の子どもを含む歩行者への衝突回避を支援する機能ですが、2024年7月以降の新型車からは自転車も対象に加わるなど、基準は順次見直されていきそうです。

○子どもがしゃがんでいない?クルマの周囲360度を確認



見通しの悪い路地から出ようとしたら、歩行者や自転車が飛び出してきてヒヤリとした経験は、多くのドライバーが経験しているはず。クルマの先端に「目」がついていたらいいのに、と思ってしまいますね。



最近のクルマには、その「目」がついています。前後左右の四方に搭載したカメラで、クルマの周囲をほぼ360度確認できるようになりました。また、カメラの画像を組み合わせ、クルマを真上から眺めているような映像を車内で表示し、運転席からは見えづらい周囲の状況を確認しやすくしてくれる機能も広まってきています。画面はスイッチひとつで素早く表示され、画面が切り替わるまで数秒待つストレスもありません。


クルマを動かそうとしたら死角に子どもがしゃがんでいた……など、一歩間違うと取り返しのつかないケースも防ぐことができ、子育て世帯にも人気の機能です。この機能は「パノラマモニター」(ダイハツ工業)、「全方位モニター用カメラ」(スズキ)など、各社で名称が異なりますので、販売店でチェックしてみましょう。

○自動運転に向かうテクノロジーが日々のドライブをサポート



このほか、駐車場でシフトを前後で入れ間違えて発進してしまったり、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまったりなど、痛ましい事故につながる「誤発進」を抑制する機能や、車線をはみ出した時の「車線逸脱」を抑制する機能など、安全機能は急速に充実してきています。



仕事を終え、保育園に子どもを迎えに行ってから帰る雨の夜、子どもが熱を出して通院する朝、週末のお出かけの帰り道……。たいていはママも疲れ気味で、誰かに運転を代わってほしいと思うこともあります。自動運転の実現はもう少し先でも、まずは日々の運転が少しずつラクになっていくのはうれしいことですね。



松田慶子 まつだけいこ 自動車産業専門紙、満足度調査会社の自動車担当を経て、サステナビリティ専門誌で自動車産業のカーボンニュートラルなどを担当。子どもの送迎と夫の単身赴任が重なった4年間は年間1.2万キロ以上を運転。関心のある分野はサステナブルなクルマ社会、次世代の育成、環境問題など。運転は好きだけれど、適宜自動運転に切り替えてサボれるクルマの登場を心待ちにしている。 この著者の記事一覧はこちら(松田慶子)