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人気の巨大SUV対決! 「ランクル」と「ディフェンダー」を乗り比べ

2021年10月26日 11:02  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
トヨタ自動車の本格SUV「ランドクルーザー」の新型(300系)は、“陸の巡洋艦”の名の通り、「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」としての信頼性、耐久性、悪路走破性を鍛え上げ、さらには最新技術を融合させたことも奏功し、早くも大人気のモデルとなっている。



そのライバルとなると国内には全く見当たらないけれども、輸入車にはドンピシャの相手がいる。ランドローバーの「ディフェンダー」だ。2020年に70年ぶりのフルモデルチェンジを経て日本に上陸した新型ディフェンダーは、今年に入って「110」モデルに直列6気筒ディーゼルエンジン搭載バージョンが登場したり、コンパクトな「90」モデルが追加になったりと、商品力を高めている。


超大型SUVの2台巨頭を実際に乗り比べ、各車の魅力を確かめた。

○「軍用」をルーツとする2台



ランクルのルーツとなる初代「BJシリーズ」は、1950年に米軍と警察予備隊(後の自衛隊)から四輪駆動車の開発要請をうけて製作したクルマだ。結果的には米軍車両と互換性があった三菱自動車「CJ3B型ジープ」が制式採用されることになったものの、トヨタは性能的に負けていないことを証明すべく、富士山の6合目までBJシリーズで走破した(そのころ、米軍のジープは5合目まで走破していた)。



一方のディフェンダーは、1948年にそのルーツとなる初代「シリーズⅠ」が登場。すぐに英国陸軍に制式採用され、特殊部隊の砂漠戦用にカモフラージュ塗装を施したモデルが「ピンクパンサー」と呼ばれていたのは有名な話だ。



2台に共通するのは、頑強なハシゴ型の「ラダーフレーム」にリジッドサスペンションを採用していたところ。ところが新型では、2台の構造に大きな違いが出た。

○ラダーフレームとモノコック



新型のボディサイズ(全長×全幅×全高)はランクルが4,985mm×1,980mm×1,925mm、ディフェンダーが4,945mm×1,995mm×1,970mmでほぼ同じだ。



ランクルは新型になっても伝統のラダーフレーム構造を継承しているが、TNGAの考えに基づく「GA-Fプラットフォーム」を新たに取り入れることで、全体で約200kgの軽量化、低重心化、前後重量配分の改善を果たしている。キャビンはボンネットやルーフ、ドアがアルミニウムに。耐久テストの走行距離は約100万km、地球25周分だ。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがトレーリングリンク車軸式リジッドになっている。


一方のディフェンダーは、構造そのものが大きく変わった。新型では「D7x」と呼ばれる新しいプラットフォームを採用し、ボディを従来のラダーフレームから軽量アルミの「モノコック構造」に転換したのだ。



「本格オフローダーなのにモノコック?」と不安を抱くユーザーに対しては、耐久・衝撃テストを6.2万回も行い、極地やサーキットなど計120万kmの走行テストを行うことで性能を証明。ねじり剛性は従来型の3倍という強靭さだ。サスペンションは前後独立懸架式で、フロントはダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンク式を採用している。


パワートレインを見比べると、ランクルは3.5Lガソリンと3.3Lディーゼルの2種類で、いずれも電動補助のないV6ツインターボエンジンとなる。それぞれ415PS/650Nmと309PS/700Nmを発生する強力なエンジンだ。一方のディフェンダーは2.0L直4ガソリンと3.0L直6ディーゼルターボで、48VのMHEVシステムがパワーを補助。それぞれ300PS/400Nm、300PS/650Nmを発生する。

○走ればわかる2台の持ち味



オンロードでの走りは、それぞれの持ち味が出ていて興味深い。



ランクルは強力なエンジンを搭載しているおかげで、ガソリンでもディーゼルでも、どんな場面であろうと力強い走りを楽しませてくれる。ただし、ラダーフレーム構造のクセがわずかに残っていて、段差を乗り越えるときなどには、ふわり感やブルブル感が伝わってくることがある。それもオフロード車の味だ、といえる範囲ではあるのだが……。


ディフェンダーはランクルに比べるとシャキッとした乗り味だ。特に3.0Lディーゼルの走りは絶品ともいえる。直列6気筒の粒のそろった滑らかな回転フィールや、回したときの「クォーオオン」という耳に心地よいサウンド、さらに良好な直進性やコーナーでしっかりと踏ん張る足回りによって、オンロード走行がかなりの得意科目になっている。


オフロード走行に関しては、ランクルではまだ試していないのでなんともいえないが、これまで2台が長きにわたって世界中で走り込んできた実績を考えると、どちらも最高レベルのものを提供してくれるはずだ。対地障害角度のアプローチアングル、ランプブレークオーバーアングル、デパーチャーアングルはランクルが32度、25度、26度、ディフェンダーが37.5度、31度、40度。最大渡河水深はランクルが700mm、ディフェンダーが900mmと公称している。

○好みがわかれる? デザインの違い



デザインの違いも見どころだ。



ランクルはどこまでも機能的で実直。6針式のメーターやクルマの姿勢が把握しやすい水平なダッシュボード、操作が容易なマニュアル式のボタンなど、全てが効率的に配置されている。人気モデルゆえに、盗難防止用の指紋認証式スタートボタンを採用したのは今時のモデルらしいところ。エクステリアでは、巨大なフロントグリルと視界確保のため中央が凹んだボンネットがアクセントになっている。


ディフェンダーはこれまでのラギットさを継承しながら、上質感やファニー感をうまく組み合わせたデザインを採用している。丸目の2眼ヘッドライトやスパッと垂直に切り立ったリア部、鋲の頭をむき出しにしつつも英国テイストにあふれた上品なインテリアなど、クルマ好きのハートを揺さぶるポイントが多い。4ドアの「110」シリーズでは大きすぎるという向きには、2ドアの「90」シリーズも用意されている。


価格はランクルが510万円~800万円、ディフェンダーが551万円(90シリーズ)~1,171万円。ランクルの納期を聞いて購入を躊躇した人は、ディフェンダーの状況をいったん確認してみるのも面白いかもしれない。



原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)