ハースのニキータ・マゼピンは、コクピットのヘッドレストが外れたことで彼のF1第17戦アメリカGPは最初から台無しになったと述べている。しかしマゼピンのオースティンでの午後が“孤独で退屈で苦痛”だったのは、それだけが理由ではないという。
マゼピンはサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われたアメリカGPの予選でチームメイトのミック・シューマッハーに0.3秒差をつけられて最下位になった。しかし3人のドライバーがグリッドペナルティを受けたため、ふたりのスターティンググリッドはそれぞれ16番手、17番手に上がった。
だがマゼピンはスタート後すぐに、引けをとらないレースをしたり、チームメイトと争ったりするチャンスを奪われてしまった。
「僕のヘッドレストはファーストラップのターン2で外れてしまった」と不満げなマゼピンはCOTAでの厳しいレースが終わった後に説明した。
「そのせいでファーストラップはとても不安定になった。ミラーがまったく見えなかったからだ。それに不要なピットストップをすることになった」
「そこからはかなり厳しいものだった。単独で走行していて、1ストップ戦略をうまくやろうとした。でもあの気温とタイヤでは不可能だった。だからとても孤独で、退屈で、苦痛なレースで、めちゃくちゃ屈辱的だった」
マゼピンはヘッドレストの災難については、彼のメカニックたちのひとりによる人為的ミスが原因だったと指摘した。
「ヒューマンエラーだったと考えている。ヘッドレストはターン2で外れたんだ。そんなことは僕のレースキャリアで起きたことがない。だから何か違うやり方が行われて外れたのではないかと想像している」
ハースF1のチーム代表であるギュンター・シュタイナーが後に認めたところでは、ヘッドレストがスタート前にグリッド上で適切に取り付けられなかったのは確かだという。
「スタッフによると、グリッド上でヘッドレストの取り付けを行った際、後部のふたつのピンが完全に留まっていなかったようだ」とシュタイナーは語った。
「そのため、彼がピットに入った時にはヘッドレストを外す必要はなく、ただ押し込んで留めるだけですんだ」
「なぜピンがきちんと留められていなかったのか正確なことは私には分からないが、それは外れてしまった。安全上の理由でヘッドレストは保護装備の一部なので、我々はただちに彼を(ピットに)呼んだ。さらに難しいことには、ヘッドレストが上がってしまうと、ミラーを見ることができないのだ」
しかしマゼピンのヘッドレストのトラブルは、彼が耐えていた唯一の問題ではなく、彼は足が熱せられるという問題にも悩まされていた。これはハースが解決に苦戦している慢性的な問題のようだ。
「彼は足が熱くなるという不満を何度かもらしていた。我々は常に解決しようとしているが、これは彼にだけ起きることのようだ」
「これは昨年と同じシャシーで、そうした問題は起きたことがなかった。ミックに特に尋ねたわけではないが、彼はそのような不満を言っていないし、もし(問題が)あるとしたら、確実に伝えてくるだろう」
「そのため、なぜ彼が熱さを感じるのかを調査し、何かをする必要がある。次のステップはブーツをどうにかすることかもしれない。両方の方法が取れるだろう」
「何かが壊れたということはないが、彼がこのことについて不満を言うのは初めてのことではない」