◇「憧れ」から「共感」の時代に
近年はSNSの普及を背景に生き方や働き方の多様化が進んでいることから「個の時代」とも呼ばれる。SNSで人気を集める販売員に会うために所属店舗まで足を運ぶ客も多く、1990年代に続く「カリスマ店員ブームの再来」という見方もある。1990年代のカリスマ店員ブームとはどのような違いがあるのか。小野里社長は“令和のカリスマ店員”をこう定義する。「1990年代のカリスマ店員はギャルブームも背景にあり、ギャルであることが強みとなっていた。今の販売員はそういったカテゴライズがなくなり、営業力から商品知識、気持ちを汲み取る力までプロフェッショナルな技術力に加えて、人間力を持つ人が支持される。平成のカリスマ店員を“憧れ”の存在と定義するなら、令和のカリスマ店員は“共感”できる対象になっているのではないか」。インフルエンサーマーケティングも現在は主流となったが、小野里社長は「インフルエンサーは自分自身の生活のために深く知らない商品でも売ることがあるが、販売員は商品をよく理解した上で、愛を持って売っている」とし、インフルエンサーと販売員には情報の質に大きな差があると指摘する。
今年9月に初開催した7万人の店舗スタッフから日本一を決めるコンテスト「STAFF OF THE YEAR」では、9万票に近いオンライン投票から「リエンダ(rienda)」福岡ソラリアプラザ店の販売員がグランプリに選ばれた。都心ではなく地方都市の販売員が頂点に立ったことから、「個人というものに生まれ育った場所や住んでる場所、働いている場所は関係ない。“個人”としての人間力があるかどうかが求められる時代になった」と小野里社長は見解を示す。